選んだ孤独はよい孤独

著者 :
  • 河出書房新社
3.19
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本棚登録 : 1329
感想 : 132
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309026855

感想・レビュー・書評

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  • 女性視点の作品が多い山内マリコさんが男性視点の作品を書かれたということで手に取った。
    言葉を選ばずに言うと、ダメンズばかり(笑)
    うだつが上がらない彼らにやや疲れつつ、1日で読了。半ページで終わるショートショートもあり、軽めの文量なので、一気に読破したけれど、あまり共感できる部分がなく★2つ。

    【さよなら国立競技場】
    国立競技場がなくなることに対する早川くんの気持ち、私のミニバス時代の"明日地球が滅亡して練習試合なくなればいいのに"のあの時の感覚に限りなく近い(笑)今思うと不謹慎だけれど、当時は必死だったなぁ。早川くんに「大人になったらいい思い出になるよ」って伝えたい。

    【女の子怖い】
    タイトルそのまま(笑)P43読んでいて笑っちゃう。まるでお嬢様と執事。主人と下僕。同姓でも、この彼女は本当に怖いと思う。

    【本当にあった話】
    こういう先生嫌だなぁ…苦笑

    【ぼくは仕事ができない】
    こういう上司いる…!!

    【心が動いた瞬間、シャッターを切る】
    これが唯一穏やかな気持ちで読めた。ありがとう、ニコン。

  • とても読み易いので、読書初心者の私にも優しい孤独感が得られました。
    好きな章は
    眠る前のひそかな習慣でした。
    余命僅かな男が人生を回想する。
    前章のファーザーとの共通点は光陰矢のごとしだ。
    人生のよい孤独に黄昏を感じました。

  • なんて情けない男達。
    なんて不器用な男達。
    これが現代の男達のリアルな姿なのか。

    特に共感したのは『あるカップルの別れの理由』『ぼくは仕事ができない』『おれが逃してやる』の3編。
    同棲していた彼女が突然荷物をまとめて出ていこうとする理由がさっぱり分からない彼。
    仕事ができる風を装っているだけで実は全くの役立つの彼。
    何をやっても儘ならない男達に、こんな男いるな、と初めは苦笑いしていた私だったけれど、そんな男達の悲哀に満ちた現実、プレッシャー、ストレス、孤独に同情してしまう。
    確かに女の方が一枚上手で、強かで逃げ足も速い上に巧い。

    「おれが逃がしてやる」と後輩の優柔不断男に言い放った館林さんは、この短編集の中で唯一カッコいい男だった。

  • 女性作家が書いた男性の孤独。
    短編ですぐに読み終わった。

  • タイトルに惹かれて読んだ。選んだ孤独はよい孤独、わたしもそう思いたかったから。
    人間らしくて、弱くて、惨めだなー、みんな。
    「彼女はどうして出ていったのか。それは永遠に謎のままだ」 嫌われるつもりなんてさらさらないのに、何も悪いことをした覚えもないのに、人が離れるとき、どうして?って思うけど、他の人からみたら一目瞭然なのかも。

  • 良いタイトルだな。。。

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    地元から出ようとしない二十代、女の子が怖い高校男子、仕事が出来ないあの先輩……。人生にもがく男性たちの、それぞれの抱える孤独の温度を浮かび上がらせる、愛すべき19の物語。
    http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309026855/

  • 10.

    「フェミニズムは女性にかけられてきた呪いからの解放であると同時に男性がかけられてきた呪いも解放すること」っていうのを他の本で読んだんだけど、この本はまさに男性がかけられてきた呪いの話。
    短編で、色んな男性の人生を少しずつ覗くような感覚になる本。実際に男性が読んでどう感じるのかとても気になるけど、私には響いた。
    30歳に近づく年齢で山内マリコさんの本に出会えてよかったなと思う。

    ---メモ---

    ・あるカップルが別れた理由
    P77 でも、旦那さんの世話をしなきゃいけないなら、一人でいた方がマシだと思いました。だから、自分は一生結婚できないんだなぁ、とあきらめてもいて。だけど、世界には、もっと自由な男女の関係、夫婦の関係があるんです。
    ・ぼくは仕事ができない
    P106 だけど男はそうはいかない。一生、なにがあっても、働き続けなくちゃいけない。誰でも。どんなことがあっても、どんなに煙たがられても、会社に居座らなくちゃいけない。しがみつかなきゃいけない。少なくとも定年まで。これはちょっと、想像を絶することだ。そのプレッシャー。その憂鬱。そのストレス。可哀想な角岡。
    ・「おれが逃してやる」
    P120 「コツは、芝居だと思うこと」
    P127 「おれも何年か前に家のローンを組んだんだけど、その報告したときな、あの人たち、めちゃくちゃうれしそうな顔してた。でもそのうれしそうつていうのが、人の幸せを喜んでるんじゃなくて、おれたちのクラブに入ってくれてうれしいよ、みたいな、そういう喜びなんだ。これで、同じ重荷を背負った仲間だな、っていう。意味わかるか?」
    P128 「自分で自分の人生を切り拓く力のある奴って、案外少ないんだ。なにかやりたいことがある奴も、そんなにいない。二十代過ぎて夢とかある奴なんて、ほとんどいない。いても、年をとるごとに自然淘汰されて減っていく。そういう、おれみたいに主体性のない奴らは暇なんだから、クラブに入会すればいいんだ」
    ・心が動いた瞬間、シャッターを切る
    P162 「お兄ちゃんは知らないだろうけどさ、母さん、わたしにはときどき出してたんだよね。母親やるのがしんどいってところ。たまに言ってたもん。あんたも子供産んだら、自分のこと何もできなくなっちゃうよ、とか。そういう呪い的なやつ」
    P167 家族写真における、父親の不在問題か。

  • 男性であるが故の仕事と恋愛
    女性であるが故の仕事と恋愛
    双方の悩みや訴えについて。

    男女で恋愛の価値観がこんなにも違うということが
    露骨になっていて面白い。
    でもそれは性別の違いがあるという性的要因、男性は働に女性は家事という分業のしくみのこの社会要因上仕方ないと思います。
    フェミニズム的なところだとこの分業は批判くらいそうですが、私も色々考えた末、やはり分業は理にかなってると思います。


    女にとって仕事とは?を
    考えさせられます。
    私はまだ答えが出切ってないです。
    月日単位で変わる自分の考えを改めて考えさせられる、実学的な内容だから面白いです。好きでした!!

  • 素敵なタイトルに心惹かれ、手にした一冊。
    すべて男が主人公のこの19のエッセーは
    残酷なまでに、滑稽で未熟で
    でも愛おしき男どもの姿を
    過不足なく、しかも容赦なく炙りだしていました。

    女性だからこその作者のシビアな視線は、
    なんの忖度も装飾もなく
    ただひたすら真実の姿をさらけ出していて
    痛快そのもの♪
    なのに読み終わってみると、心がシミジミと温かい気持ちに包まれていることに気づくのでした。

  • 女性が描く男性あるあるな話。
    そんな風に思ってたのかー!とかびっくりする様な内容ではなく、ふむふむぐらいの事なんだけど、さらりと楽しめた。

    「ママも可哀想、パパも可哀想。みんな可哀想なんだから、お願い、あなたも泣かないで」このフレーズなんか好き。

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著者プロフィール

山内マリコ(やまうち・まりこ):1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞し、12年『ここは退屈迎えに来て』でデビュー。主な著書に、『アズミ・ハルコは行方不明』『あのこは貴族』『選んだ孤独はよい孤独』『一心同体だった』『すべてのことはメッセージ小説ユーミン』などがある。『買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて』『山内マリコの美術館はひとりで行く派展』『The Young Women’s Handbook~女の子、どう生きる?~』など、エッセイも多く執筆。

「2024年 『結婚とわたし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山内マリコの作品

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