自転車に乗って: アウトドアと文藝

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 155
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309029351

感想・レビュー・書評

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  • 自転車にまつわるエッセイ集。

    誰だって自転車には乗ろうとする、乗ってみようとする、でいろいろ思うわけである。

    1.はじめる
    2.ふりかえる
    3.考える
    4.旅する
    5.いつでも、どこまでも

    その時々で感じたことをエッセイにしている。

    はじめる。では夏目漱石や萩原朔太郎も自転車に挑戦するのである。
    文体に時代を感じる、、だが頑張ってる様子は伝わってくる。

    この中では、小川未明の「父親と自転車」がよかった。買ってほしいと頼む吉坊に父親は、「そんなものに、乗らなくたって、いくらでも遊べるではないか、ほかの子供をけがさしてみい、たいへんだぞ。もうすこし大きくなってから、買ってやる。」というが、自転車に乗ってる友だち2人の後ろを真っ赤な顔をして追っかけてる吉坊を見て、いじらしく思い「ああ、おれが悪かった。」と心のなかで泣く。
    なんとも言えない…親心に沁みる。

    ふりかえる。でも織田作之助や北杜夫、江戸川乱歩など珍しい面々が登場。
    金子みすゞの電報くばりの詩も味わいがある。

    考える。では映画のなかの自転車というと、「E.T.」がやはりポピュラーだろう。
    「自転車泥棒」も失業者のあふれる、終戦直後のローマの少し暗い話。

    旅する。では「まくりのアサちゃん」の漫画が楽しめた。絵にも味わいがあるが、昭和24年9月大宮競輪後節でデビューした西村朝子物語。

    いつでも、どこまでも。では益田ミリさんの「優しい言葉」自転車で転んだであろう男の子が虫カゴからこぼれた砂を一生懸命にかき集めている姿に声をかけながら涙が出そうになったこと。



    自転車…最初にこまを外して乗れたときは、やった〜と思った。風が気持ちいいと感じた。
    どこまでも行けるって、少しお姉さんになった気がした。
    そんな遠い昔のことを思い出した。



  • 自分では自転車にしか乗れない。しかも曲芸(フラフラしているのを見た方が、ファンになるくらい)

    自転車に乗って :角田 光代,柴田 元幸,夏目 漱石,萩原 朔太郎,真鍋 博,三浦 しをん|河出書房新社
    http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309029351/

  • 戦後から平成まで、幅広い作家による自転車にまつわるエッセイ集。
     
    こういったエッセイ集は今まで触れたことのない作家さんにも巡り会えたりして面白い。
     
    夏目漱石、江戸川乱歩、宮沢賢治といった昭和の文豪から、三浦しをん、羽田圭介、SEKAI NO OWARIの藤崎彩織といった現役バリバリの方たちまで総勢27名に渡る自転車話。
     
    意外と面白かったのが夏目漱石。
    当時の自転車にはブレーキが付いていなかったという前知識は必要だけれども、日本が誇る文豪も結構ドン臭かったのね、というのが自虐的に書かれていて思わず笑ってしまった。
     
    今回の収穫はなんと言っても藤崎彩織さん。
    彼女の作品はまだ読んだことがなかったが、軽快でウィットに富んだ文章で、彼女の小説も読んでみようという気にさせられた。
     
    中には内容がよく理解できない作品はあったけれど、全体的に満足のいく一冊。
    自転車好きでも、そうでなくてもおすすめ。

  • 自転車に乗って
    -著者-
    伊藤礼、江戸川乱歩、押川春浪、角田光代、北杜夫、久世光彦、柴田元幸、夏目漱石、羽田圭介、藤崎彩織、真鍋博、宮沢賢治、山松ゆうきち、吉行淳之介、忌野清志郎、小川未明、織田作之助、金子みすゞ、北川悦吏子、志賀直哉、中井久夫、萩原朔太郎、半村良、益田ミリ、三浦しをん、群ようこ、吉本隆明

    ∞----------------------∞

    色んな作家さんの自転車にまつわるエピソード。面白かったのと普通なのとよく分からないのが混ざった短編集です。

    夏目漱石と萩原朔太郎は文体がちょっと難しかったけど、自転車と奮闘しているのはよく分かった。

    真鍋博さんのバイコロジーの話。実際現実は自転車よりも自動車社会なんだけど、発想が面白くて夢があって、自転車を身近に感じられて、もっと乗りたいと思えた。

    「旅する」以降の話は、前半より自転車に愛着がある感じ?特に旅なんて私には出来ないことだなと思いながら読んだけど。

    セカオワのビワイチ。琵琶湖一周が200kmというのすら知らなかったけど、辛そうだけど楽しそうだったし、そもそもこういうの書かれる人だとも知らなかった。

    突然、まくりのアサちゃんの漫画。これは人生を掛けた自転車生活。

    吉本隆明、久世光彦辺りでは自転車よりも歩きを勧められる年齢の話で、頑張ってみたけど大変だったとか怖かったというのが、気をつけろよ!で締めくくられてる気がした。

    2023/09/23 読了(図書館)

  • 漱石の『自転車日記』を読みたくて
    全集以外にないかと探したら(重いから)
    こんな素敵なアンソロジーがあった!
    河出書房さん、ありがとう。

    お目当ての漱石先生「自転車修業」は
    期待通りの和み度高い随筆。
    いや…さんざん苦労してるから
    先生的には決して和んでないけど
    その頑張り具合に読むこちらは頬が緩む。
    同病相憐むってやつですよ(自転車乗れない)

    萩原朔太郎は乗れるようになって
    角田光代は乗れたけどやめて
    羽田圭介はサイクリングの実情を知り。
    総勢27名の書いた自転車にまつわる話。

    小川未明の『父親と自転車』は童話。
    自転車を走って追いかけた子どもの気持ちに
    おもわず涙しそうになる一編でした。

  • 自転車に関する文筆家のアンソロジー。
    専門家じゃないだけに、基本的には乗れた乗れない懐かしい足腰弱ったの気楽なエッセイが並んでいる。
    愛好家ばかりじゃないので割とマイナスなイメージの文章もあり、自転車好きにはちょいと注意。

  • つまらなかった。買わなければ良かった。

  • 自転車ネタでバラエティに富んだ作家が大集結。時代も背景もそれぞれ、自転車に乗って楽しかったで終わらないのが文筆家だ。

  • 【所蔵館】
    総合図書館中百舌鳥

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000951836

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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