さざなみのよる

著者 :
  • 河出書房新社
3.87
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本棚登録 : 2123
レビュー : 258
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309025254

作品紹介・あらすじ

小国ナスミ、享年43。その死は湖に落ちた雫の波紋のように家族や友人、知人へと広がり――命のまばゆさを描く感動と祝福の物語!

感想・レビュー・書評

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  • 小国ナスミ・享年43。
    その死は湖に落ちた雫のように
    家族や友人、知人へと広がりー。


    数年前のお正月のドラマ「富士ファミリー」のナスミ。
    ドラマでは、ナスミが亡くなった後の贋コンビニと呼ばれている
    スーパーマーケット「富士ファミリー」での日々を描いていて、
    ナスミは笑子おばあちゃんにしか見えない幽霊で、
    時々、所々で登場してた。
    ドラマはとにかく、笑えて切なくてでもほのぼのしてて
    やっぱり笑えた。
    そのイメージで読み始めましたが…。
    末期がんのナスミの心情から物語が始まり、
    胸がギュッと痛く…何とも言えない感情がずっと続いた。

    ドラマでは描かれていなかったナスミの人生…。
    どう生きて、どんな人とどの様に関わっていたのか。
    その人がナスミをどう思っていたのか。
    ナスミが人生をどのように変えたのか。
    43歳で亡くなるって凄く早くって短い人生だと思ってましたが、
    凄く凄く濃くって素晴らしい43年の人生だったんだってわかった。

    何気ない日常の一瞬一瞬が愛おしくって大切なんだって思ってた。
    ナスミの事大好きだった。
    この本を読んでもっと、もっと大好きになりました。
    ナスミの様に生きたいって思った。
    よいことも悪いことも受け止めて、最善をつくす!
    色んなナスミの言葉に救われる思いでした。

    読んでる間中、切なくてずっと涙が零れそうで、
    でも胸が温かくなっていました。
    とても素晴らしかった(*´ `*)

  • この作品を読んで、死ぬ時がさらに怖くなったような、怖くなくなったような、微妙な気持ち。最後の最後に、私は私でよかったんだと思えるような人生を送りたい。

    生きたい気持ちと、もういいやと思う気持ちが交互に…その間隔が短くなっていく…辛い。
    最後までとてもリアルでした。

    本人もリアルだけど、周りもリアル。大切な人を失う時にやる事はいっぱいで、ドラマのようにただただ悲しんではいられない…旦那さんが写真を選ぶところは泣ける。

    ナスミが死んでからはナスミの家族や友人、知人へと話が広がっていく。みんなナスミを大事に思い、ナスミの笑顔を忘れない、やっぱりナスミの人生はいい人生だったね。

    ナスミの言葉はみんなに響きいつまでも心に残る。カッコいい。
    「うまくやんなよ」って言葉が響いて。うまくやるって何?とも思うけど、誰かに言ってあげたい。「頑張れ」よりいいかなって。

    「もどりたいと思った瞬間、人はもどれるんだよ」

  • 身近な人を亡くすということは、ただただ深い悲しみをももたらすことのような気がするけれど、それはもしかするとちょっと違うのかも、と。
    誰か大切な人が「生きていた」ことによって、自分とその人の間に大きな変化が生まれる。その変化が今度はその人を亡くす時にまた大きく動く。自分がこの先その人のいない世界で生きていくこと、その意味と進むべき道を自分で見つける。それを見つけること、それこそがその人が生きていて自分と共にあった意味なのだろう。
    「よいことも悪いことも受け止めて、最善を尽く」して生きたナスミに私も会いたかった。いや、私もナスミのように生きたい。がはははと大声で笑いながら最善を尽くして、そして逝きたい。
    木皿さんの描く人を亡くす哀しみの向こう側。本当に大好きだ。

  • 「よいことも悪いことも受け止めて、最善をつくすッ!」
    大空にくっきり見える富士山を背景に、仁王立ちして高らかに言い放つナスミの姿が目に浮かぶようだ。

    富士山が間近に見える田舎町のスーパーマーケット「富士ファミリー」を営む三姉妹の次女・ナスミを巡る連作短編。
    今まで読んだ木皿作品にも印象に残るコトバ(「いてよしッ!」等)が沢山出てきて、その度に心を掴まれていた。
    今回も沢山のコトバ達に泣いたりじーんと温かくなったり、と心に染み渡る。
    『昨夜のカレー、明日のパン』の時もそうだったけれど、木皿さんが描く「死」は悲しさだけで終わることはない。
    「死」と「生」に対する木皿さんの温かで柔らかな眼差しに私はいつも救われる。
    「目に見えなくとも、それはたしかにある」
    ナスミの死によって、ナスミを取り巻く人達の絆が緩やかに結ばれていく様に感動した。
    笑子ばぁちゃんが教えてくれた呪文のコトバ、私も行き詰まった時取り敢えず唱えてみようかな。
    「生きることは、『続けッ!』なのだ」から。

    新春ドラマ『富士ファミリー』のスピンオフ的作品。
    この作品も是非ドラマ化してほしい。

  • いい本だぁって思った。

    ー 死後の世界、ってあの世ってことじゃなくて、この世こそたっくさんの人の死後の世界なんだ!

    この本に寄せた片桐はいりさんのコメント。
    死してもその人の生きた跡はこの世にたっくさん残る。
    それは「亡霊」や「幽霊」と言って時に恐れられるけど、大切に大切に引き継がれてきたからこそ、我々はここにあるのだ、と当たり前のことを改めて感じた。

    ナスミの亡くなる場面から始まり、読み進むにつれて、ナスミを取り巻く世界が徐々に広がって見えてくる。
    画期的な小説だな、と思った。

    生きていく勇気もたくさんもらった。

  • 夫婦コンビの作家である木皿泉さんの作品。冗談のような名前のナスミさんは生き方考え方が男前で生前も亡くなったあともずっと縁ある人々と確かに繋がり続けていることが解る話。14話のそれぞれが次々とリレーされて行き共通の縦串がナスミさんになっている。一富士 二鷹 三なすび(なすみ)♪
    ナスミさんが如何にも小気味よい!

  • ナスミが亡くなる。その死が周りの人にさざなみのように広がり、一人一人の愛情の物語が語られる。一つ一つ暖かい、随所に出てくるナスミの言葉や物語の雰囲気に励まされたり癒されたり。まさしく、読後も心にさざなみがたどり着いたようで緩やかに暖かく。
    ナスミの言葉は心に響くなあ。死は誰にでもある。突然やってくる人もいる。それを忘れてはいけない。精一杯行きたくなった、そう思う一冊。

  • 前作もよかったけど、本作も本当によかった。
    強力にお勧めしたい!!

    人が一人いなくなってしまうことが
    どんなに周囲の人間に影響をあたえるのか
    当然のことなのに改めてはっとさせられる。

    どうしたらこんなに肩の力が抜けていて
    心情の捉え方が斬新で
    胸の奥まで温まるような文章がかけるのか
    小説は2作品だけ、もっともっと書いて欲しい。
    もっともっと読みたい。

    「あの人がいた頃に戻りたい」
    誰もがそう思われる人生でありますように。

  • 木皿泉氏は ”昨夜のカレー、明日のパン”以来。
    あれは だいぶ前に亡くなった夫を抱えるようにして暮らす 妻とギフがメインだった。
    ドラマもよかった。 すごくゆっくりだけど ひにち薬が効いていく感じが沁みた。

    本作は、現在進行形で ナスミが亡くなっていく。
    40代、癌。 
    そんな知り合いが幾人かいた。

    ナスミはなかなかに自由に意志的に生きた人で、あちらの世界に行くのもわりとさっぱりと。
    彼女に近い人たちも、割合に準備がでてきているというか。

    もうちょっと彼女とは遠い人たちの話は、だいぶ寓話的なイイ話。ちょっと定型的かと感じたけれど、日常的には会っていない過去の人の訃報に、突然今の自分の姿を映してみる。

    なんだかやっぱりむしょうに寂しくなる話だった。

    • kouhei1813さん
      ドラマは見損なっています、富士ファミリーでよかったでしょうか?TSUTAYAで借ります。
      ドラマは見損なっています、富士ファミリーでよかったでしょうか?TSUTAYAで借ります。
      2018/07/31
  • 木皿泉さん、「昨夜のカレー、明日のパン」以来の2冊目。

    ゆっくり味わおうと大事に読み始めました。ところがどうでしょう、、読む手が止まらない、涙も止めどとなく流れ落ちる。こんな小説だったのか、、正直ここまでとは思っていませんでした。なんと優しさに包まれたストーリーなんでしょう。

    この物語は、ナスミさんという一人の女性の早すぎる死と、彼女に関わった人たちの話で構成されれています。このナスミさんという方が、なんという男前な女性だったんだろうと、、読後にまず思いました。そんじゃそこらのみみっちい男には到底できないような、潔さ、気持ちよさ、明るさ、強さ、関わった人の記憶から決して離れない人間性、本当に素敵な女性だったんだと実感します。ナスミさんの親族・関わった人たちがそれぞれの人生を生きていく中で、ナスミさんの死を一生懸命受け止め、前向きに進んでいく姿に涙が止まらなくなりました。

    生きていることはそれだけで素晴らしい。だから、いろいろあるけど、前を向いて胸を張って生きていこう。そんなことを思わせてくれました。

    人は生ある限り必ず死ぬ。でも死に様というのはやっぱりあるんだなと思いました。死に様というのは、何も死ぬ直前の死に方ではなく、その人が生前どう精いっぱい生きたか、ということなのではないかと解釈しました。

    登場人物の一人、光は思う。「ただやってきて、去ってゆく。なすみちゃんがこの家から去って、自分がこの家にやってきたように。誰かが決めたわけではなく、図書館の本を借りて返すような、そんな感じなんじゃないだろうか。本はだれのものでもないはずなのに、読むと、その人だけのものになってしまう。命がやどる、とはそんな感じなのかなぁ。」我々の魂がほんのひと時、人間の体にやどるとき、私たちは図書館の本のようなものだ、と著者は表現しています。有限の命の炎をどのように燃やすのか、返却期限は必ずあるので考えねばと思いました。

    • まことさん
      kanegon69さん、こんばんは!
      さざなみのよる、よかったですよね!
      私はナスミさんのような友達か姉妹が欲しいと思いました。
      あと...
      kanegon69さん、こんばんは!
      さざなみのよる、よかったですよね!
      私はナスミさんのような友達か姉妹が欲しいと思いました。
      あと、話変わって、今、うちのPCの不具合でネットになかなか接続できなくなってしまったので、いいね!こなくても、無視してるわけではないので、よろしく。(PC買い替えだったらどーしよーかと思ってます。。。)
      2019/04/30
    • kanegon69 さん
      まことさん、この本、涙ダダ漏れでした。NHKの富士ファミリーというドラマが土台のようです!

      PC大変ですね! いいね、は私は気にするタイプ...
      まことさん、この本、涙ダダ漏れでした。NHKの富士ファミリーというドラマが土台のようです!

      PC大変ですね! いいね、は私は気にするタイプではないので大丈夫です^ ^
      2019/04/30
    • まことさん
      今、いいね!する前に接続切れたので、またきました。
      kanegon69さんって涙もろくてやさしいのですね。うん。では、またいつお会いできる...
      今、いいね!する前に接続切れたので、またきました。
      kanegon69さんって涙もろくてやさしいのですね。うん。では、またいつお会いできるかわかりませんが。

      2019/04/30
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著者プロフィール

木皿 泉(きざら いずみ)
日本の脚本家・作家で、和泉 務(いずみ つとむ)と妻鹿 年季子(めが ときこ)夫妻2人の共同ペンネーム。
『やっぱり猫が好き』から2人共作となり活動を続けている。『すいか』『野ブタ。をプロデュース』、『セクシーボイスアンドロボ』『Q10』などのテレビドラマの優れた脚本家として知られる一方、2013年に9年越しで書かれた初小説『昨夜のカレー、明日のパン』が極めて高い評価を受け、第11回本屋大賞(第2位)、第27回山本周五郎賞の候補に選出。自身の脚本によってドラマ化もされた代表作となる。
小説第二作目、最新刊として2018年4月刊行、『さざなみのよる』がある。

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