これから泳ぎにいきませんか: 穂村弘の書評集

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309026282

感想・レビュー・書評

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  • 2020. 8 6 pm
    もう少し、したら 出かけます。

    2021.7.22
    、、、皆様すみません。(_ _;) 私めは、いったい何を考えて、上記のような言葉を書いたのか、さっぱり覚えておりません。本の感想でも何でもないじゃないか!と、自分に怒りを覚えます。

    穂村弘さんの、この書評集を読んで、一番最初にかかれた、山岸涼子さんの『日出処の天子』を、どうしても読みたくなり、古書店で、全巻買って、再読しました。素晴らしかったです。

    今村夏子さんの、『こちらあみ子』も、「ありえない」の塊のような女の子、と書かれていて、読んで、衝撃を受けました。

    川上弘美さんの、『物語が、始まる』
    読んだはずなのに、内容を覚えていなくて、穂村さんの書評を読んで、再読したくなりました。

    一番最後の書評で、大好きだった漫画、森脇真末味さんの、『おんなのこ物語』について、書かれていたのは、嬉しかった。森脇さんの漫画は、絵もストーリーも、他の少女漫画と、一風違っていて、本当に凄かった。穂村さんも、全作品必読です。と、書かれていて、穂村弘、の「弘」というネームは、『緑茶夢』のメインキャラクターである「安倍弘」から貰ったのだそうです。(自家中毒ですぐに吐いちゃう少年ヴォーカリスト……。)


    タイトルの「これから泳ぎにいきませんか」は、二階堂奥歯さんの言葉からつけられたそうです。




  • 表紙の不思議なライオンに見入ってしまいます。
    あ、顔の横から腕がでてて、二足歩行だ。
    ···と、気付いてしまった瞬間、なんとも言えない魅力に絡めとられていました。

    本書は新聞などに掲載された書評や文庫本の解説を集めた1冊です。
    表紙をめくると、今度はほむらさんの文章の魅力にひたひたと満たされました。
    詩や俳句、短歌の本が多い印象。
    読んでみたいと思っているのですが、なかなか自分から手をのばせていなかったジャンルなので、気になったものから読んでみようと思います。

    あと、ずいぶんご無沙汰していた川上弘美作品を読みたい欲が刺激されました。
    1編読むたびに、ほむらさんが思わず友達に電話をかけてしまったほどの「これはなんなのだ?」という静かな興奮を、私も味わいたいのです。

  • 先日、息子が面白半分に
    「コーラにメントス入れると面白いから見てて。」
    と、言うから見てた。
    ポチャン。
    コーラに入れられたソレの発砲力はすざましく、
    忽ちあふれ出した泡を咄嗟に口で受け止めはしたが、
    結果的にテーブルの上は悲惨な状況になってしまった。

    まさか、の想像以上である。
    そういえば。
    読書でも、何気なく読み始めた本が想像以上の面白さだったりすると、心から興奮や感動が溢れ出しそうになる事がある。
    布巾で拭い去るわけにはいかないソレらに言葉を与え『書評』という形で整えた、そんなイメージがする穂村さんの書評集。熱量高めです。

  • 書評集だが、自分がほとんど手にすることのない歌集や詩集が多く取り上げられていて、とても新鮮だった。そうかこういうふうに読むのか、と思う所がいくつもあった。短歌や俳句には心ひかれるが、見る目がないので、よくわからないなあと思うことも多い。一度きちんと向き合いたいと思っているのだけど。

    穂村弘さんの書かれるものにはしばしば、私たちが生きることの二重性について述べたところがあり、私は何度読んでも、ああそうだなあと深く納得してしまう。私たちは「社会」のなかで「生きのびる」必要がある。同時に、「世界」にふれて「生きる」実感を求めずにはいられない。「詩歌を読むことは『世界』に触れて命を蘇らせる快楽を味わうこと」と述べられていて、確かにそうだと思う。

    二重性についてもう一つ。「孤独という状態は宇宙が生まれたときからあるが、寂しいという気持ちは人間が発明したもの。人は気持ちが剥きだしになってスースーしたとき、そこに『寂しい』という語を絆創膏のようにあてて守ってきたんじゃないか」と、鴻巣友季子さんが書いているそうだ。言葉によって、元々の世界にあった何かが私たちのものになる。同時に名付けられることで元々の何かの姿は隠される。「寂しい」という絆創膏を貼ったとたんに「剥きだし」の「孤独という状態」は見えなくなる。言葉の両義性ということをしみじみ思う。

    歌集についての評のなかでは、寺山修司について書かれた章が一番心に残った。寺山修司の短歌は、一読で心をとらえる印象的なものが多い。「チェホフ祭」や「身捨つるほどの祖国はありや」なんか忘れがたい響きがある。著者は(鑑賞者としてではなく)創作者の視点で、その作歌の底にあるものをとらえようとしていて、そこがとても興味深かった。

    ヒグチユウコ「せかいいちのねこ」の評もいい。「わかるよりも大事なことがあるんじゃないか」「世界の全てを理解することは誰にもできない」「だからこそ、緊張したり、混乱したりしながらも、できるだけ優しく、なるべく勇気を出して生きるしかない。そんな、当たり前だけど普段は忘れていることを、この作品は、理屈ではなく、空気の感触として思い出させてくれる」 本当にそうだと思う。

    「まえがきにかえて」として、以前朝日新聞に「読書は必要か」というテーマで書かれたものがのっている。「読書は(ダンスなんかと同じく)必須科目ではなくて選択科目」という考え方に対して、そうかもしれないけど、うーん、なんか違うような気がする、でもうまく言えない…とモヤモヤしていたのが、これを読んで、そうだ!そうだよね!と膝をバシバシ叩いたのを思い出した。今回再び叩いてすっきり。

    最後にのっているのが「私の読書道」と題した著者インタビュー。子ども時代から思春期の頃の読書体験について語られているのを読んで、ちょっと驚いてしまった。穂村さんはとても繊細な人なんだろうとは思っていたが、ここまで「世界とうまく折り合えない」人だったとは。大島弓子「綿の国星」との出会いが「決定的」だと言う男性はかなり珍しいと思う。そうではないかと思っていたが、著者はかなりディープな少女マンガ読みのようだ。

    だからまあ当然かもしれないが、冒頭の山岸涼子「日出処の天子」評は秀逸。「ここには、愛というものが真っ正面から描かれている」まったくその通りだと思う。

  • 枡野浩一さんの回だけは、めずらしくヒリヒリする印象を受けました。枡野浩一さんは普通のひとのブラックボックスを開けにかかる、村上春樹さんはそういったブラックボックスをなめらかにまわすのに、本人のブラックボックスは小さいなどなど、面白い表現がありました。自分にも他人にも大きさは異なれど、説明したところでしょうもないブラックボックスがあることを意識する回でした。

  • 書評集が好きだ。ロジカルには理解できないが、なぜかわかってしまう。そんなコトバが詰め込まれた一冊。

  • これを読んで、二階堂奥歯さんというかたを知った

    ひとつの言葉を知って世界像が変化したという文が印象に残った

  • いや〜こまった。

    作家やミュージシャンがおすすめする本や音楽はとても魅力的だ。この本は、本好きな穂村さんが愛してやまない作品を紹介してくれている。

    おかげさまで、
    俵万智さんの詩を詠んでみたくなった。
    二階堂奥歯さんの「鋭さ」に触れてみたくなった。
    川上弘美さんの物語を、はじめてみたくなった。

    こんなにもまだ触れたことのない作品があったのか〜。

    まだ、読みたいけど、買ってない本があるのに。

    まだ、買ったけど、読んでない本があるのに。

    いや〜こまった。

  • 穂村氏の書評は面白い。
    言葉へのこだわりがとても優しい。

    私の好きな作家の多くが
    本上まなみ氏のことが好きである。
    そんなにいいかのかよぉと思っていたけれど
    ホントにいいんだと思った。
    私も、本上まなみ氏とデートしたい。

    酒井順子氏が穂村氏につけた名前は何だったのだろうと
    非常に気になる。

    あと、読むと好きになりそうで読んでなかった
    俵万智氏。
     「私から生まれ私に似ているが私ではない私のむすこ」
    こんなの載せられちゃうと読まずにはいれんなぁ。
    ということで、「プーさんの鼻」を借りてきたよ。

    あと、興味深いのは枡野浩一氏、クセが強いなぁ。
      
    しかし、穂村氏の書評を読んで、
    本を読んだ気になる、
    或いはその本の作者を知った気になる私は、
    本当に簡単な奴だなぁと思う。

  • すでに読んだ本には
    なぁるほど、こんなふうな読み方があるのだ
    と 楽しませてもらい
    未だ読んでいない本には
    なかなか、おもしろそうだな
    と また楽しませてもらう

    ふだん、なかなか手の出ない
    詩歌の本がたっぷり紹介されてあるのも うれしい
    ほとんど免疫がない漫画の本に対しても
    あれやこれやの蘊蓄がこめられてあるのも うれしい

    やさしい語り口(書き言葉?)が素敵です

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著者プロフィール

穂村 弘(ほむら・ひろし):1962年北海道生まれ。歌人。1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。短歌にとどまることなく、エッセイや評論、絵本、翻訳など広く活躍中。著書に『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』、『ラインマーカーズ』、『世界音痴』『もうおうちへかえりましょう』『絶叫委員会』『にょっ記』『野良猫を尊敬した日』『短歌のガチャポン』など多数。2008年、短歌評論集『短歌の友人』で伊藤整文学賞、2017年、エッセイ集『鳥肌が』で講談社エッセイ賞、2018年、歌集『水中翼船炎上中』で若山牧水賞を受賞。

「2023年 『彗星交叉点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

穂村弘の作品

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