出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと

著者 :
  • 河出書房新社
3.94
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  • (5)
本棚登録 : 3346
レビュー : 385
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309026725

作品紹介・あらすじ

夫に別れを告げ家を飛び出し、宿無し生活。どん底人生まっしぐらの書店員・花田菜々子。仕事もうまく行かず、疲れた毎日を送る中、願うは「もっと知らない世界を知りたい。広い世界に出て、新しい自分になって、元気になりたい」。そんな彼女がふと思い立って登録したのが、出会い系サイト「X」。プロフィール欄に個性を出すため、悩みに悩んで書いた一言は、「今のあなたにぴったりな本を一冊選んでおすすめさせていただきます」—。

「とんでもなく面白い」「続きが早く読みたい! 」「もう映画化とか決定してるんじゃ……?」
ネットで話題沸騰のあの衝撃の連載が、まさかの書籍化!
悩みまくる書店員・花田菜々子が初めて書いた、大人のための青春実録私小説。

感想・レビュー・書評

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  • これはリアル‘ぼうけんのしょ’だ。
    ‘本’という‘武器’を手にし、難攻不落に思えた‘他人’とつながり、人として1upも2upもしていく様をヒヤヒヤ、ハラハラ、そしてワクワクドキドキしながら読んだ。

    ヒヤヒヤ、ハラハラしたのは著者の花田さんが思い込んだら一途というか、変な方向に生真面目なところがあるから。
    『出会い系で人と会ってその人に合う本をおすすめしまくる』...って思考がぶっ飛んでいる。

    なんとなく佐藤多佳子さんの『しゃべれどもしゃべれども』を思い出した。口下手で不器用な人々が若き落語家の元に落語を学びに来る、というストーリー。「なんで?落語学んでもおしゃべりは上手くなんないような」という読者と先生になる若き落語家の戸惑い。でも彼らのどこか切羽詰まった真剣さに心打たれていつしか応援するようになっていく。

    花田さんも終始危なっかしい。なので目が離せなくなるのです。

    ワクワク、ドキドキしたのは、もしかしたら一歩踏み出せばそこに『私にも』違う世界が拡がっているのかもしれない、と思わせてくれるから。ネットの向こうに、街並みの書き割りだと思っていた風景に、あるいは憧れの店のレジの内側に。ああ、世界って広い。人って面白い!
    目の前がぱあっと拡がっていく感じ。

    彼女の体験を‘読む’ことで読んでいる『私にも』力がわいてくる。能町みね子さんが帯に『強烈な自己啓発本』と書かれているのにも納得。...だからって真似をするわけではありませんが。

    ...そうだよね。全部自分で決めていいんだね。人生も、幸せも。どう見られるか、どう思われるかなんて、そんな『評価』は他人に任しておけ。...そう強く思いました。

    タイトルがちょっとでも引っ掛かる方は是非是非ご一読を。

  • ブクログレビューで面白そうと思って手に取った本。

    面白いと書かれていたけど、こんな面白い本だとは思わなかったよ!!
    タイトルからは想像できない面白さ。いや、タイトルが間違っているわけではないの。むしろまんま、『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』が書かれている本なの。
    でもこの面白さをこのタイトルは表せていないよね?『出会い系』というと、普通は男女が恋人やらセフレやら探すエロ込みの『出会い系』を想像してしまうし、ちょっとキワモノの本なのかなと思うよね??(レビュー見てたらそう思ってる人多かったから一般的感覚と思われる)
    帯に「タイトルからは予測できない、まさかの感動の声、続々」なんて書いてあったんだけど、いや出版社が自分でそれいっちゃうの?タイトルを何と心得る?と苦笑いしちゃう(笑)
    でもそういうの全部含めて面白かった。本好きの人、そして少し行き詰まりを感じている人には、私ならこの本こそ勧めたい。

    筆者の菜々子さんは、夫と別居し、店長を10年間務めてきた書籍と雑貨の店(ヴィレッジヴァンガード)の仕事の展望も見えなくなって落ち込む日々。もっと知らない世界を知りたいとの思いで、『X』という出会い系サイト(でも出会いを恋愛目的に限定せず、同性同士もあり。知らない人と30分お話する出会いを提供するもの)に登録する。
    プロフィール欄にはこう記載して。

    「今のあなたにぴったりな本を一冊選んでおすすめさせていただきます。」

    最初に会ったのは結局エロ目的か!と罵りたくなるような輩。でも菜々子さんは「なるほど、なるほど…。そういう感じか。うん。なるほど」と冷静に受け止める。
    その後は、『X』での活動を通して、エロ目的でない様々な人と出会い、知らない人と出会うことへの抵抗はなくなり、ついには自分から興味を持ったサイト外の人への接触もするようになり、どんどん世界が広がってくる。

    菜々子さんの読書量もさることながら、読んだ本をこれだけ血肉にしていることもすごい。私なんて、だいぶ前に書いたレビューにいいねをもらって、改めて読み返してみると、全く内容覚えてなくてビックリしたりするもんね…^^;
    その人に合う本の内容をパッと思い出し、おすすめするその手腕たるや。天職ってあるんだなぁ。

    私も菜々子さんと一緒にたくさんの出会いを通して、「わぁ、こんなに世界って広いんだ。私の今見ている世界はちっぽけなんだ」と感じ、視野が開けるような気持ちにもなった。型にはまらなくていいんだよ、世界はこんなに自由に生きれるんだよと。

    "すごいな世界。私が思ってたよりもこの世界は愉快なのかもしれない"

    今は念願の書店員になって、お客さんに本のおすすめもされているという菜々子さん。願わくは、私も菜々子さんにおすすめの一冊を教えてほしい(笑)

  • Web連載を存じ上げなかった僕は、失礼ながらタイトルと装丁だけを見て、エロ系かと思い警戒した。

    著者名は見ずに、男性の著者と勝手に思い込み、

    オヤジが出会い系でついてきた女の子に「こんなことしちゃダメだよ」と諭しながら「君はこの本を読みなさい」と本をすすめる話

    かとイメージしてたら、全然ちがった。

    著者の花田菜々子さんはアプリで出会いを繰り返して、その人が必要としてると思われる本をすすめていく。
    様々な人に出会うことで、人生をとても豊かで素敵なものにしていく、自分探しの物語。

    豊かな人生に触れると自らの心も豊かになる。
    元気になる一冊。

  • この本は、ブクログで本棚に登録されている方が多く、時々、目にしてはいたのですが、自分が読みたい系の本だとは気づかずに、ずっと素通りしていました。
    そうしたら、最近、拝見した方のレビューに「ブックガイド」だと書かれていたので、すぐ登録しました。
    ブックガイドが好きなんです。

    最初、カウンセラーのようなお仕事をされている方なのかと思っていたら、カウンセラーでは全然なかったです。
    「ヴィレッジヴァンガード」という書店で働かれていた知識を活かして、知らない人と会って、話をして、その人に合った本を薦めているという話。

    その過程も普段の自分の生活では、聞いたことがない見知らぬ世界の話だったし、どういう話をした人に、どういう本を薦めているかも面白かったです。

    読後に考えたことは、もし著者の花田さんに私が会いに行ったら、どんな本を薦めてくれるのかなあということ。
    やっぱり、ブックガイドだったりして…。
    私も、本好きな友人に、この本を薦めてみたいと想いました。
    続編が出ないでしょうか。

  • 本書は、夫と別居し、自分を見失った状態であった30代半ばのヴィレッジヴァンガード書店員・花田奈々子が、ふとしたきっかけで見つけた出会い系サイト「X」(じつはエッチ系じゃなくてビジネス目的とかで使われる交流サイトみたいなもの)で、1年間、出会った相手に自分の知識を総動員して、その相手にあった本を薦めるという修行を始めたという、著者の実体験を元にした私小説。

    大人の女性である著者がいろいろな人達と出会い、影響を受け、そして成長していくという、元気がでる物語。
    と内容的には良いんだけど・・・。

    ・・・このタイトルとカバーイラストはちょっと考えようよ?ね?

    最初にこのタイトルとカバーイラストを見て素直に僕がイメージしたのは、

    「20代半ばのちょっとメンヘラ入っちゃってる元文学少女のデリヘル嬢が、自分を指名したお客に無理矢理、太宰や三島由紀夫やゴーリキーとかの小説を勧めまくる、そこに至る過程で描写される赤裸々な性描写が話題に・・・」

    って感じなんだけど・・・。

    うん、全く違ってた。一つも合ってなかった(笑)。こんなこと考えるの僕だけかな?
    本当に僕だけだったら、ちょっとへこむ。

    とりあえず、ブクログの読友さんのレビューを読んでなかったら、自分一人では1200パーセント選ばないタイプの本です。

    こういう、私小説ってほとんど読んだこと無かったけど、結構面白かったです。
    なんか、主人公の対人スキルがアップしていく姿がロールプレイングゲームのキャラクターみたくって、結構応援したくなります(笑)。

    あと、巻末に実際に著者がおすすめした本のリストが載っていて、これも便利(すごく個性的な本ばかりで、自分が読んだことあるのはカズオ・イシグロの『わたしを離さないで』だけだった。今度読みたいなと思う本もたくさんあったのでこれも◎)。

    それにしても、くどいかもしれないけど、このタイトルとカバーイラスト!
    タイトルは百歩譲っても、このイラストは絶対、僕の最初のイメージを補完しにきまくってるって!
    だから河出書房新社の編集者さん、もう少し考えよ、ね?
    僕みたいなウブな中年男子はこの本を持って女性店員のいる書店ではレジに持っていけないよ?(エロ本買おうとしている中学生か)

    という訳で、貴重な読書体験でした。やっぱり、読書って楽しいね!

  • 元ヴィレヴァンの店長で旦那さんと離婚というステータスの筆者が30分おしゃべりする出逢い系サイトに登録して本をおすすめしてみる、という試みなんです。

    タイトルとあらすじだけ聞くと、けっこう異色というか、突飛な内容に見えるんですが、筆者が求めていたのは普遍的な心の繋がりであって、それがたまたまこの時代にこういう形取っただけなんだろうなと思います。そしてそれを本という媒体を通して模索したんだなぁと思うとグッとくるものが。

    文体は軽妙で、仔細に話せばドン引きしてしまうようなイベントは簡潔にライトに仕上げてあります。
    他なる体験談の読み物としても楽しく読めます。

    当たり前なんだけど、いい人もいれば悪い人もいて。
    それでも新しいところに飛び込んでいった筆者の行動に勇気をもらえるエッセイです。
    自分もなんでもいいからなにかやってみよう、と思えます。

  • 出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと 花田菜々子

    2018 4/30 初版
    2018 7/20 6刷 (株)河出書房新社

    今週末の読書部ネタとして再読。

    仕事にプライベートに
    人生の大きな曲がり角を迎えた33歳女性の
    勇気と冒険と成長の物語。

    あくまで彼女の「出会い」は本を通じて進ん行く
    「出会い」とは経験であり成長だ。

    大好きな本、大好きな職場
    彼女の好きな事との向き合い方に勇気をもらった女性も多いはず。

    まさに人生を切り開く時は
    「屍をこえて」行く時なんだ!

    そしてまさに
    すごいな世界。この世界は愉快なのかもしれない!

    その後の事もエッセイとして出版して欲しいです。

  • このタイトルからして一体どんな内容なのか?と思ったが、数年前?にニュースで見たHMVブックス日比谷コテージの店長さんの本と知り…肩書きによって安心を得たわけじゃないが…いやあるか…読んでみた。

    著者が仕事でも私生活でも、非常に行き詰まった時に突破口のようにして踏み込んだのが、出会い系サイト(と言っても起業家などフリーランスの人々の人脈づくりサイト的な…下心ある人ももちろんいるけど)。
    暗澹たる日々に、藁でもすがる思いだったのかもしれない…わらしべ長者を体現する人ともこのサイトで出会ったようだが…。著者自身も、わらしべ長者のように自分を押し上げてくれる人を次々と掴んでいく。
    とても一年のことと思えないほど、濃密な体験だったのだろう。

    こういう人こそ、まさに本物なのだなぁと思う。
    私のように、ひょっこり本に関わる仕事についてしまった人間には、神々しいまでの存在だ。
    もがき続ける私に、是非一冊勧めて頂きたい〜と思わずにはいられない。2019.9.5

  • 『すごいな世界。私が思ってたよりもこの世界は愉快なのかもしれない。』

    30代で別居、かつて魅入られていた職場も時間とともにシステムが変わり、居場所がなく絶望していた筆者。
    こういった経験は、多かれ少なかれ、沢山の人が経験するだろう。

    しかし、筆者はそこからのアイデアと行動力が普通ではない。出会い系で本をすすめる?別居の先に誰がそんなことを思いつくのか。

    インターネットの出会い系ということで女性特有の、下心ある男性に狙われるといったリスクもありつつ、小さな失敗から一つ一つ学び、強く前向きに進む筆者。
    サイトの自己紹介を改良していくあたりは、失敗を着実に活かしていて良かった。

    最初から強い意志があって、それを完遂させるサクセスストーリーではなく、一つ一つを面白がって、「どこまでも流されていく」ところが人間らしい。
    『この特別な、大切な1年のこともきっといつか忘れてしまうのだろう』と筆者は言うが、きっと次の面白いことを見つけていけるのだろう。

  • この本は、主人公である菜々子が夫と別居し、自分の人生を狭く感じ、何か行動を起こそうと、「X」という出会い系サイトを知ることから始まる。
    出会った人に本を勧めるために。

    最初はいわゆる「出会い目的」の人と会うことが多かったが、だんだんとそうでない人々とも交流していく。
    知らない人との交流が生活の一部となり、会うことが楽しくなっていくも、やはり共感できない人もいて、まるで社会の縮図のようだと菜々子は感じた。

    世の中には色々な人がいるとわかってはいるものの、「多様性」の受け皿は人それぞれであり、その皿から漏れたものは、「あの人変わっている」と感じる。そして、その器は自分が思っているものより実際は小さいものであるようだ。

    「X」で出会った人との言葉を交わす時間はたった30分。たったそれだけの時間で自分を語りながら、相手のことを知り、相手にあった本を勧める。

    その人にぴったりの本を勧めることは、非常に難しい。
    自分が読んで面白かった本を相手にオススメすることとは全く違う。
    この本を読んでみるのはいかがでしょうか、と、直接相手に言われたら、自分はこう言う風に見られているのか、とちょっと勘ぐってしまったりする。
    また、だからこそ勧める側としても、ものすごい勇気がいると思う。
    その壁を簡単に飛び越えられる菜々子は、かっこよくて、これもきっと「才能」なのだろうと感じた。

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著者プロフィール

1979年、東京都生まれ。「ヴィレッジヴァンガード」、「二子玉川蔦屋家電」ブックコンシェルジュ、「パン屋の本屋」店長を経て、現在は「HMV & BOOKS HIBIYA COTTAGE」の店長。

「2020年 『シングルファーザーの年下彼氏の子ども2人と格闘しまくって考えた「家族とは何なのか問題」のこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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