さざなみのよる

著者 :
  • 河出書房新社
3.80
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本棚登録 : 3724
レビュー : 422
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309025254

作品紹介・あらすじ

小国ナスミ、享年43。その死は湖に落ちた雫の波紋のように家族や友人、知人へと広がり――命のまばゆさを描く感動と祝福の物語!

感想・レビュー・書評

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  • 小国ナスミ・享年43。
    その死は湖に落ちた雫のように
    家族や友人、知人へと広がりー。


    数年前のお正月のドラマ「富士ファミリー」のナスミ。
    ドラマでは、ナスミが亡くなった後の贋コンビニと呼ばれている
    スーパーマーケット「富士ファミリー」での日々を描いていて、
    ナスミは笑子おばあちゃんにしか見えない幽霊で、
    時々、所々で登場してた。
    ドラマはとにかく、笑えて切なくてでもほのぼのしてて
    やっぱり笑えた。
    そのイメージで読み始めましたが…。
    末期がんのナスミの心情から物語が始まり、
    胸がギュッと痛く…何とも言えない感情がずっと続いた。

    ドラマでは描かれていなかったナスミの人生…。
    どう生きて、どんな人とどの様に関わっていたのか。
    その人がナスミをどう思っていたのか。
    ナスミが人生をどのように変えたのか。
    43歳で亡くなるって凄く早くって短い人生だと思ってましたが、
    凄く凄く濃くって素晴らしい43年の人生だったんだってわかった。

    何気ない日常の一瞬一瞬が愛おしくって大切なんだって思ってた。
    ナスミの事大好きだった。
    この本を読んでもっと、もっと大好きになりました。
    ナスミの様に生きたいって思った。
    よいことも悪いことも受け止めて、最善をつくす!
    色んなナスミの言葉に救われる思いでした。

    読んでる間中、切なくてずっと涙が零れそうで、
    でも胸が温かくなっていました。
    とても素晴らしかった(*´ `*)

  • 身近な人を亡くすということは、ただただ深い悲しみをももたらすことのような気がするけれど、それはもしかするとちょっと違うのかも、と。
    誰か大切な人が「生きていた」ことによって、自分とその人の間に大きな変化が生まれる。その変化が今度はその人を亡くす時にまた大きく動く。自分がこの先その人のいない世界で生きていくこと、その意味と進むべき道を自分で見つける。それを見つけること、それこそがその人が生きていて自分と共にあった意味なのだろう。
    「よいことも悪いことも受け止めて、最善を尽く」して生きたナスミに私も会いたかった。いや、私もナスミのように生きたい。がはははと大声で笑いながら最善を尽くして、そして逝きたい。
    木皿さんの描く人を亡くす哀しみの向こう側。本当に大好きだ。

  • 昨年末に実父が他界した私にとっては、いろんなことを思い出し、涙を流しながらの読書となった

    富士山を背景に、仁王立ちになって
    「よいことも悪いことも受けとめて、最善を尽くすッ!」
    と言い放ったナスミ。思い通りにならぬこともあったはずなのに、いつも笑いとばして、その言葉通りに43歳の人生を生き抜いたナスミ

    自分が亡くなった後、悲しむであろう人のことを考え、いろんなことを画策して亡くなった

    柱につけた目玉のダイヤモンド
    夫の日出男に遺した自撮りのビデオメッセージ・・・
    かっこよすぎる! 悲しすぎる! 自分のことだけ考えていればいいのに・・・

    「今は、私がもどれる場所でありたいの。誰かが、私にもどりたいって思ってくれるようなそんな人になりたい」とナスミが言ったように、ナスミが亡くなっても、みんなの心にちゃんとナスミは居て、折につけてみんなナスミに戻っている

    これだけたくさんの人の心の中に優しさや勇気や笑いを遺していったナスミ

    寺地はるなさんの「夜が暗いとは限らない」の中に
    「死んだ人間は天国にもどこにも行かん。死んだら小さいたくさんのかけらになって散らばって、たくさんの人間に吸収される。生きてる人間の一部になってとどまり続ける」
    というおじいちゃんの言葉があり、それがずっと心に残っていたが、まさしくこの通りだなと思う

    一人の人間の人生が終わっても、それは『完』でも『おわり』でもなく、『続けッ!」なのだ

    いつまでもくよくよメソメソしていたら、ナスミに背中をバシッと叩かれ、「ガハハハ」と笑われそうだ
    「いつまでメソメソしてんだよッ」と
    夜空に点滅する飛行機の光がとても小さくチカッと瞬いたのを見て亡くなった義父がちゃんと生きていると気づいた利恵のように、私も夜空に光る飛行機の点滅灯を見て、父を偲びたい

  • 43歳で亡くなったナスミ。皆んなが思い出すナスミの姿がなんとも大らかで器が大きくてカッコいい。いつでもガハハと笑っていて、皆んなの背中を押してくれる。微笑む、くらいじゃなく、ガハハと笑って生きていけたらいいなと思う。笑子ばあさんの「笑子」って名前が楽しい一家の血を表してるような気がする。

    ナスミが小泉今日子、笑子ばあさんが片桐はいりでやってたドラマのエピソード0的な小説。この配役見ただけでも楽しい一家なのは分かるよね〜。ドラマも最高に面白かった。木皿泉さんのドラマはいつもホロっとさせ過ぎずガハハと笑わせてもらえて大好き。
    この小説も何回も読み返したくなるようなすっごくいいお話でした。

  • 木皿泉さん、「昨夜のカレー、明日のパン」以来の2冊目。

    ゆっくり味わおうと大事に読み始めました。ところがどうでしょう、、読む手が止まらない、涙も止めどとなく流れ落ちる。こんな小説だったのか、、正直ここまでとは思っていませんでした。なんと優しさに包まれたストーリーなんでしょう。

    この物語は、ナスミさんという一人の女性の早すぎる死と、彼女に関わった人たちの話で構成されれています。このナスミさんという方が、なんという男前な女性だったんだろうと、、読後にまず思いました。そんじゃそこらのみみっちい男には到底できないような、潔さ、気持ちよさ、明るさ、強さ、関わった人の記憶から決して離れない人間性、本当に素敵な女性だったんだと実感します。ナスミさんの親族・関わった人たちがそれぞれの人生を生きていく中で、ナスミさんの死を一生懸命受け止め、前向きに進んでいく姿に涙が止まらなくなりました。

    生きていることはそれだけで素晴らしい。だから、いろいろあるけど、前を向いて胸を張って生きていこう。そんなことを思わせてくれました。

    人は生ある限り必ず死ぬ。でも死に様というのはやっぱりあるんだなと思いました。死に様というのは、何も死ぬ直前の死に方ではなく、その人が生前どう精いっぱい生きたか、ということなのではないかと解釈しました。

    登場人物の一人、光は思う。「ただやってきて、去ってゆく。なすみちゃんがこの家から去って、自分がこの家にやってきたように。誰かが決めたわけではなく、図書館の本を借りて返すような、そんな感じなんじゃないだろうか。本はだれのものでもないはずなのに、読むと、その人だけのものになってしまう。命がやどる、とはそんな感じなのかなぁ。」我々の魂がほんのひと時、人間の体にやどるとき、私たちは図書館の本のようなものだ、と著者は表現しています。有限の命の炎をどのように燃やすのか、返却期限は必ずあるので考えねばと思いました。

    • まことさん
      kanegon69さん、こんばんは!
      さざなみのよる、よかったですよね!
      私はナスミさんのような友達か姉妹が欲しいと思いました。
      あと...
      kanegon69さん、こんばんは!
      さざなみのよる、よかったですよね!
      私はナスミさんのような友達か姉妹が欲しいと思いました。
      あと、話変わって、今、うちのPCの不具合でネットになかなか接続できなくなってしまったので、いいね!こなくても、無視してるわけではないので、よろしく。(PC買い替えだったらどーしよーかと思ってます。。。)
      2019/04/30
    • kanegon69 さん
      まことさん、この本、涙ダダ漏れでした。NHKの富士ファミリーというドラマが土台のようです!

      PC大変ですね! いいね、は私は気にするタイプ...
      まことさん、この本、涙ダダ漏れでした。NHKの富士ファミリーというドラマが土台のようです!

      PC大変ですね! いいね、は私は気にするタイプではないので大丈夫です^ ^
      2019/04/30
    • まことさん
      今、いいね!する前に接続切れたので、またきました。
      kanegon69さんって涙もろくてやさしいのですね。うん。では、またいつお会いできる...
      今、いいね!する前に接続切れたので、またきました。
      kanegon69さんって涙もろくてやさしいのですね。うん。では、またいつお会いできるかわかりませんが。

      2019/04/30
  • 「よいことも悪いことも受け止めて、最善をつくすッ!」
    大空にくっきり見える富士山を背景に、仁王立ちして高らかに言い放つナスミの姿が目に浮かぶようだ。

    富士山が間近に見える田舎町のスーパーマーケット「富士ファミリー」を営む三姉妹の次女・ナスミを巡る連作短編。
    今まで読んだ木皿作品にも印象に残るコトバ(「いてよしッ!」等)が沢山出てきて、その度に心を掴まれていた。
    今回も沢山のコトバ達に泣いたりじーんと温かくなったり、と心に染み渡る。
    『昨夜のカレー、明日のパン』の時もそうだったけれど、木皿さんが描く「死」は悲しさだけで終わることはない。
    「死」と「生」に対する木皿さんの温かで柔らかな眼差しに私はいつも救われる。
    「目に見えなくとも、それはたしかにある」
    ナスミの死によって、ナスミを取り巻く人達の絆が緩やかに結ばれていく様に感動した。
    笑子ばぁちゃんが教えてくれた呪文のコトバ、私も行き詰まった時取り敢えず唱えてみようかな。
    「生きることは、『続けッ!』なのだ」から。

    新春ドラマ『富士ファミリー』のスピンオフ的作品。
    この作品も是非ドラマ化してほしい。

  • いい本だぁって思った。

    ー 死後の世界、ってあの世ってことじゃなくて、この世こそたっくさんの人の死後の世界なんだ!

    この本に寄せた片桐はいりさんのコメント。
    死してもその人の生きた跡はこの世にたっくさん残る。
    それは「亡霊」や「幽霊」と言って時に恐れられるけど、大切に大切に引き継がれてきたからこそ、我々はここにあるのだ、と当たり前のことを改めて感じた。

    ナスミの亡くなる場面から始まり、読み進むにつれて、ナスミを取り巻く世界が徐々に広がって見えてくる。
    画期的な小説だな、と思った。

    生きていく勇気もたくさんもらった。

  •  人は誰でもいつかは亡くなる。そんな当たり前のことを改めて気づかされた。
     
     昔、子どもの頃、自分が死んだらどうなるんだろう?と凄く不安になったことを思い出す。それは、死ぬことが怖いということもあるが、それ以上に、自分の魂はどこにいくんだろう?とか、この感情を持った『私』という存在が無くなってしまうとうことに、どうしようもなく不安になり、心の奥底をギュッと握りつぶされるように苦しくなるのだった。
     それも歳を重ねるに従って、そういうことを考えることすら無くなったのだが、この物語を読んで久しぶりにそういった感情が沸いてきたことに戸惑った。

     主人公、ナスミは43歳で亡くなる。ナスミと関りがあった人たちの目を通してナスミを思い出すような形式の連作短編集だ。
     ナスミはあくまでも普通の女性であり、普通の主婦だった。でも、みんなの心を揺さぶり続けた。ただ、ナスミは人よりほんの少し責任感が強く、どんなことに対しても笑い飛ばせる強い人間だった。もしかしたら、ナスミにとって周りの人たちもそういった存在だったのではないだろうか。
     そう考えたら、私も、私の周りにいる人たちもそういう存在なのかもしれないと気づかされた。一期一会という言葉があるが、出会った人たちを大切にできるようになりたいと思った。
     つまらないと感じる日常も、考え方ひとつで少しだけ楽しくなるかもしれない。辛いことがあってもガハハと笑い飛ばせる人間になりたい。

  • 贋コンビニ[富士ファミリー]の三姉妹の次女ナスミが若くして癌でなくなるところからはじまる。

    人がなくなるって、なんだかすごいことだよ。いろんなところで、いろんな影響を受けたりしてて、その人の生きざまはなくなったときに知るんだよね。
    さざ波のように生きざまは受け継がれていくのかな。

    じんと泣けたり、ププッとなったり、忙しい本でした。でも心はおだやかになる。
    そんな優しいお話。

    余談
    ナスミの好きだった漫画の作者、
    樹王光林さんに鷹子さんが最終回を教えてもらいに何度もいったとき、受付で先生のことをリンゴサンと口走ったところにツボってしまい。
    バスの中でもこらえるのに必死。
    ナスミのようにガハハと笑いたかったぁ➰

  • 「昨日のカレー、明日のパン」に続き、亡くなった人の話。
    生きている限り、悔いのないように生きようと改めて考えさせられた。

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著者プロフィール

夫婦脚本家。ドラマ「すいか」で向田邦子賞、「Q10」「しあわせのカタチ~脚本家・木皿泉 創作の“世界”」で2年連続ギャラクシー賞優秀賞。他に「野ブタ。をプロデュース」等。著書『二度寝で番茶』など。

「2020年 『さざなみのよる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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