虹いろ図書館のへびおとこ (5分シリーズ+)

著者 :
  • 河出書房新社
4.10
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本棚登録 : 1395
感想 : 114
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309028385

感想・レビュー・書評

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  • 本書から思い出すのは、数年前の夏休み明け直前に、某市の図書館がSNSで「学校に行くのがつらかったら、図書館にいらっしゃい」と呼びかけて話題になったこと。反響が大きく、その後賛否両論があったことは最近知った。

    舞台は図書館。いじめが原因で学校に通えなくなる小6女子ほのかの話。
    居場所に図書館を見つけ、そこで図書館員や他の利用者と過ごし、元気になっていく。
    ある日図書館で過ごしていることがばれ、担任らがやってくるが、図書館員は「図書館は利用者の秘密を守る」「子どもの行き場をなくし、追い詰めるのですか?」と言い守ってくれる。

    メッセージ性のある言葉も良かった。「踏ん張りすぎると枝みたいに折れちゃう。たまにはサボってテキトーでもいいんだ」「疲れたら近くの人に甘えりゃいい。それでその後また頑張れる」。
    松素めぐり著「保健室経由かねやま本館」でも同じようなセリフがあった。
    子どもが不登校になった経験がある。このようなことを言ってくれた人は、じいじとスクールソーシャルワーカーさん、不登校経験者とその親だけだったけど、救われた。
    今度は逆に私たちがこういうことを言える一人でありたいと思っている。

    保健室登校など、受け入れ体制を整えてくれた学校にはとても感謝している。しかし本当に学校に行きたくない子は、保健室登校どころか、学校の門をくぐるのも学校方面に向かうのも、乗り物に乗るのも家の玄関を出るのも無理なのよ。何度Uターンして帰ってきたことか。制服を着るのもやっと。復帰するにも段階がある。
    そんな悩んでいた時に、本書みたいに自宅ではない場所の、不登校を認めてくれる理解ある大人や同じ境遇の子どもが身近にいたら良かった。
    癒やされる場所は人それぞれ。うちの子は家の目の前にある公園のジャングルジムのてっぺんにいつもいた。「高い所から空を見ると気持ちがいいんだ〜」なんて言って(ロマンチスト!?w)。
    そんなにジャングルジムが好きならば、そこに雲とか虹とか気球がふっと現れて誰も知らない素敵な世界に導かれて…っていうのもいいな。そんな場所があれば良かった。妄想物語が膨らみそう。
    (※本書はファンタジー要素なし)

    本書は図書館が舞台なので、たくさんの本が登場して話題にするのも楽しくて良かった。

    • 松子さん
      おはようございます(^^)
      ふふ、なおなおさんのアイコン、
      いちごの妖精でしょうか?かわいいですー!

      共通のブク友さんがいるんですか⁉︎
      ...
      おはようございます(^^)
      ふふ、なおなおさんのアイコン、
      いちごの妖精でしょうか?かわいいですー!

      共通のブク友さんがいるんですか⁉︎
      誰だろぅ…、いつか皆さんで一緒にわいわい
      お話できたら嬉しいです。

      私も本棚のジャンルはめちゃめちゃです♪
      どの本を読んでも新鮮でおすすめ頂いたままに
      読んでます。
      なおなおさんに言われて気付きましたが、警察もの多いかもっ! Σ(゚д゚)新たな発見です!
      ありがとうございます。
      なおなおさんの本棚で、警察小説、参考にさせて頂きますね♪

      サイン会のコメントありがとうございます(汗)
      あの日は主婦の大冒険の日でした!(≧∀≦)
      2022/07/08
    • なおなおさん
      松子さん、こんにちは。

      惜しいです!「りんご」でした!
      でも「いちごの妖精」って嬉しかったです。
      小さい頃恥ずかしがり屋だったせいかほっぺ...
      松子さん、こんにちは。

      惜しいです!「りんご」でした!
      でも「いちごの妖精」って嬉しかったです。
      小さい頃恥ずかしがり屋だったせいかほっぺが赤くてよくからかわれていたんです。
      それで「りんごちゃん」と呼ばれていた時があったんですwでも今でもはっきりと覚えているのは、このあだ名がついたのはりんご病になった時。さすがに赤いじゃないですか、ほっぺが。「りんごみたーい」とか言われて(りんご病だっつーの!)失礼なあだ名ですよね!(笑)
      そんなわけで結局は気に入ってる過去のあだ名からこのアイコンにしました^^;

      共通のブク友さんは、ギャグセンスの高いお笑い担当の方たちですよwww松子さんも……?
      松子さんとのお喋りも楽しみにしています。よろしくお願いします(^_^)/~

      PS
      大沢先生の本は読んだことがないので、松子さんのレビューを参考にしていつか読みますね(^_-)-☆
      2022/07/08
    • 松子さん
      なおなおさん、いちごじゃなくて、
      りんごだったんですね(゚д゚lll)
      失礼しましたっ!
      通知欄がなおなおさんのアイコンで一時、
      可愛いこと...
      なおなおさん、いちごじゃなくて、
      りんごだったんですね(゚д゚lll)
      失礼しましたっ!
      通知欄がなおなおさんのアイコンで一時、
      可愛いことになってました♪

      『りんご病だっつーの!』に吹き出してしまいました! りんごちゃんのあだ名も由来も可愛いです!うらやましっ!

      私は結婚前も後も松子、まつ、まっつんとあだ名は変わらなかったです。
      良かったらなおなおさんも気軽に呼んでくださいね

      ギャグセンスの高いお笑い担当の方達‼︎
      うん!ピンときましたっ!
      あのお2人ですねっ!(^^)

      あっ!
      私はギャグもお笑いも大好きですが、
      センスはゼロです〜汗汗 
      無理です〜汗汗

      大沢作品、ハードボイルドな気分の時には
      ぜひっ!

      なおなおさんとのお喋り、今回も楽しくて、
      これからも楽しみにしてまっす♪
      どうぞ良い週末を〜(^^)
      2022/07/09
  • 転校生のほのかが、クラスのかおる姫からへびおとこを見に行こうと誘われて行った先は、図書館だった。
    そこの図書館の職員さんの顔の右半分が緑色だったのだ。
    その帰り、ねこにいたずらをしようとしたかおる姫を注意したことから翌日クラスのみんなが冷たくなり、いじめを受けるようになった。

    学校へ行けなくなったことを父や姉には言えるはずもなく、おまけに母は入院中で家のことも大変な状況で、毎日登校するふりをして図書館へ行っていた。

    へびおとこと呼ばれていた男性職員は、イヌガミさんで隠れて図書館で過ごすうちに他の職員さんの顔や図書館に午前中に来る子ども連れの人たちの様子までわかるようになった。

    イヌガミさんは、学校へ行ってないことに触れず、本をすすめてくれたり、書庫で簡単な作業の手伝いをさせた。

    担任の先生が、ほのかが図書館で過ごしていることを知りやってくるが、イヌガミさんは、図書館は利用者の秘密を守ると言って何も喋らなかった。
    ほんとうに子どものことを心配しているのか、と。
    図書館へ来る子に学校はどうしたと問いただしたら、その子は、次はどこへ行くんですか?と。
    そうやって、子どもの行き場をなくし、追いつめろというのですか?と。

    担任は、自分の力不足を反省し週に一回は図書館へ来てイヌガミさんに手紙やプリントを預けて帰って行く。
    クリスマススペシャルおはなし会にも声の出演をしたりして、学校ではないところでほのかは、楽しむ。
    そのうちに先生や父とのやりとりで学校へ行くようになる。

    ちょっとしたきっかけで学校へ行けなくなるときにどこへ行けばいいんだろう。
    家族に迷惑をかけたくない。
    何も言わずに受け入れてくれる場所があればどんなにほっとするか…。
    そして、何も聞かずに受け入れてくれる人がいる。
    こんなところが近くにあればいいと思わずにはいられなかった。

    そういう場所や人の思い出があるだけで成長できるし、強くなれると思った。

  • ネットギャリーにて読了。
    ずっと読みたかった本だったが、手に取る機会がなかった。

    表紙の絵から、図書館から異空間に行くファンタジーなのかと思っていたが、全く違った。

    主人公のほのかは小学6年生。母は、重い病気で長期間入院している上に、父親の仕事の都合で転校することになってしまった。
    転校先のクラスカーストのてっぺんにいると思しきかおり姫に放った一言で、いじめのターゲットになってしまう。
    最初は耐えていたほのかだが、学校に行こうと思っても足が一歩も踏み出せなくなってしまう…そんな時にほのかを受け止めてくれたのが、かおりと行った記憶のある、ボロいグレーの建物…図書館だった。

    読むのが辛くなるほどの、イジメ。
    担任の先生はちょっと無責任過ぎやしませんか?お父さんやお姉ちゃんはなんで気付かない?と問い詰めたくなるほどだ。
    図書館が開くまでの時間や、休館日の時間をどうにかやり過ごすほのかの様子に、本当に胸が痛くなる。
    図書館のヘビ男こと、無愛想なイヌガミさんの存在に読み手もどれだけ救われたことか。
    終盤になるにつれ、光が見えてきてホッとする。
    スタビンズ君との再会は出来過ぎな気もするが、それくらいのプレゼントがないとね、と思わせる着地点だと思う。


    学校のクラスに居場所がないと感じている生徒は結構いる。
    クラス替えが恐怖だという生徒も。
    学校は色々な点で配慮をしているし、私の知る限り先生方も、様々な状況の生徒に寄り添っている、自分が中学生だった頃とは、大違いだ。

    イヌガミさんの、図書館は個人の尊厳を守り、利用者の側に立つというその事を私も胸に刻みたいと思った。2022.6.10

  • 所謂YA向けの本かな?小学校高学年くらいから楽しめる本だと思います。

    数年前の夏休みの終わり頃、どこかの図書館が「学校に行きたく無い子は図書館に来てください」とメッセージを出したことがニュースになったのを思い出しました。
    学校に行けず、それを家族にも言えない子供たちのこんな風な避難場所が、どの町にもあると良いよねえ。

    物語はYA世代向けの良質なブックガイドにもなっています。
    私もこれを読みながら、また読みたい本が増えました。


  • 転校した小学校でいじめにあった 火村ほのか は、朝家を出て学校へ行かずに町の図書館で時間を過ごしていた。
    図書館児童コーナーにいるのは、病気で身体の左半分が緑色のため名物へびおとこと呼ばれるイヌガミさん。イヌガミさんはつまらなさそうに仕事をして折り紙が下手。美人同僚のうつみさんのことが好きらしい。
    そして ほのか と同じように図書館登校する中学生男子のスタビンス君もいる。
    イヌガミさんは学校のある時間に図書館に入り浸る ほのか のことを言いつけたりしないし、図書館の過ごし方を教えてくれたり、面白そうな本を教えてくれたり、仕事もやらせてくれる。
    図書館には「図書館の自由に関する宣言」がある。「図書館は利用者の秘密を守る」というものだ。学校でいじめられている子が図書館にいるなら、「学校にいけ!」と追い出したり言いつけたりしたら居場所がなくなるだけではないか。

    ほのか が図書館で知った本は、「ぐるんぱのようちえん」「ドリトル先生シリーズ」「指輪物語」などなど。指輪物語では、本と映画から人間が得るイメージの違いが説明されます。
    さらにへびおとこイヌガミさんを通して差別のこととか、人の一人ひとり違うという個性のことや、ちょっとした初恋描写とか、思春期の成長が書かれます。

    この図書館の壁に貼られた注意書きがセンスが良いですね。
    どろんこハリーが「手を洗おう」、番ねずみのヤカちゃんが「図書館では静かに」って(笑・笑・笑)
    いやーこれ考えるの楽しそうだなあ。

  • 司書さんにおすすめしてもらって読んだ本。
    人との出会い、本との出会いって老若男女大事だと思う。

  • 良質な児童書。
    転校後、いじめが原因で学校に行けなくなった小学校6年生の少女・ほのか。といって行くところはなく、図書館で時間を潰すようになる。そこには、顔の半分が緑色で、ほのかの同級生から「へびおとこ」と気味悪がられている図書館員・イヌガミがいた。
    当初は同調したほのかだったが、図書館に通い、イヌガミらと接するうちに、自らの偏見にも気づいていく。

    平日の朝から図書館に入り浸る少女を、静かに見守る図書館員たちの視線が温かい。(少し前に、図書館からのこういう子どもたちのための居場所としての呼びかけもありましたね。)
    一方、それを糾弾する権威者や興味半分の問いかけに対しては「図書館は利用者の秘密を守る」と、毅然と拒否する矜持が素晴らしい。こういう大人でありたいし、こういう大人を守れる人でもありたい。

    勇気が必要だが、傍観者でいたら何も守れない。小さくても声をあげ続けなければ、人権は画餅に過ぎないことになってしまうというのは、現実でいやというほど見せられている。

  •  ページをめくる手が初めて止まらなかった、いろんな気持ちが描かれていた、と小学校6年生が目を輝かせて薦めてくれた1冊です。
     主人公ほのかが経験したいじめ、図書館員たちとの温かい関わり、家族への思いが真っ直ぐ描かれ、心が揺さぶられました。
     この図書館のような心の拠り所となる場所を必要としている子がどれほどいるのでしょうか。イヌガミさんのように、立場が上の人にも毅然と立ち向かえる、そんな大人でありたいと思いました。

  • 「問いただしたら、その子はここに、もう来られない。次はどこへ行くんですか?そうやって、子どもの行き場をなくし、追いつめろというのですか?」

    この作品でイヌガミさんに出会えたことをとてもうれしく思う。
    たくさんの人に、イヌガミさんに出会ってほしいと思う。

    虹いろ図書館の本棚も、魅力的な本ばかり。
    気になる一冊に出会えるかも。

  • お父さんの都合で転校生になり、お母さんも入院中。クラスのお姫様タイプに些細な事で嫌われ、図書館に通うようなり…。担任やかおり姫、その親など、展開に児童書らしさはあるが「小学生の時の気持ちってこうだよなぁ」と思う。逃げ場所があるって救いだし、見た目で判断する人は多い。強くなるのは本当に勇気がいる。素敵な小説だった。スタビンズ君との再会!すっかり素直な好青年になっちゃってーー。

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著者プロフィール

京都市生まれ。放送大学卒。2018年氷室冴子青春文学賞大賞を受賞、19年『虹いろ図書館のへびおとこ』でデビュー。作品に「虹いろ図書館」「図書室の奥」シリーズ、『あたしとひぐっちゃんの探偵日記』など。

「2022年 『虹いろ図書館 司書先輩と見習いのぼく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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