出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと

著者 :
  • 河出書房新社
3.99
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本棚登録 : 2623
レビュー : 266
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309026725

作品紹介・あらすじ

夫に別れを告げ家を飛び出し、宿無し生活。どん底人生まっしぐらの書店員・花田菜々子。仕事もうまく行かず、疲れた毎日を送る中、願うは「もっと知らない世界を知りたい。広い世界に出て、新しい自分になって、元気になりたい」。そんな彼女がふと思い立って登録したのが、出会い系サイト「X」。プロフィール欄に個性を出すため、悩みに悩んで書いた一言は、「今のあなたにぴったりな本を一冊選んでおすすめさせていただきます」—。

「とんでもなく面白い」「続きが早く読みたい! 」「もう映画化とか決定してるんじゃ……?」
ネットで話題沸騰のあの衝撃の連載が、まさかの書籍化!
悩みまくる書店員・花田菜々子が初めて書いた、大人のための青春実録私小説。

感想・レビュー・書評

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  • これはリアル‘ぼうけんのしょ’だ。
    ‘本’という‘武器’を手にし、難攻不落に思えた‘他人’とつながり、人として1upも2upもしていく様をヒヤヒヤ、ハラハラ、そしてワクワクドキドキしながら読んだ。

    ヒヤヒヤ、ハラハラしたのは著者の花田さんが思い込んだら一途というか、変な方向に生真面目なところがあるから。
    『出会い系で人と会ってその人に合う本をおすすめしまくる』...って思考がぶっ飛んでいる。

    なんとなく佐藤多佳子さんの『しゃべれどもしゃべれども』を思い出した。口下手で不器用な人々が若き落語家の元に落語を学びに来る、というストーリー。「なんで?落語学んでもおしゃべりは上手くなんないような」という読者と先生になる若き落語家の戸惑い。でも彼らのどこか切羽詰まった真剣さに心打たれていつしか応援するようになっていく。

    花田さんも終始危なっかしい。なので目が離せなくなるのです。

    ワクワク、ドキドキしたのは、もしかしたら一歩踏み出せばそこに『私にも』違う世界が拡がっているのかもしれない、と思わせてくれるから。ネットの向こうに、街並みの書き割りだと思っていた風景に、あるいは憧れの店のレジの内側に。ああ、世界って広い。人って面白い!
    目の前がぱあっと拡がっていく感じ。

    彼女の体験を‘読む’ことで読んでいる『私にも』力がわいてくる。能町みね子さんが帯に『強烈な自己啓発本』と書かれているのにも納得。...だからって真似をするわけではありませんが。

    ...そうだよね。全部自分で決めていいんだね。人生も、幸せも。どう見られるか、どう思われるかなんて、そんな『評価』は他人に任しておけ。...そう強く思いました。

    タイトルがちょっとでも引っ掛かる方は是非是非ご一読を。

  • Web連載を存じ上げなかった僕は、失礼ながらタイトルと装丁だけを見て、エロ系かと思い警戒した。

    著者名は見ずに、男性の著者と勝手に思い込み、

    オヤジが出会い系でついてきた女の子に「こんなことしちゃダメだよ」と諭しながら「君はこの本を読みなさい」と本をすすめる話

    かとイメージしてたら、全然ちがった。

    著者の花田菜々子さんはアプリで出会いを繰り返して、その人が必要としてると思われる本をすすめていく。
    様々な人に出会うことで、人生をとても豊かで素敵なものにしていく、自分探しの物語。

    豊かな人生に触れると自らの心も豊かになる。
    元気になる一冊。

  • この本は、ブクログで本棚に登録されている方が多く、時々、目にしてはいたのですが、自分が読みたい系の本だとは気づかずに、ずっと素通りしていました。
    そうしたら、最近、拝見した方のレビューに「ブックガイド」だと書かれていたので、すぐ登録しました。
    ブックガイドが好きなんです。

    最初、カウンセラーのようなお仕事をされている方なのかと思っていたら、カウンセラーでは全然なかったです。
    「ヴィレッジヴァンガード」という書店で働かれていた知識を活かして、知らない人と会って、話をして、その人に合った本を薦めているという話。

    その過程も普段の自分の生活では、聞いたことがない見知らぬ世界の話だったし、どういう話をした人に、どういう本を薦めているかも面白かったです。

    読後に考えたことは、もし著者の花田さんに私が会いに行ったら、どんな本を薦めてくれるのかなあということ。
    やっぱり、ブックガイドだったりして…。
    私も、本好きな友人に、この本を薦めてみたいと想いました。
    続編が出ないでしょうか。

  • 本書は、夫と別居し、自分を見失った状態であった30代半ばのヴィレッジヴァンガード書店員・花田奈々子が、ふとしたきっかけで見つけた出会い系サイト「X」(じつはエッチ系じゃなくてビジネス目的とかで使われる交流サイトみたいなもの)で、1年間、出会った相手に自分の知識を総動員して、その相手にあった本を薦めるという修行を始めたという、著者の実体験を元にした私小説。

    大人の女性である著者がいろいろな人達と出会い、影響を受け、そして成長していくという、元気がでる物語。
    と内容的には良いんだけど・・・。

    ・・・このタイトルとカバーイラストはちょっと考えようよ?ね?

    最初にこのタイトルとカバーイラストを見て素直に僕がイメージしたのは、

    「20代半ばのちょっとメンヘラ入っちゃってる元文学少女のデリヘル嬢が、自分を指名したお客に無理矢理、太宰や三島由紀夫やゴーリキーとかの小説を勧めまくる、そこに至る過程で描写される赤裸々な性描写が話題に・・・」

    って感じなんだけど・・・。

    うん、全く違ってた。一つも合ってなかった(笑)。こんなこと考えるの僕だけかな?
    本当に僕だけだったら、ちょっとへこむ。

    とりあえず、ブクログの読友さんのレビューを読んでなかったら、自分一人では1200パーセント選ばないタイプの本です。

    こういう、私小説ってほとんど読んだこと無かったけど、結構面白かったです。
    なんか、主人公の対人スキルがアップしていく姿がロールプレイングゲームのキャラクターみたくって、結構応援したくなります(笑)。

    あと、巻末に実際に著者がおすすめした本のリストが載っていて、これも便利(すごく個性的な本ばかりで、自分が読んだことあるのはカズオ・イシグロの『わたしを離さないで』だけだった。今度読みたいなと思う本もたくさんあったのでこれも◎)。

    それにしても、くどいかもしれないけど、このタイトルとカバーイラスト!
    タイトルは百歩譲っても、このイラストは絶対、僕の最初のイメージを補完しにきまくってるって!
    だから河出書房新社の編集者さん、もう少し考えよ、ね?
    僕みたいなウブな中年男子はこの本を持って女性店員のいる書店ではレジに持っていけないよ?(エロ本買おうとしている中学生か)

    という訳で、貴重な読書体験でした。やっぱり、読書って楽しいね!

  • 元ヴィレヴァンの店長で旦那さんと離婚というステータスの筆者が30分おしゃべりする出逢い系サイトに登録して本をおすすめしてみる、という試みなんです。

    タイトルとあらすじだけ聞くと、けっこう異色というか、突飛な内容に見えるんですが、筆者が求めていたのは普遍的な心の繋がりであって、それがたまたまこの時代にこういう形取っただけなんだろうなと思います。そしてそれを本という媒体を通して模索したんだなぁと思うとグッとくるものが。

    文体は軽妙で、仔細に話せばドン引きしてしまうようなイベントは簡潔にライトに仕上げてあります。
    他なる体験談の読み物としても楽しく読めます。

    当たり前なんだけど、いい人もいれば悪い人もいて。
    それでも新しいところに飛び込んでいった筆者の行動に勇気をもらえるエッセイです。
    自分もなんでもいいからなにかやってみよう、と思えます。

  • 元ヴィレッジヴァンガードの店長が「出会い系で出会った人に本を勧める」ことをしてみた顛末記。
    基本的には性的な期待をして会いにくる人をいかにかわし、本を勧めるかにトライする。
    その過程で本人は離婚し、職も変わる。今の時代だからこそあり得る異色のエッセイ。
    個人的には面白かった。

  • 後半で著者自ら言及している、本をすすめるということの上から目線。
    それとは別に、描写の上から目線をわりと感じた。

    文章を書く行為はいくらかの客観性が必要で、といった私の先入観が、情緒不安定や変な人といった著者自身の描写を歪ませてるのかも。

    だって、やっぱり著者と序盤で出てきたセックスしたい人を比べたときに、圧倒的に後者のが気持ち悪い風に書かれているように見えた。

    人間讃歌ではあったが、人間という枠組みはとても恣意的に決められてるんじゃないかなあっと。

  • 年齢も近く本が好きという共通点もあってか性別が違うのに何故かシンパシーを感じながら一気にその日のうちに読み終えた。それほどどうなるのか自分ごとの様に先が気になる内容と面白さ読みやすさだった。僕は周りにいたら絶対出会い系危ないってと通り一遍のことをしたり顔に注意する著者からみて箸にも棒にもかからない詰まらない男だったであろうなと何の得もない苦い想像をした。ともあれ最終的に著者はこれからの人生を決める決断をした。こういう生き方をする人が日本のどこかに普通に生きているということがとても豊かで何と素晴らしいことだろうかとジンときた。これもひとえに本が出版されたから知ることが出来た事実。本にありがとうと言いたい。これからももっとたくさん読もうと思う。

  • いやー、面白かった!
    タイトルと表紙でなんとなく敬遠してたんだけど、もっと早く読めば良かった。

    内容はタイトルの通りで、女性が出会い系を通して本をオススメするというもの。作者自身の実話だということもあり、夢中になって読めてしまった。
    出会い系ならではの、ちょっとヤバめな人との出会いも、あるよね〜と共感。

    そして作者は、決して道楽でこれを始めたわけではなく、退職や離婚を機に新しいことをしてみたかった、という動機がいいよね。

    普通の社会では上手く行かなかった作者が、本の世界へは深い愛情と造詣があったり、出会い系で知り合ったユニークな人達へはある種のシンパシーを感じていたり、そんなコンビニ人間的要素も良かった。

    巻末に作者がオススメした本のリストが載っているんだけど、知らない本ばかりで、自分の読書体験はまだまだたなぁと反省してしまった。せっかくの機会なので、ちょっとずつ消化していきたい。

  • タイトルが気になり、購入。ブックガイド的な要素が強いかと思ったら、そんな事もなく。ぶっ飛んでる人かと思ったら、そうでもなく。
    本を媒介にして人と繋がることで、自分の人生を見つめ直し、拡げていく。
    すごく幸せな事だなと思った。

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著者プロフィール

花田菜々子(はなだ ななこ)
1979年、東京都生まれ。「ヴィレッジヴァンガード」に長年勤めたのち、「二子玉川蔦屋家電」ブックコンシェルジュ、日暮里「パン屋の本屋」店長を経て、現在は日比谷シャンテ内にある「HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE」店長。本人いわく「流浪の書店員」。
代表作に『出会い系サイトで70人と実際に会って その人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』(略称・であすす)があり、35000部のスマッシュヒットを記録。編著書に『まだまだ知らない夢の本屋ガイド』(朝日出版社)がある。

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