平家物語 犬王の巻

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309025445

感想・レビュー・書評

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  • 能役者・犬王と琵琶法師・友魚。
    2人の室町時代のポップスターを独特の語り口でいきいきと描き上げています。
    もともと池澤夏樹氏編集の日本文学全集(河出書房新社)で、古川日出男氏が『平家物語』を現代語訳をされているものを読みたいと思っていたのですが、アニメ映画『犬王』のCMで女王蜂のアヴちゃん演じる犬王の歌声に痺れてしまい、本書から読んでみることにしました。

    琵琶法師の語りを思わせる臨場感あふれる力強い文章に一気に引き込まれました。
    1つ1つの章は短いけれど、その中に、呪いや亡霊といった不可思議なもの、権力や栄華に囚われたおろかな人間のふるまい、そしてそれらを浄化するような革命的なパフォーマンスなどが、ぎゅっと凝縮されていて、物語の疾走感がとても気持ち良かったです。

    文字を読んだにも関わらず、語りの声を聴いていたかのような読後感。
    目の前で1人の人間が"語る"、ということの凄みを疑似体験できたように感じました。

  • 女王蜂アブちゃんのファンで、映画『犬王』を5回も見ました。その流れでこの本を読むと、より詳しく内容が分かって面白かったです。
    腕塚や鯨の歌詞がこう意味なんだっと理解する事ができて、また映画を見たくなりました。

  • 映画を観て面白かったので
    原作本も読了しました^ ^

    映像が先だったので、
    頭の中で映画が再生されて楽しかったです。
    映画の中で、話が少しわからなかったところは
    本を読んで理解できました^ ^

    友魚と犬王の友情が素敵だけど
    少し悲しく、余韻がある終わり方でした。

  • 映画を見る前に読んでみた。原作は友魚と犬王の視点で時系列が行き来し、登場人物の説明もあるので映画の理解がより深まると思う。

  • 古川作品ならではというのか、すごい疾走感。文字を読んでいるのに、誰かが語っているかのような(と感じさせるだけで、この小説は「成功」だと思う)緩急と風を感じる。
    諸行無常といえばその通りで、そこに物足りなさを感じないわけではないけど、諸行無常でなければ平家物語でもないわけで……。
    一言で言えば「ヤバい」で、まだこの一言しか出ないけど……森山未來+アヴちゃんでアニメ映画化が楽しみすぎる。

  • 面白い、どんどん、どんどん読んで、先に進みたくなる。
    それでどうなった、と問いたくなる。

    犬王を早乙女太一さんに演ってほしい(演出・出演で)、と思いながら読んでいたら
    まさに美しい女形にもなる犬王。ぴったりではないか。
    これは、平家物語の方も是非読みたい。

  • 文章のテンポがよく、ものがたりを聴いているよう。

    これがどんなアニメになっていくか楽しみ。

  • 優しい、犬王は本当に
    優しいだけでなく出自の痛ましさを物ともせず前向きで卑屈なところは見せない気概もある
    その心の強さ、友魚との友情に支えられていたところもあるのだろうな
    わかりにくいようで読み進めればなるほどと謎が解き明かされ、あの話がここに繋がるのかと構成の面白みがあった
    野木さん脚本での映画化が楽しみ

  • 好きな脚本家、監督の手によって映像化されるとのことで、待ちきれず原作を手に取りました。
    一気に読んでしまった、自分の脳内に語り部が宿ったかのように、リズムよく物語が進んでいく。
    設定がとてもよい、犬王と友名(のちの友一、友有)の生い立ちや出会いは事柄起こるべくして起こったといえる。すべてに意味がある筋書きに、ものすごい構成力を感じる…。
    犬王が美を得て、それ「魚名」がいっきに吟い上げていく後半はほんとうに面白かった。そして権力者足利家によってその言葉が封じられていくさまに、いまの日本の姿が重なった。芸能(芸術)や伝聞の類がいまの時代まで語り継ぐことのできなかった派生の歴史は幾数かしれず、消えていったほんとうの真実への供養になるといい。
    (野木さんがこの作品に選ばれた orもしくは選んだ?理由がなんとなくわかる気がする。)

  • 頁数は少ないんだけど、物語は重厚だった。この急かすような感じはなんだろうか。とても良かった。

著者プロフィール

1966年生まれ。著作に『13』『沈黙』『アビシニアン』『アラビアの夜の種族』『中国行きのスロウ・ボートRMX』『サウンドトラック』『ボディ・アンド・ソウル』『gift』『ベルカ、吠えないのか?』『LOVE』『ロックンロール七部作』『ルート350』『僕たちは歩かない』『サマーバケーションEP』『ハル、ハル、ハル』『ゴッドスター』『聖家族』『MUSIC』『4444』『ノン+フィクション』『TYOゴシック』。対談集に『フルカワヒデオスピークス!』。CD作品にフルカワヒデオプラス『MUSIC:無謀の季節』the coffee group『ワンコインからワンドリップ』がある。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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