かか

著者 :
  • 河出書房新社
3.35
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本棚登録 : 3099
感想 : 334
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309028453

作品紹介・あらすじ

うーちゃん、19歳。
母(かか)も自分も、もう抱えきれん。
選考委員・町田康、村田沙耶香、震撼。
痛みと切なさを描く20歳の才器、第56回文藝賞受賞作。
19歳の浪人生うーちゃんは、大好きな母親=かかのことで切実に悩んでいる。かかは離婚を機に徐々に心を病み、酒を飲んでは暴れることを繰り返すようになった。鍵をかけたちいさなSNSの空間だけが、うーちゃんの心をなぐさめる。
脆い母、身勝手な父、女性に生まれたこと、血縁で繋がる家族という単位……自分を縛るすべてが恨めしく、縛られる自分が何より歯がゆいうーちゃん。彼女はある無謀な祈りを抱え、熊野へと旅立つ――。
未開の感性が生み出す、勢いと魅力溢れる語り。
痛切な愛と自立を描き切った、20歳のデビュー小説。
人間の気分、気持ちが恐ろしいほど正確に文章化されている。そしてそれが何度も人間存在そのものに迫って胸を衝かれる。
――町田康
この作者は、書くことの呪いにかかっている。それは、信頼できる、「作家」としての呪いだ。
――村田沙耶香
<著者略歴>
1999年、静岡県生まれ、神奈川県育ち。現在大学生。2019年、第56回文藝賞を受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 推し、燃ゆがすごく良かったのでこちらも読みました。19歳浪人生のうーちゃんは大好きなかかのことで思い悩み、SNSを心の拠り所にしている。母と娘の愛情と自立の物語。女性同士の親子の絶妙な関係性の描かれ方が見事でした。心を抉られるけど、最後の決別とも思えるシーンは爽快でした。

  • 母を誰よりも愛していて、誰よりも憎んでいる。うーちゃんに共感する長女は多いんじゃないかな。私がそうなので。何もかもおまえのせいだぞと詰ってやりたい一方で、母を抱きしめて背中を撫でてやりたいとも思う。不安定な愛憎、心の叫びをずっと浴びてる気分だった。

  • 真に迫る。類似の体験をした方であろう。Audibleのナレーションが最高に巧み。

  • 私にはあまり合わなかったです。というか、終始息苦しいというかしんどくて重たい。

    離婚を原因に壊れてしまい、酒浸り薬漬け自傷行為、隔離入院、手術の2児の母。家庭のせいで
    受験失敗浪人中で鍵かけたSNSアカウントと推しの劇団しか救いの無いうーちゃん。あまり多くは語られないが家族に何も期待してない弟。母は亡くなった叔母のおまけとして産んだと言い切る狂ったジジババと亡くなった叔母の子で、人生投げ気味の明子。

    目を背けたくなるくらい痛々しい環境で生き、明らかに壊れていくうーちゃんを可哀想に思いながらも少し苦しく感じていたのは多分、描かれる環境があまりにどん詰まりな状況に思えすぎて、打開策というか光が全く浮かんでこなかったからかもしれない。
    熊野へ詣でる事で何か変わるなんて全く思えないし、それが現実逃避になってるわけでも無い。自分がかかを産みたい、そして自分が産まれない世界線ならばかかは幸せだったんじゃないか?という考えはよく分からんかった。結局かかを心から憎んで嫌っているのに、最終的に自分に原因の矢印が向くのは何故なのか、理解が難しく読み取れなかった。

  • 終始『かか弁』で語られる文体はとにかく読みにくい
    けんど、徐々に慣れてきゆるもんです
    そして、気がついたときにや、自分もかか弁で語っとうかもしれんのです

    19歳の心の痛みがかか弁によって深く抉られました
    人間の弱さと醜さと親を見捨てれない愛の深さ
    読み終えてもしばらく苦しかったです

  • すっごい本を読んだ。

    女の身体、家族の単位、母との関係、文体

    それとなく未映子ぱいせんの「乳と卵」を彷彿とさせるけれど、筆致の熱量が他に類を見ないくらい凄まじい。

    この押し寄せる表現がうーちゃんの葛藤をより際立たせる。

    愛したい人をストレートに愛せない、
    壊れていく過程を一番近くで見ることの残酷さ。

    一度読んでいただかないとこの熱量は伝わらない。
    母と娘は難しい。

  • なんとなくさくさくとは読み進められないけど
    心の葛藤や魂で叫んでる感じはする

    また読んでみたい作家さん

  • 自分にはこの作品を「面白い」と捉える度量がない。人間に対する描写が深すぎて、しがみついて振り落とされないようにするだけで精一杯だったから。それでも星5をつけたのは、ただただ圧倒されたので。二十歳前後でこの文章、敬意を込めて怪物と称さずしてなんと呼べば…って言いたくなるけど、怪物なんて言葉使って必要以上に距離取ろうとするのもよくないんかな。
    タイトルの通り「母親」という存在を力強く書き切った作品だと感じた。作者さんの性別は知らないけど、これは男性には書けないんじゃないかな…とも。読み始めた時は方言のような独特な文体を単純に読みにくいな…と感じて、ちょっと古い時代の話だったりするのかな、なんて誤解もしていたけれど、読み進めていくうちにこの小説はこの文体じゃなければ成り立たないんだな、と自分の中で納得がいったのが不思議だった。自分も小学校の真ん中くらいまで、両親のことを「おっとぉ」「おっかぁ」と呼んでいたので、ある時期までの親子の中だけで成立する言葉の温度感を信じたくなるというか、なんというか。
    定期的に出てくるSNSの解像度も怖いくらいに鮮明で「こんな投稿最近見たな…」ってのがうじゃうじゃ出てくる。そして何より、こういう作品を久しぶりに読んだことで、自分はこのレベルになるくらい人間に深く興味を持ててないんだなぁ…と突きつけられたような気がした。

  • 内容はあまり覚えていないけど、初潮時の入浴を
    金魚に例えたのだけは今でも印象に残っている。

  •  切なさや苦しさ幼なさ。

    そして何よりも真っ直ぐさ。

    痛みを伴うけど素敵です。

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著者プロフィール

1999年生まれ。2019年、『かか』で文藝賞を受賞しデビュー。同作は史上最年少で三島由紀夫賞受賞。第二作『推し、燃ゆ』は21年1月、芥川賞を受賞。同作は現在、世界14か国/地域で翻訳が決定している。

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