箱の中の天皇

著者 :
  • 河出書房新社
3.10
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本棚登録 : 87
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309027753

作品紹介・あらすじ

本物の箱は、右? 左? 
マッカーサーから本物を奪還し、
平成天皇に退位の真意を問う。
マリとアメリカの戦いがいま始まる!

感想・レビュー・書評

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  • 天皇退位を問う、マリの物語。「箱の中の天皇」と「大津波のあと」の二編。
    現在とマリの幻想で物語は流れつつ、象徴としての天皇を考察している。元号が変わるにあたり、華やかな面しか見えていなかったけれど、この本により色々気づきがありました。タイトルの箱というのもそういう意味なのねと。日本人の行方を問う、天皇が変わるまさに今読む、今の本。天皇についてこれだけ書ける小説もないかなあ。

  • 今書いた勇気。まずそこでしょうね。

  • 中編2編
    表題作はさらっと読めるが,内容は結構深いところをえぐっている.
    「大津波のあと」は流行りの震災ものとはまた切り口が違って,アメリカの黒人の生きづらさなどにも触れている.エレキギターのテレキャスターが核にあるが,これも電気がないとならないという皮肉.でも,全体につまらなかった.

  • 「象徴は、象徴するものが必要です。象徴する統合された国民のかたちが必要です。」という文章があって、平成から令和に改元するときが、こんなに歓迎される雰囲気なのは、これがいま象徴したいことなのかなと、国民のかたちなのかなと、後追いで考えてみたいと思います。

  • 「箱の中の天皇」
    「東京プリズン」の時も思ったけど、攻めるなぁと。
    こういう小説は赤坂真理さんにしか書けないのではないか。
    ちゃんと読めたかどうか全く自信はない。自信がないのでネットで書評を読もうと思ったが、数が少ない上にあまりピンとこない。中島京子さんの読みたいのに何行かしか読ませてもらえない。
    小説の感想にはならないが、この小説を読むことによって、天皇についていろいろ考えた。
    今の天皇が誰にもよくわからない「象徴」という意味を考え、行動、実践されてきたことに対し、敬意を改めて持てた。誰にでもできることではないと思う。
    本来なら私など「天皇制反対」みたいな方に行きそうなのだが、あのお二人を見ていると、全くそうは思えない。よくいてくださった、と思う。
    昭和天皇の戦争責任、という問題ももっともっと議論され続けても良さそうなのに、あのお二人のお姿を見て、なんだか緩んでしまってると思うのは私だけか。
    そして、天皇というのは代替わりをするとモードが変わる、という指摘にそうだよなと思った。
    天皇の「お言葉」を引用しながら天皇の小説を書くって、やっぱりやることがすごい。


    「大津波のあと」
    こちらもちゃんと読めたか全く自信がない。感想難しい。

    2作品とも現実世界と虚構の世界が混じり合って、だからこそ描ける大問題が迫力を持って迫って来る。このままでいいのか!考えろ!立て!と迫って来る。

  • 東京プリズンも個人的には?だったけれど、これは更に???
    感性があわないのかも知れないけれど、登場人物がみんなキチ○イだとしか思えない。

  • うーん、良かったのだけど頭になんか入って来なかった。
    どー感じたら良いのか正直戸惑う。
    でも、なんとなく天皇というものを理解できるもいうか日本人にとっての天皇という物がどういうものなのかが、ぼんやりとわかる気がする

  • 天皇論。今上帝が退位されるこの時期、なんとなく思っていた事を文章で読み、思ってもいなかった事を指摘され、読み終わる頃には、頬を叩かれ目を覚ませと言われたような気分でした。あと一遍は、3.11に関する物語。

  • 『東京プリズン』ってすごく有名になったと思うのに、なかなかレビュー数が伸びない感じがする。
    どうしてだろう。

    「天皇」をこういう形のモチーフとして描いた小説って、実はそんなにないような気がする。
    記事とか評論になると、膨大な量が出ているのに。


    「人は、そういう存在です、たまはいつも外にあります、そちらが本体です。たまは肉体に宿るというよりは、まとうような、付着させるようなものです。天皇様はその象徴です。でも、たまの遷移の技能に長けているという意味で、特別な人たちです。」


    読み終わってから、「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」も読んだ。
    自分で自分のことを、象徴と言い、その象徴的な生き方を見つめることに、色んな感情が混じる。


    「彼がしたことは、共に在ることだった。
    それだけといえば、それだけだった。
    それが、象徴的行為なのか?
    無力。無力と言えば無力。でもーー
    『あまりに無力と言われると……やはり悔しいような気持ちになるのです』」


    マリの言葉に、GSの女性は「無力さほど普遍的なものはない」と返す。
    天皇制がたとえばなくなっても、私たちは一人の有名なタレントを失ってしまった“程度”にしか捉えることはないんだろうか。
    本当に?
    でも、一方で、ニュースの端々に“だけ”登場する、天皇の生き方に、それほどの関心を持って来なかった自分もいる。

    赤坂真理は、空箱の虚しさと、そこに込められた“空”の意味を提示する。
    色即是空、空即是色。
    お坊さんが唱える、この二対のことばが頭に反復した。

    在るから見ること、でも、見るから在ること。
    私たちと、その対象との関係で、それは箱という外形を成すのではないかと思う。
    けれど、天皇は生きている。不定ではない。
    そんな一つの生き方を、あなたはどう考えるのか。

    大切な問いだと思う。


    「日本に近代は、一九四五年まで、こなかった。」

  • 19/02/16。

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著者プロフィール

人間の知覚の限界に迫る『ミューズ』で野間新人賞、『東京プリズン』では、少女の目で「戦後」を問い、毎日出版文化賞、司馬遼太郎賞受賞。小説の他に、『愛と暴力の戦後とその後』『モテたい理由』など評論も話題。

「2019年 『箱の中の天皇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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