嫌いなら呼ぶなよ

著者 :
  • 河出書房新社
3.61
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本棚登録 : 1019
感想 : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309030487

感想・レビュー・書評

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  • 綿矢さんの短編集。表紙から目を奪われる。この表紙考えた人すごい。笑
    綿矢さんのコロナ禍のエッセイは合わなかったけど、コロナ禍の時代を背景にしたこの短編集は、遠慮のない綿矢節が炸裂で面白かった!
    なんで綿矢さんには、色んなタイプの人の、自己中心的で綺麗じゃない内面がここまでわかるのだろう?

    ○眼帯のミニーマウス
    ロリータが好きでプチ整形を繰り返す自称メンヘラちゃん。整形をさらっと告白したつもりだったのに執拗にいじられるようになる。
    「オーラの発表会」の海松子のその後がちょっとだけ出てくる。スピンオフ?
    ラストはなかなかスッキリする。

    ○神田タ
    バイト先で、カンダというYouTuberを見かけたと話題になる。その日からカンダのYouTubeにはまり、出来るだけ印象に残るようなコメントを残したり手紙を書いたりする。この話の主人公は、普段は相手との距離感をうまくとれるのに、YouTuber相手には明らかにいき過ぎていて、相手がどう思うかをまったく顧みない。
    ファンとの距離感が近いだけに、説教したり批判したり、自分から見た〇〇像を押し付けるようなファンも増えたんだろうなぁ。。

    ○嫌いなら呼ぶなよ
    表題作。タイトルから、開き直ってる(笑)
    妻と一緒に、妻の友人の家に招かれて行ったが、そこでは自分の不倫の証拠を突きつけられ、針の筵のような状況で責められることになる。
    しかし表面的には殊勝な態度を示しつつも彼にも言い分はあり、「君たち、関係なくない?権利があるからって、普通、寄ってたかって行使するか?一応、暴力だろ。石でも言葉で嫌悪でも」という気持ちはおさまらない。
    不倫男の内面はきっとこんな感じ。同じ常識や文化を共有していなくて、噛み合わないのだろう。
    表題作だけど読後感はいまいち。

    ○老は害で若は輩
    一番面白かった!これだけでも読んでみてほしい。
    37歳の女性作家綿矢さんと、42歳の女性ライターシャトル蘭、そして編集担当の26歳の内田。綿矢とシャトル蘭の間でインタビュー記事の書き換えについて、両者一歩もひかずにメールの応酬を続け、内田が巻き込まれる…。
    心底うんざりしているこの内田の内面が面白いのだが、綿矢とシャトル蘭のメールも絶妙というか。面倒くさいアラフォー感漂う感じ。あー、うん、こういう文面書いちゃうかもしれない。10歳も違えば、老の害を自戒しなければならぬ。
    やってられなくって、お酒飲みながらメールの返信をしていた内田だが、停電もあり、いつのまにか意識が薄れて…
    ラストでも爆笑した。いいね。大人の女を自称するなら反省して笑って許そうか。笑

  • 嫌いなら呼ぶなよ!
    こんなこと、言われたらどう感じるのか。
    ふと頭の中で、考えてしまいました。
    言葉からすると高圧的だけど、どこか腑に落ちる
    ワードにも感じる。相手の事が嫌いなのに、あえて
    呼んで、相手を自己嫌悪に陥らせる。究極的な嫌がらせだと私は感じました。本作の表題作「嫌いなら呼ぶなよ」は、究極的な嫌がらせを受けてもなお
    果敢に闘う姿勢をみせる不倫男と、不倫を受けた
    妻と妻の強い友達たちの公開裁判を描いてます。
    ちょっとスカッとしました。不倫男のナルシスっぷりが、たまらなかったですね。

  • 綿矢さん2冊目。最初に読んだ『手のひらの京』とは全く雰囲気が異なる。

    4編の短編集。どの話の登場人物も極端でクセの強いこと!心理描写が非常に濃厚だった。最終話は綿矢さん本人が出てくるが、実際の綿矢さんはどんな方なのかな。

    最近はコロナの始まりからワクチンがようやく普及してきた頃を舞台とする小説を目にすることが増えてきた。まだまだ収束の気配が見えないものの、良くも悪くも「慣れ」が出てきた今とはまた違うフェーズだったな…と当時を思い出したりした。

  • 綿矢りささんの作品は芥川賞受賞作『蹴りたい背中』のあと
    11年間読むことはありませんでした。
    自分があまり読書しなかったのもあるけど
    『蹴りたい背中』が面白いとは思わなかったのです。

    縁あってこの5年間でこれで3冊。
    この本はとても面白かった。

    海松子(みるこ)っていうのが出てきて
    この前に読んだ『オーラの発表会』の主人公。
    そんなふうにあちこち繋がっているのかな。

    一番面白かったのは唯一書き下ろしの「老は害で若も輩」
    これを読んでこれからも綿矢りささんの作品を読みたいと思いました。

    ただ一つ気になるのが、お酒の情景がとても上手くて、飲みたくなってしまうこと。
    断酒の身には辛いです。
    何か理由つけて飲酒復活しようかしらと思ってしまいました。

    でもそうしたら周囲の人間たちに「ほら、やっぱり戻った」と言われそうで、その顔が思い浮かび、悔しい!
    だからこれからも綿矢りささんの作品を次々読むかどうか、わかりません。

  • 赤地に水色のドット柄、そこに大きく「嫌いなら呼ぶなよ」という殺伐としたタイトルがなんとも毒々しく映える表紙です。
    収録の4編は、それぞれにコロナ禍をもがく主人公たちの脳内がユニークかつ明け透けに、爽快感すら感じるキレ味鋭い文体で綴られている。
    『老は害で若も輩』では、まさかの綿矢さんが登場していてその役どころに声出して笑いました。
    本音と建前、人間が持つ二面性って本当に白々しくて滑稽で、でも愛おしくて、とてもおもしろい。
    言いたいことも言えないこんな世の中じゃ〜ポイズン!!です。まさに。

    **
     ぴえん砲を打つ。イエローフェイスの、うるうるの瞳を初めて見たとき、私はすぐさま一首詠んだ。
     秋深し たとえ流行りが終わっても ぴえんとだけは縁を切らない
     ぴえんを多用してると変な脳内物質が湧いてきて、「わたちは何も知らないの(ぴえん)だから何をしても許されるの(ぴえん)」みたいな気持ちになって脳内無敵モードに突入できる。♯ぴえん系女子のタグは意地でもつけない、別に個人でぴえんが好きなのに、偶然一致なのに纏められるのは癪。今年の流行語大賞でぴえん優勝とかしたらほんと癇癪。流行なんて追ってない、流行が私を追ってくる。
    『眼帯のミニーマウス』

     下心だけで身体を繋げる人に出会っても、僕の心は動かされない。ちゃんと自尊心のある人と、すべて初めから始めたい。
     本当に、聞いてほしい、僕は君たちより性欲が強いからこうなったのではない。時流の生むアドバンテージが僕の浮気の動機を作る。女性は綺麗な方が得だから毎日化粧する、でも全員が全員コスメオタクというわけではないだろう、僕のあれもそんな感じなんだ。
    『嫌いなら呼ぶなよ』

  • 待ってたこれぞ綿矢りさ⸜❤︎⸝‍
    強すぎワロタの綿矢りさ⸜❤︎ᵕ̈*⸝‍
    文句なしハズレなしの4つの短編集。

    コロナ禍で、なんだか責任も増えたりで
    ストレスもバラエティに富んで
    のらりくらりのクラクラぽーんで
    やり過ごしたりやっちまったりしながら
    みんな頑張って生きてるよね、みたいな
    そんなふうに笑ったり笑えなかったりしてるうちに
    元気が出た読後感でした。

    しょっぱなからタイトル優勝の
    「眼帯のミニーマウス」
    今この世界の譜面に躍り出る
    現代っ子が放つリズミカルワードがクセになる。
    ぴえん砲に敵うものなし

  • 4編収録の短編集である。
    そのうちの一編、書き下ろしの「老は害で若も輩」が読みたくて購入した。

    これは一種の文壇内幕ネタだ。雑誌の作家インタビュー記事をめぐる作家とライターのひと悶着と、それに巻き込まれた担当編集者――三者のやりとりを描いている。

    著者インタビューをする機会もある私には、身につまされて息苦しくなる一編だ。

    登場する作家の名は綿矢りさになっているが、まさか私小説ではあるまい。ただ、ベースになった出来事はあるのだろう。

    身につまされると同時に、随所で黒い笑いがはじける一編である。
    作家とライター(インタビュアーとインタビューイ)のメールバトルの矛先が、いつしか板挟みになった担当編集者に向いていくおかしさよ。

  • よくもまあここまで人間を悪意に包んで書けるなと思う。最後の「老は害で若も輩」なんかラストで声出して笑ってしまった。本当にお見事。彼氏と喧嘩してめちゃくちゃやってる女の子の行動を「血湧き肉滾るメンヘラの祭典」と表現していたのには語彙があまりにも秀逸すぎて笑ってしまったし、マイワールドが凄すぎて暴走する女子を書くのが本当に上手すぎる。この文章は女目線じゃないと絶対に書けないと思う。ただ私は、綿矢りさの文章文体、語彙はとても好きだし繰り返し読みたいはずなのに、その思考とか人間関係(特に女同士のマウントの取り合い)とかに妙にリアリティがありすぎるせいで、内容がめちゃくちゃ高カロリーで胃もたれ起こしそうになっている。他の作品もっと読みたいのに消化しきるためにしばらく時間あけないとどうにも読めそうにない。それがちょっと悔しい。

  • 最高‼︎笑笑笑
    ぴえん連打したくなるね

  • とても面白かった。
    すごい好みの書き方で読み易くて全く飽きなかった。
    無駄がなく、スラスラ読めて一気読みしちゃう作品って自分にとってはこういう作品だった。

    最近は生きづらさをテーマに人生を描く作品が多いけど、これは真正面からぶつかってよりリアルに現実的な展開を表現してる。
    純文学は共感して感動するものだけど、これは今の世代に刺さる共感を表していて、感動はしなくてもこれまでに無い強烈な共感がある。
    登場人物の名前も独特の面白さや馴染み易さがあって、世代によっては特にウケる。
    若い世代は好きだと思う。

    とても好みの作品でした。

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著者プロフィール

1984年生まれ。2001年『インストール』で文藝賞を受賞しデビュー。04年『蹴りたい背中』で史上最年少で芥川賞受賞。著書に『かわいそうだね?』(大江賞)、『生のみ生のままで』(島清恋愛文学賞)など。

「2022年 『嫌いなら呼ぶなよ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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