花歌は、うたう

著者 :
  • 河出書房新社
3.42
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本棚登録 : 212
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309026121

感想・レビュー・書評

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  • ★3.5

    幼馴染の勧めで歌をうたうことに真剣に向き合い始めた花歌・17歳は、
    父親譲りの天才的な音楽の才能を花開かせていく。
    そんな中、父・ハルオの目撃情報が届きー。
    天才的ミュージシャンだった父の失踪から9年。
    秘められた音楽の才能が花開くとき、止まっていた時が動き始めるー。

    やはり、人を見つめる目が優しい。
    やわらかな筆致で描かれていた。
    登場人物が皆、良い人ばかり。
    ちょっと上手く行き過ぎってのもありますが、
    それが小路さんですよね(笑)
    とても気持ち良く読めました。
    いつも猫ちゃんか登場するのもほんわかしました。
    何処か東京バンドワゴンシリーズを思い出させられました。

    花歌の祖母であるうたは、いわゆる「お妾さん」だった自分の事を
    「あたしは自分の人生に対して一度だって顔を下に向けた事はなかった」
    と言い切る潔さが素晴らしい。
    文中に登場するうたさんの言葉の数々が胸に響きました。
    うたさんかっこ良過ぎ(*´▽`*)
    この物語をピリリと締めてくれていました。

  • うたさんのきっぷがいいね。小路幸也らしい抜群のストーリーテリングでした。

  • ★スゲェ! って笑ってます(p.276)。らーらりるらら すっとこどっこい(p.111)
    『マイ・ディア・ポリスマン』と近い形式で登場人物たちそれぞれの視点から描かれる。そしてやはり、みんないい人。かつどこかすぐれている人たち。かなり有名だったミュージシャンである父は失踪中だがとくに問題もなく明るく育っている花歌(はなか)にも音楽の才能があるようで歌をつくりはじめ、そしてすべてが動きはじめる。いずれバンドワゴンとのコラボがあったりして?

    ▼簡単なメモ
    【一行目】高校生? 十七歳? そうかぁ、もうそんなになるんだねぇ。

    【茜】美紀の娘。小学二年生。
    【市川】ジャズ喫茶犬狼都市(キュノポリス)のマスター。
    【今藤享一/いまふじ・きょういち】グラフィックデザイナー。リョーチの兄。ナンバーワンアーティストとしてハルオをあげる。
    【うたお祖母ちゃん】岩崎うた。六十七歳。花歌の祖母。理想のお祖母ちゃん。
    【えっちゃん】花歌、むっちゃんと仲がいい。
    【楽器】《たぶん、楽器を演奏することを人生の一部に選んだ人って、感情を表に出すことが普通の人より上手なんじゃないかな。そんな気がする。》p.37。《楽器を持ってその場に入っていくと、それだけで子供たちの瞳が輝かないかい。キラキラとさ》p.47
    【廉清/かどせい】小料理屋、主人の清政は男気がある。
    【喫茶サンスーン】古い店。
    【恭一】→今藤恭一
    【犬狼都市/きゅのぽりす】博多のジャズ喫茶。澁澤龍彦の小説と関係あるかどうかは不明。マスターがハルオを見かけたらしい。ハルオはウィリー・ネルソンをリクエストしたらしい。ぼくもDVDは持ってます。
    【恋】《恋だよ恋! LOVEだねぇだよ!》p.121。どっかで聞いたセリフやなあ。《世の中の歌は、全部ラブソングだって言い切った人がいるけど。》p.123
    【幸一】佐々岡幸一。むっちゃんの父。四十五歳。獣医。ジャズが好きで防音ルームを持っている。ハルオとは小学校、中学校で同級生だった。
    【紺野マイカ】スタジオミュージシャン。ハルオのアルバムにいつも参加していた。
    【Cちゃん】志津。一年のとき花歌と同級生だった。特別仲のいい友人がいることがわからないと言ったらしい。成績は常に学年トップで孤高の人。
    【皺】《男の皺は刻まれていくけど、女の皺は面取りをしていく。大根の角を丸くするみたいに、皺の面取りをしていく。そうやって、全体に甘くなっていく。》p.136
    【進】むっちゃんの祖父。うたお祖母ちゃんの昔馴染み。
    【トラちゃん】十四歳のおばあちゃん三毛猫。あまりかまってくれないけど名前を呼ぶと必ず返事をしてくれる。
    【似合う】《似合ってるってことは、適性があるってことだ。》p.215
    【花歌/はなか】主人公。十七歳。ギターは上手い。集中したらなんでもできるくらい能力は高いが集中力は高くない。無意識のうちにヘンな歌を歌ってる。おそらく音楽の才能は高い。
    【花子】宮谷花子。花歌の母、ハルオの妻、うたお祖母ちゃんの娘。四十二歳。すごく真面目な人で公務員だがハルオ関係ではときどき突拍子もないことをしでかす。
    【ハルオ】宮谷春男。花歌の父。ミュージシャン。失踪中。《生きる力を、あの子は自分で持っていたのさ》p.51
    【藤代】興信所所長。美江の元カレ。
    【マーチンD-35】ハルオが残していったギター。いまは花歌が弾いている。
    【増岡】喫茶サンスーンのマスター。
    【美紀】ハルオが居候している家の主。
    【美江】水野の母。世話好き。
    【水野雅行】恭一の友人。博多在住。
    【宮谷春男/みやたに・はるお】→ハルオ
    【みゆちゃん】いつも花歌にぎゅーって抱きしめられている。
    【むっちゃん】佐々岡睦美。十七歳。花歌ととても仲がいい。愛嬌があってかわいい。中学からずっと吹奏楽部でアルトサックスを五年吹いている。演奏者としてよりもアレンジャーないしは指揮者としての才能がある感じ。祖父は獣医、父も獣医、母は獣医の看護師?
    【頼子/よりこ】むっちゃんの母。
    【ラク】お祖母ちゃんの口ぐせ《どうやったらラクになるかを考えるのはいい。でも、どうやったらラクできるかを考えるのはよくない。》p.12
    【リョーチ】今藤凌一(いまふじ・りょういち)。小学校からずっと同じ学校で仲がいい。兄の恭一がグラフィックデザイナーでその影響もありMacを使いこなす。映像の才能がある。
    【ロウさん】市川のことかと? 若い頃はミュージシャンで、ハルオのアルバムを出した会社でディレクターをしていた。

  • 初めて読んだ作家さんだったので、少し読みづらいと思いましたが、物語は面白かったです。「人は、自分に与えられたものの中で育って、そして自分にないものを求めて外に出たり、そのままでいいと思ったりする。」という一文、お祖母ちゃんの人柄がとても良かったです。

  • 小路幸也は多作なので、読んでない作品がまだまだある。この本も「いつのまに出てたんだ?」という感じ。
    高校生の主人公は祖母と母と暮らす。ミュージシャンの父親は失踪中だが、主人公の生活に支障はない。やがて幼馴染2人の協力を得て歌の道に進むことを決意。並行して幼馴染の兄は失踪中の父親を捜す旅に出る。最後はうまく収まります。東京バンドワゴンシリーズの雰囲気を残しつつ、音楽の部分に特化したような作品かな。

  • なんて事ない よくあるTVドラマみたいなお話
    でも なぜか 面白い
    一気読みじゃないけど 楽しく読みきりました。
    歌 個性的なボーカリスト
    音痴だから 人をつなぐ歌に 憧れる

  • 小路幸也さんの「知らないうちにガッツリ刊行されてて読めてなかったやつがこんなにあったとはっ!!!」シリーズ!?・・・衝撃の第一弾w

    天才的ミュージシャンだった父の失踪から9年。
    秘められた音楽の才能が花開くとき、止まっていた時が動き始める―。

    幼なじみの勧めで歌をうたうことに真剣に向き合い始めた花歌は、父親譲りの天才的な音楽の才能を花開かせていく。
    そんな中、父・ハルオの目撃情報が届き…。
    祖母・母・娘、三世代女子家庭の再生の物語―。


    まったくもって小路さんらしいお話しw
    登場人物もいつものバッチリ好感度♪
    花歌の祖母のうたと母の花子がいいなぁw
    親友のむっちゃんやリョーチもいいしww

    花歌の歌を聴いてみたくなる一冊♪

  • 安定感のある小路さんの本の中でも
    かなりほんわかする、いい話だった。
    ちゃんとした大人、そうでない大人、年配の人、若者、満遍なく出てきて、人生を語り、決して押し付けず、見守り、必要な時には手を差し伸べて、導く。
    花歌ちゃんの歌が聴きたくなる。

  • 可愛い結末でした。

  • それで どうなるんでしょう。

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著者プロフィール

1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務などを経て、2002年に『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』で、第29回メフィスト賞を受賞して翌年デビュー。温かい筆致と優しい目線で描かれた作品は、ミステリから青春小説、家族小説など多岐にわたる。2013年、代表作である「東京バンドワゴン」シリーズがテレビドラマ化される。おもな著書に、「マイ・ディア・ポリスマン」「花咲小路」「駐在日記」「御挨拶」「国道食堂」「蘆野原偲郷」「すべての神様の十月」シリーズ、『明日は結婚式』(祥伝社)、『素晴らしき国 Great Place』(角川春樹事務所)、『東京カウガール』『ロング・ロング・ホリディ』(以上、PHP文芸文庫)などがある。

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