さざなみのよる

著者 :
  • 河出書房新社
4.15
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本棚登録 : 784
レビュー : 63
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309025254

感想・レビュー・書評

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  • 小国ナスミ・享年43。
    その死は湖に落ちた雫のように
    家族や友人、知人へと広がりー。


    数年前のお正月のドラマ「富士ファミリー」のナスミ。
    ドラマでは、ナスミが亡くなった後の贋コンビニと呼ばれている
    スーパーマーケット「富士ファミリー」での日々を描いていて、
    ナスミは笑子おばあちゃんにしか見えない幽霊で、
    時々、所々で登場してた。
    ドラマはとにかく、笑えて切なくてでもほのぼのしてて
    やっぱり笑えた。
    そのイメージで読み始めましたが…。
    末期がんのナスミの心情から物語が始まり、
    胸がギュッと痛く…何とも言えない感情がずっと続いた。

    ドラマでは描かれていなかったナスミの人生…。
    どう生きて、どんな人とどの様に関わっていたのか。
    その人がナスミをどう思っていたのか。
    ナスミが人生をどのように変えたのか。
    43歳で亡くなるって凄く早くって短い人生だと思ってましたが、
    凄く凄く濃くって素晴らしい43年の人生だったんだってわかった。

    何気ない日常の一瞬一瞬が愛おしくって大切なんだって思ってた。
    ナスミの事大好きだった。
    この本を読んでもっと、もっと大好きになりました。
    ナスミの様に生きたいって思った。
    よいことも悪いことも受け止めて、最善をつくす!
    色んなナスミの言葉に救われる思いでした。

    読んでる間中、切なくてずっと涙が零れそうで、
    でも胸が温かくなっていました。
    とても素晴らしかった(*´ `*)

  • 身近な人を亡くすということは、ただただ深い悲しみをももたらすことのような気がするけれど、それはもしかするとちょっと違うのかも、と。
    誰か大切な人が「生きていた」ことによって、自分とその人の間に大きな変化が生まれる。その変化が今度はその人を亡くす時にまた大きく動く。自分がこの先その人のいない世界で生きていくこと、その意味と進むべき道を自分で見つける。それを見つけること、それこそがその人が生きていて自分と共にあった意味なのだろう。
    「よいことも悪いことも受け止めて、最善を尽く」して生きたナスミに私も会いたかった。いや、私もナスミのように生きたい。がはははと大声で笑いながら最善を尽くして、そして逝きたい。
    木皿さんの描く人を亡くす哀しみの向こう側。本当に大好きだ。

  • 「よいことも悪いことも受け止めて、最善をつくすッ!」
    大空にくっきり見える富士山を背景に、仁王立ちして高らかに言い放つナスミの姿が目に浮かぶようだ。

    富士山が間近に見える田舎町のスーパーマーケット「富士ファミリー」を営む三姉妹の次女・ナスミを巡る連作短編。
    今まで読んだ木皿作品にも印象に残るコトバ(「いてよしッ!」等)が沢山出てきて、その度に心を掴まれていた。
    今回も沢山のコトバ達に泣いたりじーんと温かくなったり、と心に染み渡る。
    『昨夜のカレー、明日のパン』の時もそうだったけれど、木皿さんが描く「死」は悲しさだけで終わることはない。
    「死」と「生」に対する木皿さんの温かで柔らかな眼差しに私はいつも救われる。
    「目に見えなくとも、それはたしかにある」
    ナスミの死によって、ナスミを取り巻く人達の絆が緩やかに結ばれていく様に感動した。
    笑子ばぁちゃんが教えてくれた呪文のコトバ、私も行き詰まった時取り敢えず唱えてみようかな。
    「生きることは、『続けッ!』なのだ」から。

    新春ドラマ『富士ファミリー』のスピンオフ的作品。
    この作品も是非ドラマ化してほしい。

  • 夫婦コンビの作家である木皿泉さんの作品。冗談のような名前のナスミさんは生き方考え方が男前で生前も亡くなったあともずっと縁ある人々と確かに繋がり続けていることが解る話。14話のそれぞれが次々とリレーされて行き共通の縦串がナスミさんになっている。一富士 二鷹 三なすび(なすみ)♪
    ナスミさんが如何にも小気味よい!

  • 木皿泉氏は ”昨夜のカレー、明日のパン”以来。
    あれは だいぶ前に亡くなった夫を抱えるようにして暮らす 妻とギフがメインだった。
    ドラマもよかった。 すごくゆっくりだけど ひにち薬が効いていく感じが沁みた。

    本作は、現在進行形で ナスミが亡くなっていく。
    40代、癌。 
    そんな知り合いが幾人かいた。

    ナスミはなかなかに自由に意志的に生きた人で、あちらの世界に行くのもわりとさっぱりと。
    彼女に近い人たちも、割合に準備がでてきているというか。

    もうちょっと彼女とは遠い人たちの話は、だいぶ寓話的なイイ話。ちょっと定型的かと感じたけれど、日常的には会っていない過去の人の訃報に、突然今の自分の姿を映してみる。

    なんだかやっぱりむしょうに寂しくなる話だった。

    • kouhei1813さん
      ドラマは見損なっています、富士ファミリーでよかったでしょうか?TSUTAYAで借ります。
      ドラマは見損なっています、富士ファミリーでよかったでしょうか?TSUTAYAで借ります。
      2018/07/31
  • 《生》と《死》がテーマの様に感じた。

    1人の人の《死》を様々な立場や感情、
    視点から《その人》について想いを巡らす。

    人が亡くなる時、
    生きている人は亡くなっ人を改めて見つめ直す。
    そして生きてる人は自分を見つめ直す。
    ああいう風に生きたい。こういう風に生きたい。

    人が亡くなる事は特別な事の様に感じるけど
    そうではなく当たり前のこと。

    自分が最期に何となく良い人生だったなと
    思えるように生きたい。
    そんな風に前を向ける本でした。

    良かった。

  • 読了後「何か沢山のものが詰まっていたのに読みこぼした」という感じがして、そのまま再読するという珍しい体験をしました。

    いきなり主人公のなすみが死んでしまいます。
    全14話。なすみの姿が見え隠れしながら、彼女をめぐる人々の生き様が描かれて行きます。
    身の回りで起こる「よいことも悪いことも受け止めて」、怒ったり、多くは笑い飛ばしながら「最善を尽く」して生き抜いたなすみ。そしてその生き様に少なからず影響を受けた周りの人々の話です。
    辻褄が合わない所があったり、オカルトっぽくなったりする所はどうかとも思いますが、どこか丁寧に作られた「余白の多さ」を感じさせます。静かで、穏やかに、そして温かく描かれた物語。
    未見のNHKの正月ドラマ『富士ファミリー』の関連作品(木皿さんは夫婦の脚本家です)だそうですが、設定は少し変わっているようです。

  • ナスミの死をを元に家族、友人、恋人たちの人生が関わっていく短編集擬きの小説。
    ナスミが人柄が死後に周りの人の幸せに影響する。
    読み始めは、展開がよく理解できなかったが、構成が理解できるとすんなりと読める。
    生と死、読み方によっては深い小説と言える。

  • 木皿さんの作品が本当に好き!
    ここにはいないあなたを想って。
    命ってなんだろう。

    大切な人に会いたくなる本!
    胸がぎゅってあったかくなる本です。

  • 物語の主人公は最初にいなくなってしまうので全く謎なまま始まります。
    話しが進むにつれて、分かってくることはあるけれど、それは残された人達の物語。
    もしかしたら生きるって思っているよりはいいことなのかもしれません。
    人が死んだら悲しいのは当たり前です。
    でもそこで全てが無くなるわけじゃない。
    悲しいだけじゃないよ、と暖かい気持ちになれた気がします。

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プロフィール

木皿 泉(きざら いずみ)
日本の脚本家・作家で、和泉 務(いずみ つとむ)と妻鹿 年季子(めが ときこ)夫妻2人の共同ペンネーム。
『やっぱり猫が好き』から2人共作となり活動を続けている。『すいか』『野ブタ。をプロデュース』、『セクシーボイスアンドロボ』『Q10』などのテレビドラマの優れた脚本家として知られる一方、2013年に9年越しで書かれた初小説『昨夜のカレー、明日のパン』が極めて高い評価を受け、第11回本屋大賞(第2位)、第27回山本周五郎賞の候補に選出。自身の脚本によってドラマ化もされた代表作となる。

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