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- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309026572
感想・レビュー・書評
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澁澤龍彦については、『高岳親王航海記』とか、そういう有名なものをいくつか読んだ程度で、好きな作家と呼ぶには到底憚りがあるので、気になる作家と呼んでいる。どこが気になるかというと、時代を語らないという点である。私が寡聞にして知らないだけかもしれないが、彼が自分の生きた時代について書いているのに出会ったことがない。そういうところが、時代を超越した作家なのかもしれない。
本書は澁澤龍彦没後三〇年を記念して開催された連続講座の書籍化である。本にするにあたってだいぶ手を入れているとは思うが、語りがベースになっているので読みやすい。
執筆陣の顔ぶれは、澁澤さんと同世代の方から、一回り二回り下の世代まで含まれる。澁澤さんと直接交流のあった方もいれば、そうでない方もいる。だが、いずれも「澁澤龍彦の時代」を生きた方々である。その方々の記憶を通して、澁澤龍彦という大きな存在の人物像が浮かび上がってくる。
あらためて言うまでもないが、澁澤龍彦は博学(という言葉では表しきれないが)の人である。その広大無比な作品世界に親しむためには、本書のような「記憶」が必要ではないか。そう実感する。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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