空港時光

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 92
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309026954

作品紹介・あらすじ

羽田⇔台北――空港を舞台に鮮やかに浮かびあがる10の人生、そして新しい生のかたち。いま最も注目される気鋭作家の飛翔作。

感想・レビュー・書評

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  • 空港を舞台にした短編数編とエッセイ一編。
    「台湾生まれ、日本語育ち」である著者の言葉には、フィクションであってもそうでなくても、これまでの歴史と現代の社会が固く結びついている。
    けれど、それは当然のことであるべきなのに新鮮に感じてしまうほど、日本の作品は(そしておそらく読者も、私を含めて)それらを切り離しているものが多く感じられる。
    いずれ重いツケを払うことになるのではないかと、この頃感じていることをまた強く思った。
    短編はどれもとても短いが、くっきりと余韻が残る。
    作者の本は二作目で、もっと読みたいと思う作品だった。

  • 日本、台湾、中国、それぞれの関わりの歴史、いろんな思いを抱えた人々が交錯する空港でのエピソード。
    とても第三者的立場で読んだのだけど、浮かんでくる言葉は「郷愁」だった。

  • 表題作は(日本と台湾を行き来する)空港に集う人物たちの心象風景をスケッチした10編のショートストーリーで構成されている。

    日本統治時代から戦後の国民党支配時代、長く続いた戒厳令下の時代。大きな時代のうねりのなかで生きてきた台湾の人たち。でも、そんな歴史的背景の説明を極力省略し、普通の台湾の人たちのファミリー・ヒストリーに仕上げている。

    そこで描かれる、祖父母、父母、自身、子、世代間で異なる日本に対する意識のギャップ。さわやかでもあり、ほろにがくもあり、うしろめたくもあり。いささか複雑な思いで読み終えた。

  • 台湾はかつて日本であり、中国でもあったが、今は、台湾になったと思う。

  • 子どもの頃、飛行機は自分たちが台湾を往復するときだけ飛んでいる乗り物だと思っていたというような表現がありました。確かに飛行機に乗るときは電車以上に特別な事情で乗り合っている乗客同士という一体感を感じます。目的地が一緒だから?

  • 日本と台湾、それぞれの人々と歴史、つまりそれらは人生なわけだけど、それらが交差する空港で彼らはすれ違い、出会い、視線を交わしたり言葉を交わしたりして、またそれぞれの道へと進んでゆく。というのがもうタイトルから想像できるし、実際読んでそのとおりなのでなんとなく物足りないというか、うん、そうだね。という感じ。
    年配の方々の話す言葉のなかで日本語と中国語が(台湾での、日本統治下における教育のせいで)混ざりあって表現されてくるところは興味深かった、しかもそれが嫌味なく表現されているので、余計に胸がぎゅっとした、特筆すべきはそのあたりかな・・・面白くないわけではないのだが、ずば抜けて心に残るかと言われると私には今ひとつ。

  • 台湾語、中国語が分かればすらすら読めたかな。

  • さまざまな人々のそれぞれの人生を覗き見るよう。人々のその後を知ることは叶わず、空港でたまたま隣り合った人の話を、たまたま聞いてしまっているような不思議な感覚。まだその先続きの話を聞きたいけれど、時間がきてしまい後ろ髪引かれる思いでその場を立ち去らなければならないような気持ちでページをめくった。
    空港で読んでみたい本。

  • 台湾と日本、それぞれの場所・空港を舞台にした短編小説数篇と著者自らの体験的エッセイ。台湾と日本の歴史的事実や習慣を何気ないエピソードとして取り入れる事で普段意識することのないナショナリティが現れる。著者のルーツを活かした魅力溢れる作品群。‬

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著者プロフィール

温 又柔(おん ゆうじゅう)
1980年台北市生まれ、台湾籍の小説家。台湾人の両親のもとで生まれ、3歳から親の仕事の関係で日本に住まう。法政大学国際文化学部卒業、同大学院国際文化専攻修士課程修了。
2009年「好去好来歌」で第33回すばる文学賞佳作となり、作家デビュー。2016年『台湾生まれ 日本語育ち』で第64回日本エッセイストクラブ賞受賞。2017年『真ん中の子どもたち』で第157回芥川龍之介賞候補。2018年、新刊『空港時光』を発行。

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