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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309028835

感想・レビュー・書評

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  • 『小説版 韓国・フェミニズム・日本』読了。
    とても面白かった。要するにタイトル通りのテーマについて書かれたアンソロジーものです。
    意外だったのが、西加奈子さんの作品がめちゃくちゃ面白かったこと笑(何気に苦手意識があったんで)まー、面白がっちゃいけない、センシティブな内容だけれども。西加奈子の「韓国人の女の子」は見事に3つのテーマを融合して出来上がった切ない内容で、すごいな…という意味で面白かった。
    他にもチョ・ナムジュや松田青子、イ・ラン、深緑野分、ハン・ガン。すごくよかった。
    なんだろうな、寂しくなる時もあるが、自分の思う生き方を貫こうとする人たち。繊細かつ大胆で、美しかった。
    大筋の内容はジェンダーについての話が多かったが、気持ち悪いSF要素強めな内容もあり、いい意味で気持ち悪くなった笑
    綺麗事だけでは生きていけないわけで。
    知らないことを知らないままでいるのもいけない、と思うに至る。
    まずは知ること。
    今、知らなかったことを知ろうとしている。
    自分が今まで見てきた世界が無意識のうちに広くなっていますように。
    割と最近まで、自分が男だったらよかったのにと思う時が何度かあった。
    けれども、その考えが不利な時に限って女でよかったと思ったりしてしまう自分がいた。本当にそれでいいのだろうか?
    強くなったり弱くなったり体裁を整えようとして忙しないか?
    私はずっと私でいることが出来たらいいのに。
    松田青子の「桑原さんの赤色」を読んで、赤色のアイシャドウが欲しくなった。

    2022.2.12(1回目)

  • 韓国・ジェンダーをテーマにした作品を集める。
    日本人作家と韓国人作家。

    文学を読んだという気持ちになった。

    12作品が収録されているので、好きな作家さんとの出会いにも。

    テーマがジェンダーで文学なので、結構濃いめ。
    ちょいとあわない作品もあった。

    特に印象に残った二作品。

    韓国人作家の作品では…
    デュナ「追憶虫」
    前の宿主の記憶を次の宿主に伝える寄生虫に感染したユンジョンの恋心は誰のものか。
    SF。

    日本人作家の作品では、
    高山羽根子「名前を忘れた人のこと」
    名前も顔も思い出せないけど、印象だけが残っている人がいる。彼はおそらく現代美術作家だ。あのとき聞けなかったことも、もう一度出会ったときには聞けるだろうか。
    たぶん、エッセイ。

    韓国では、男性上位なのかな?というイメージでしたが、ここ数年で、少なくとも若い人の間では変わってきているのかな?

  • 韓国と日本、両国の作家らの短編集。
    いろいろ味わえて、ここ十年二十年の変化変遷を考えさせられる一冊。

  • 韓流ドラマにハマっている流れで。

    どれもよかったけど、デュナの追憶虫
    西加奈子の韓国人の女の子、ハンガンの京都、ファザード、深緑野分のゲンちゃんのこと、星野智幸のモミチョアヨは特に印象に残った。

    日本で韓国のことを語る時、在日のことを隠そうとする、何か触れてはいけないことのようにする雰囲気が、日本の社会にあるのは否めない。
    年齢が上の世代では差別意識がある。
    そのことについて、考え続けないといけない。

    文化面で韓国はここ最近ものすごい勢いがあり、
    質も高い。文学でも、どんどん新しい作家が注目されていて、そのエネルギーがまぶしい。

  • ひとつひとつの話のなかに、少なからず一箇所はぐっと刺さる部分があった。私はそれでも女でいることが楽しいし、女に生まれてよかったと思う。「それでも」という言葉を付けなきゃいけないところがちょっと大変だけど。

    【読んだ目的・理由】帯の「私たちめちゃ楽しいでしょ?」というフレーズに惹かれて
    【入手経路】買った
    【詳細評価】☆4.0
    【一番好きな表現】桑原さんは夜野に本心を話す気なんてはなからなかった。何十歳も年下の女の子に気持ちをぶちまける必要なんてなかった。赤いアイシャドウをつけて働いていた彼女は、それだけで最強だったのだ。(本文から引用)

  • 星の王子様ならぬ叔父様
    笑いながら読んだが怖すぎて印象を全部持っていかれてしまう始末…。
    星野智幸さんの話がお気に入りです。暑苦しい兄貴たちとの友情だけではまだまだ。女性にぶち切れられ素直に従い、ようやく本物の韓国男子が完成する姿が痛快でした。

  • 最後のホシノの話と、西加奈子の韓国人の女の子、が面白かった。
    読んだ後「…で?」と思う話もあった。

  • なんだこれ?っていうのが多かった。
    「桑原さんの赤色」と「韓国人の女の子」が好きかな。韓国フェミニズム日本というタイトルにも合ってるし、読みやすかった。
    やっぱり西加奈子さんの文章はサバサバしていて好きだ。

  • なんだかもやっと、お腹に一物残る感じがずっとしていた。
    印象に残っているのは、次の2つ。
    「デウス・エクス・マキナ」
    読み終わった後、思わずなんだこれってつぶやいた。
    「名前を忘れた人のこと」
    隣国について、テレビや本だったりで受動的に知っていること、その中身も世代によって変わるし、なにかきっかけがないといつまで経っても受動的だし。確かになぁ…と思った。
    「桑原さんの赤色」も好きだった。

  • 最初の作品、チョ・ナムジョ「離婚の妖精」ですっかり魅惑されて…ついに元妻と娘たちの新たな愛のコミュニティをわからない男たちに笑った

    松田青子「桑原さんの赤い色」も強い魅力がラストに爆発して爽快だ

    ほかにも日本、韓国の作家たちの作品が集められている魅力的なアンソロジー

    やはりハン・ガン作品は私にはひびかなかったな

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著者プロフィール

チョ・ナムジュ:1978年ソウル生まれ、梨花女子大学社会学科を卒業。放送作家を経て、長編小説「耳をすませば」で文学トンネ小説賞に入賞して文壇デビュー。2016年『コマネチのために』でファンサンボル青年文学賞受賞。『82年生まれ、キム・ジヨン』で第41回今日の作家賞を受賞(2017年8月)。大ベストセラーとなる。2018年『彼女の名前は』、2019年『サハマンション』、2020年『ミカンの味』、2021年『私たちが記したもの』、2022年『ソヨンドン物語』刊行。邦訳は、『82年生まれ、キム・ジヨン』(斎藤真理子訳、ちくま文庫)、『彼女の名前は』『私たちが記したもの』(小山内園子、すんみ訳)、『サハマンション』(斎藤真理子訳)いずれも筑摩書房刊。『ミカンの味』(矢島暁子訳、朝日新聞出版)。『ソヨンドン物語』(古川綾子訳、筑摩書房)が近刊予定。



「2024年 『耳をすませば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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