- Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309026374
感想・レビュー・書評
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惚れ抜いた夫に先立たれ、子供とも離れて暮らす桃子さんの賑やかな一人がたり。連れ合いとの別れは悲しいけれど、それも『解放』、そしてはからい。
母も父を亡くしたときにこんなことを思っただろうか。父のことを思って耳をすませたり、新たな自分を再発見しただろうか。その母も今は自我が溶け、子供に還って自分と他人の区別もない一人の世界に生きている。
気がつくと自分も人生の折り返しをとうに過ぎ、店じまいも考えなければならない歳になってきた。覚悟はあっても、『持ち重りがするよ。一人は寂しさが道連れだよ。』との桃子さんの言葉が沁みてくる。
読後、爽やかながら涙が止まらなかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分がこれから訪れる老いると言う事を漠然と考えた事はあるが、これ程身近に触れた事がいまだに無い。開放感と戸惑いがリアルに描かれていてあっといまに読んでしまった。東北地方に住んでいる私と若竹さんが、言葉でも本音でも共同体になった感じがします。
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本の紹介文とタイトルを見て読んでみたいとおもいました、
タイトルを見たとき、そこから自分なりのイメージが湧いて内容を想像してしまう傾向があるのだけれど、思い描くイメージとはちょっとの違いはあったかな?
タイトルから来るコミカルで温かな印象は読み終わるまでありました。
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不思議な初めての型の物語でした。孤独になること=自由? 何人ものそれぞれの時々の自分や近しい人たち。そして、それでも繋いでいく。こういう読み方で良いのか分かりません。自分もこういう歳になったらどう感じていくのか?親は今どういう心境なのか?そんなことをつらつら考えました。
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思考する桃子さんがすごくリアル。自分のいろんな要素に意味を探して考える、そして故郷のルーツに吸い込まれていく不思議、柔毛突起、いろんな自分や自分の周りの人たちの声が聞こえる目に見えない世界、長く生きてたくさん理由を持てるからこそそういう不思議なことに説得力ができて、長く生きる面白みを感じた。わたしがわたしたらしめてるものって本当になんなんだろう!環境とか周りの人も自分の一部になっていって、桃子さんくらいになるとやはりいろんな声が聞こえてくるのかな、、周造さんへの愛のところ良かった!桃子さんの思考は実感として理解しきらんところもあったからまた数年後に読んで何か考えたい。桃子さんの思考本当に生な感じで本当に良かった。
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芥川賞受賞作。
最初は全然東北弁に敵わなくて、読みにくかったけど、なんとか読め終えた。
人生はいろいろだ。
孤独、達成、不満、喜び…もうしばらくは家族とともに生き、そのうちいつか私も私で一人でやってく、か。 -
芥川賞受賞と、この本の題名に興味を持ったので、手にしてみた本である。
東北弁で語られる。
主人を看取り、老犬も逝き、一人になった74歳の老婆(?)桃子さんが、主人公である。
祖母、母、自分、娘、孫・・・人間が、老いていくのに、、、、生きて行くには、、、、
東北弁で、語られるのだが、慣れていないせいか(?)再度、前頁を繰りながら、読み返してしまった。
作者の意図(?)かも???(笑)
音読すれば、面白いのかもしれないけれど、、、、やはり、読みづらかった。
おら、東北弁は、無理かもしれないだべ!!!(笑) -
東北弁で書かれた日常の中に、人生を、生きる意味を、再確認してゆく。そんな作業が、この作者の中で行われたのではないか?のんびり、小春日和の日向のような言葉がかえって、ぐっと心に突き刺さるような感覚も覚えた。良書ではないかと思う。
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本当に、自分が1人老いた時はどうなるのだろう?桃子さんみたいになるのかなと思ったら、ちょっとホラーにも読めた。
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口には出さないけれど、人は頭の中でいろいろなことを考えている。誰もいないのにしゃべっている人も誰かとしゃべっている。
ラスト、ホッとした。