出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと

著者 :
  • 河出書房新社
4.02
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本棚登録 : 1922
レビュー : 131
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309026725

作品紹介・あらすじ

夫に別れを告げ家を飛び出し、宿無し生活。どん底人生まっしぐらの書店員・花田菜々子。仕事もうまく行かず、疲れた毎日を送る中、願うは「もっと知らない世界を知りたい。広い世界に出て、新しい自分になって、元気になりたい」。そんな彼女がふと思い立って登録したのが、出会い系サイト「X」。プロフィール欄に個性を出すため、悩みに悩んで書いた一言は、「今のあなたにぴったりな本を一冊選んでおすすめさせていただきます」—。

「とんでもなく面白い」「続きが早く読みたい! 」「もう映画化とか決定してるんじゃ……?」
ネットで話題沸騰のあの衝撃の連載が、まさかの書籍化!
悩みまくる書店員・花田菜々子が初めて書いた、大人のための青春実録私小説。

感想・レビュー・書評

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  • これはリアル‘ぼうけんのしょ’だ。
    ‘本’という‘武器’を手にし、難攻不落に思えた‘他人’とつながり、人として1upも2upもしていく様をヒヤヒヤ、ハラハラ、そしてワクワクドキドキしながら読んだ。

    ヒヤヒヤ、ハラハラしたのは著者の花田さんが思い込んだら一途というか、変な方向に生真面目なところがあるから。
    『出会い系で人と会ってその人に合う本をおすすめしまくる』...って思考がぶっ飛んでいる。

    なんとなく佐藤多佳子さんの『しゃべれどもしゃべれども』を思い出した。口下手で不器用な人々が若き落語家の元に落語を学びに来る、というストーリー。「なんで?落語学んでもおしゃべりは上手くなんないような」という読者と先生になる若き落語家の戸惑い。でも彼らのどこか切羽詰まった真剣さに心打たれていつしか応援するようになっていく。

    花田さんも終始危なっかしい。なので目が離せなくなるのです。

    ワクワク、ドキドキしたのは、もしかしたら一歩踏み出せばそこに『私にも』違う世界が拡がっているのかもしれない、と思わせてくれるから。ネットの向こうに、街並みの書き割りだと思っていた風景に、あるいは憧れの店のレジの内側に。ああ、世界って広い。人って面白い!
    目の前がぱあっと拡がっていく感じ。

    彼女の体験を‘読む’ことで読んでいる『私にも』力がわいてくる。能町みね子さんが帯に『強烈な自己啓発本』と書かれているのにも納得。...だからって真似をするわけではありませんが。

    ...そうだよね。全部自分で決めていいんだね。人生も、幸せも。どう見られるか、どう思われるかなんて、そんな『評価』は他人に任しておけ。...そう強く思いました。

    タイトルがちょっとでも引っ掛かる方は是非是非ご一読を。

  • 元ヴィレッジヴァンガードの店長が「出会い系で出会った人に本を勧める」ことをしてみた顛末記。
    基本的には性的な期待をして会いにくる人をいかにかわし、本を勧めるかにトライする。
    その過程で本人は離婚し、職も変わる。今の時代だからこそあり得る異色のエッセイ。
    個人的には面白かった。

  • 後半で著者自ら言及している、本をすすめるということの上から目線。
    それとは別に、描写の上から目線をわりと感じた。

    文章を書く行為はいくらかの客観性が必要で、といった私の先入観が、情緒不安定や変な人といった著者自身の描写を歪ませてるのかも。

    だって、やっぱり著者と序盤で出てきたセックスしたい人を比べたときに、圧倒的に後者のが気持ち悪い風に書かれているように見えた。

    人間讃歌ではあったが、人間という枠組みはとても恣意的に決められてるんじゃないかなあっと。

  • 元ヴィレヴァンの店長で旦那さんと離婚というステータスの筆者が30分おしゃべりする出逢い系サイトに登録して本をおすすめしてみる、という試みなんです。

    タイトルとあらすじだけ聞くと、けっこう異色というか、突飛な内容に見えるんですが、筆者が求めていたのは普遍的な心の繋がりであって、それがたまたまこの時代にこういう形取っただけなんだろうなと思います。そしてそれを本という媒体を通して模索したんだなぁと思うとグッとくるものが。

    文体は軽妙で、仔細に話せばドン引きしてしまうようなイベントは簡潔にライトに仕上げてあります。
    他なる体験談の読み物としても楽しく読めます。

    当たり前なんだけど、いい人もいれば悪い人もいて。
    それでも新しいところに飛び込んでいった筆者の行動に勇気をもらえるエッセイです。
    自分もなんでもいいからなにかやってみよう、と思えます。

  • タイトルままなのであらすじ割愛。

    夢中になって読んだ。めちゃくちゃ面白い!
    書店員が書店から飛び出して書店員の仕事をしまくる話。
    こんなすごい人がいるんだな。俄然会ってみたくなった。
    元ヴィレヴァン店員の方なので、紹介する本もサブカルっぽい本ばかり。読みたい!→図書館で蔵書検索→蔵書なしの連続で笑えた。

  • 年齢も近く本が好きという共通点もあってか性別が違うのに何故かシンパシーを感じながら一気にその日のうちに読み終えた。それほどどうなるのか自分ごとの様に先が気になる内容と面白さ読みやすさだった。僕は周りにいたら絶対出会い系危ないってと通り一遍のことをしたり顔に注意する著者からみて箸にも棒にもかからない詰まらない男だったであろうなと何の得もない苦い想像をした。ともあれ最終的に著者はこれからの人生を決める決断をした。こういう生き方をする人が日本のどこかに普通に生きているということがとても豊かで何と素晴らしいことだろうかとジンときた。これもひとえに本が出版されたから知ることが出来た事実。本にありがとうと言いたい。これからももっとたくさん読もうと思う。

  • 夫と夫のいる家から出て、ファミレスで今日の宿はどこにするかと途方にくれる30代の女。
    思えば休日を一緒に過ごせる友達もいないし、あんなに愛情を持っていたはずの会社もなんだかこの頃は疲れる。

    作者は出会い系Xに登録をして、脱コミュ障をめざす。せっかくなら相手にあった本の紹介もしよう……そんな一挙両得の思いつきから彼女の武者修行がはじまる。

    冒頭のエピソードで打ちひしがれた作者の姿を知っている者としては、「出会い系」にうごめく魑魅魍魎たちと果たしてどう立ち向かうのか……
    しかしそんな心配は第1章「東京がこんなにおもしろマッドシティーだったとは」で、杞憂だったことを思い知る。

    杞憂どころか作者はメタルスライム狩りの勇者の如き素早さで経験値をどしどし稼いでいく……次第につ、つよい、と唸らざるをえなくなってくる。


    この本のテーマや作者の心情は、今のぼくにとってはすごく親近感がわくもので、さらなる動機づけをもらった気がする。

    気になる人には、道端でだって気軽に話せるぐらいがいい。でもやっぱ何か怖い。
    怖く感じるのは何でか?
    「習慣」とか「常識」とか、そういった言葉で語られる目に見えないものが、そう感じさせている。
    それは正しいことなのか?
    正しいとは思わない。
    ならばその錆ついた鎖を噛み切って自由に飛び出していくべきじゃあないのかい。

    <「二択で悩んだときは自由な生き方の方を選択しろ」>

  • 何も考えずにくだらない本を読んで笑いたい…まるでガキ使を見るように…と思ってたら、出会った一冊。タイトルやポップな表紙そのままに、期待を裏切らずゆるくてポップ。反面、花田さんの真面目さに安心感も感じる。

    表題にある通り、出会い系サイトで知り合った人に本を勧めまくるエッセイ。
    花田さんのレコメンドが、どれも刺さりすぎてすごい。いや、もしこれが事前に「僕はどういう人で事前にどういう本を読みたくて~」って話を聞いていて、花田さんがすべて準備していってるのであれば、まぁわからないでもない。
    でも、会ったばかりの人に、その場でレコメンドするこのスキル…。やっぱり本を読む人はアウトプットも凄いんだなと。本、よもう。

    ゆるくげらげら笑うはずだったのに、今まさに悩んでいることのヒントを2つゲットした。

    「大勢がいる場所の中でうまく輪の中に入れなかったり、内輪のノリについていけないのは最初はしんどかったし、そうなってしまうことは恐怖だったが、すべての会で前からそこにいた人のようになじむことなんてそもそも無理だし、つまらない場だってたくさんある、とあきらめてしまえば、ついていけないことも恐怖ではなくなっていた。無理になじもうとせず、本当に笑いたいときだけ笑おうと思っていると、いることがラクになる。」
    「私が突き付けられているようがしていた普遍的な議題ー『独身と結婚しているのとどちらがいいのか?』『子供を持つべきか持たないべきか』-そもそもの問いが私の人生の重要な議題とずれていたのだ。」

    いろんなことが一周回って、花田さんの言葉がささる。自分の正解は自分で決めよう。本を読もう。

  • タイトルが気になり、購入。ブックガイド的な要素が強いかと思ったら、そんな事もなく。ぶっ飛んでる人かと思ったら、そうでもなく。
    本を媒介にして人と繋がることで、自分の人生を見つめ直し、拡げていく。
    すごく幸せな事だなと思った。

  • 本が好きなことがきっかけとなり、出会い系サイトで出会った人にその人に合いそうな本を紹介するっていう風変わりなところから発進した花田菜々子のエッセイ。

    続けていたら、いつのまにか自分の周りに関わる人も増えていたし、数分でこの人どんな人ってわかるような感じになっていた。

    出会う人それぞれ変わった人が多いけど、実は自分のやっていることも案外へんてこなことだったりする。場合によっては、他者から見ると面白いと言われる領域になっていたりする。

    本との出会いは人それぞれだし、特に縛られる必要もない。なんとなあく暇だなって思うときにも読めるし、半分真面目、半分不真面目にも読める本かな。

    自分の好きな本を誰かに知ってもらいたい、読んでもらいたいって思うことがあるように。誰かから自分に合いそうな本を紹介してもらいたいってこともあると思う。
    読みたい本がなく迷っている人にはライトな感じでとっかかりやすく、次に読みたい本も自然と見つかってきそうでおすすめ。

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著者プロフィール

花田菜々子(はなだ ななこ)
1979年、東京都生まれ。「ヴィレッジヴァンガード」に長年勤めたのち、「二子玉川蔦屋家電」ブックコンシェルジュ、日暮里「パン屋の本屋」店長を経て、現在は日比谷シャンテ内にある「HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE」店長。本人いわく「流浪の書店員」。
代表作に『出会い系サイトで70人と実際に会って その人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』(略称・であすす)があり、35000部のスマッシュヒットを記録。編著書に『まだまだ知らない夢の本屋ガイド』(朝日出版社)がある。

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