光のそこで白くねむる

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  • 河出書房新社 (2024年11月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (112ページ) / ISBN・EAN: 9784309039381

作品紹介・あらすじ

【第61回文藝賞受賞作】
パラノイアックな人物の視点を描ききる勇気と高度な文章技術。新人離れした作品である。 ――小川哲
誰が存在したかも、語り手の性別すらも明示されないあいまいさ。たしかなことが何ひとつないからこそ、この小説は強いのだ。――角田光代
尋常の景色、おそらくは平穏で退屈な田舎の景色をそのまま描いて異常の景色となす不思議の筆力。美事だった。――町田康
特別な文体と出会う喜びを覚え、言葉自体に強烈に惹きつけられた。この作品が宿しているものの大きさに、ただただ圧倒された。――村田沙耶香
十年ぶりに、坂と崖に囲まれた故郷の田舎町をおとずれた「わたし」。
墓地へと続く道を進むと、死んだはずの幼馴染「キイちゃん」の声が語りかけてくる。
行方不明の母、蒙昧な神のごとき父、汚言機械と化した祖母……
不確かな記憶が流れ込み、平凡な田舎に呪われた異界が立ち上がる。
圧倒的異才が放つ、衝撃のデビュー作!

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

静かに淡々と語られる物語は、故郷の田舎町を十年ぶりに訪れた「わたし」の視点を通じて、不確かな記憶や不思議な出来事を描き出します。幼馴染の「キイちゃん」との会話を通じて、失踪した母や祖母との関係が浮かび...

感想・レビュー・書評

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  • 静かに淡々と紡がれる言葉に心を穏やかにさせます。
    十年ぶりに故郷に帰った「わたし」は、ある人の
    墓参りにいくところだった。
    小学生の頃に亡くなった幼馴染の「キイちゃん」との思い出に導かれ過去の自分や失踪した父、汚言機械の祖母、違う街に引越した母など、紡がれる
    思い出を淡々といるはずのない、「キイちゃん」と
    会話していく。 
    新人でこんな作品を描くとは、びっくりしました。情景を思い浮かべながら読めてとても良かったです。

  • 不思議で怪しげな物語でした。
    ブクログおすすめの本を図書館で。
    第61回文藝賞受賞作
    十年ぶりに、坂と崖に囲まれた故郷の田舎町をおとずれる「わたし」の物語。
    主人公の「わたし」の名前、性別が分からないので、想像しながら読みました。情報が少ないので、細かく比喩表現の入る文章を追いかけるように読み進めましたが、何故か読みやすい。100ページ余りです。
    読み始めと想像していた性別の印象は変わり、後半からは怪しげになり、どう読み解いてよいのか、、、最後も。
    読者によって捉え方が違う小説だと感じました。

  • 揺らめく一冊。

    初読み作家さん。
     
    なんとも不思議な、揺らめく鏡を眺めているような、そんな時間だった。

    坂と崖に囲まれた故郷を十年ぶりに訪れた主人公の「わたし」。

    彼女の視点で淡々とつづられていく文章は、やめ時を失うある種の吸引力がある。

    故郷という思い出の地を彷徨う傍らで彼女に語りかけてくるのは、死んだはずの幼馴染のキイちゃん。「わたし」の何が現実で、正で否かどっちつかずのような掴めない世界観。

    次第に心を占めてくる不気味さと危うさ。

    白く眠るもの。
    つまり…、やっぱり?
    揺らめく鏡がようやく静止。
    そして、ぱりんと割れた。

  • えっ!
    久しぶりの大きな予感する
    作家登場だった

    光あるのに色彩なくて
    影あるのに黒くなくて
    香りするのに花は見あたらなくて
    風は肌で感じることなく目で見た

    人物はみないたのだろうか?わたしもきぃちゃんとやらも
    ゴーストかもしれない感する

    冒頭部分がとくによかった


  • 何もかもあいまいで、死んだはずの幼なじみのキイちゃんどころか、語り手の存在すら不確かだ。
    「汚言機械と化した祖母」が怖かった…。行方不明の母は呪いから逃れられたのだろうか。

    不穏な空気、嫌な予感しかしないのに先へ進ませる文章の力がある。正直に書くと、好みではないが巧みだと思った。次はどんな作品を書くのだろう。


    主人公の「わたし」は、意図的にジェンダーを限定しないように読める書き方にしたようだ。わたしは女性だと思い込んで読んでいた。ふと、書き手はどちらなのだろうと思ったら、どうやら男性のよう。

  • 日常に潜んでいた暴力性にショックを受けたのも束の間、その暴力性は周囲にじわじわと滲んでいき、やがて輪郭を失って、全ての人に、私にも、備わったものに思えてくる。

    文章からは、光に満ちたとても美しい世界が感じられるのに、人が持つ普遍的な残酷さも溢れていて…。

    出来事も存在もすべてが曖昧で、最後にはハレーションを起こしたように白く霞んでしまう、不思議な作品でした。

  • 死んだ幼馴染とのやり取りは、無邪気さと純粋さと暴力性がゆるく混ざってて夢の中みたいな不思議な感じがした
    ホラーなのか?これは……

  • 何が本当にあったことで、何が幻想なのか。破壊者や加害者と祖母に言われ続けて育った子ども、何を考えているかわからない父親との岬の崖の場面。淡々と書かれているけれど、意識の底の方に沈んでいる穏やかでない出来事の断片に不気味さを感じた。

  • 私には難解でした…
    前々から感じてたけど、私はやっぱり分かりやすい話が好きなんだろうなと。

    主人公とキィちゃんで言ってることが違うけど、なんだかキィちゃんの方が正しい気がする
    語り手がキイちゃんに切り替わる時、いきなりすぎて怖かったなぁ…

  • 読んでてじわじわと不安が襲ってくるようなお話だった。
    終始、なにが本当で何が妄想なのかずっとフワフワした世界観だったのに、存在しているのかいないのか最後まで分からないキィちゃんの頭の骨を確認したいから故郷のお墓を全部掘り返すつもり、っていうこの気持ちだけは確固たる意志を感じてゾッとする。

    毒親育ちのようだけど、狂気性を元々持っていたような気もする。祖母は完全に毒で父親は変わり者、母親だけは少しまともだから再婚し、新しく人生を踏み出せたのかなぁと思う。

    わたし的には、やっぱりキィちゃんはいなくて、イマジナリーフレンドみたいな存在じゃないかと思う。
    でも、人に危害を加えていたのは本当で、かなりの問題児だったのも本当な気する。

    そこを自分では認めてつつも、でも否定したくて、色々と頭の中で物語を作ってるうちに何が本当か分からなくなってしまった結果、ふわふわした現実世界を生きているのではないか。

    よく分からないのが、冒頭で勤めていた職場が急に休みになってしまったのは、店主たちが犯罪を犯したから???
    それには主人公は無関係なのか???
    この設定が何を意味するのかよく分からなかった。

    この作品、村田沙耶香さん味があるけど、村田沙耶香作品よりも遥かにおぞましい世界観だと思う。
    自分の精神が安定している時に読まないと、この主人公の世界に引きずり込まれそうで怖い。

  • めっちゃ怖かった……静かで淡々とした文章がこんなに恐ろしいことあるんだ。語り手が語る思い出や行動はすごく具体的なのに、その情報が信用できなくて輪郭を持たない。何が正解なのか分からない怖さを最後まで書き切ってるのがすごかった……。

  • 「わたし」が勤める土産物屋が急遽無期限休業になり「わたし」は自身が忌み嫌っている地元へ墓参りの旅に出る、そんな中で過去を回想し思い巡らす物語りと感じました。ふわふわと精神世界を語るような文体で、私自身はそのような作品はそれほど好きではないのですが、読み進めるうち逆に好印象で読み進め読了することができました。
    星3つです。

  • 語り合う者も語られている事も最後まで曖昧で噛み合うことがない。虚実どちらも存在しない気持ち悪いこの空間は、小説だからこそ立ち上がり、魅力を放つものだと思う。おどろおどろしく書かれていないのに下手なホラーよりホラーで揺すぶられた。すごく良かった。

  • 文章の上手さが異常。
    導入部分は平易に思えるが、徐々に難解になり、後半は何がなんだかわからなくなる。

    にもかかわらず、文章の上手さから言葉は確実に読み手の脳に注ぎ込まれ、脳が強制駆動させられる感じ。

    テーマはなにか? そもそもテーマはあるのか?
    一度、読んだだけではわかりませんでした。
    読み手により景色が変わる騙し絵的な作品なのかもしれない。

    ですが、以下のあたりに作者の思いがあるように感じます。

    “子供という殻が破られて、すべてがすっかり変質し、ほとんどべつのものになることで大人になるのではなくて、子供時代というのは、琥珀のなかに閉じこめられた昆虫のように、ずっとそのままのかたちでそこにあって、その外側をべつのものが包んでいるだけなんだ”

    その、閉じ込められ忘れ去られた子供時代の記憶を徐々に引き出していくわけですが…。

    カフカの小説のように真実がグラグラ揺らぐので、論理的に理解することが困難。真偽不明のパーツから無理矢理全体像を描くような読書体験をしたい人にオススメです。

  • 初めて読んだ文藝賞受賞作品。
    静謐な空気感と精神の異常性がすごくアンバランスなんだけどそれが流れるような文章で入ってくるから、読んでてフラフラしてくる。
    まるでめちゃくちゃゆっくり進むジェットコースターに乗ってるような感じというか、今まで体験したことのない不安感を覚えた。
    普段よく読むミステリは、エンタメとして面白ければそれで良しだったけど、純文学系は読み終えても「つまりどういうこと??」ってなって感想の出力ができないのであまり読んでこなかったけどこの本は最初から最後まで面白くて読めた。
    でもなぜこの本を面白いと感じるのかさっぱりわからないから、感想を言語化して整理せざるを得ない、そんな小説だった。

  • 書き出しは、執拗なまでの自分が見えてる世界の描写。
    中盤から不穏になり、平衡感覚を失います。
    ちょっと、今村夏子の『こちらあみ子』を彷彿とさせる。いや、おまえ…、てなる、なんとも言えない感覚になります。



  • 読み始めたらとまらなかった。行きつ戻りつ反復し真実なのか虚なのかと、過去を振りかえり記憶を振りかえる。ふとベルンハルトを想起させた。柔らかい思考回路の文体が時にスリリングで鷲掴みされても静かな余白を与えられる。他の作品も読みたい。

  • 頭の中に広がる景色は白っぽく柔らかい光に終始包まれているのに、不穏さが流れ続ける小説。

    前触れなく「おれ」として語りかけてくるキイちゃんがこの作品のびっくりポイントだけど、個人的にいちばん怖かったのはバイト先の店主の無差別殺人。直前に退職金(?)渡してくるのも怖い…ネットニュースで知るのも怖い…そりゃ寝逃げするしかない。

    キイちゃんと主人公の主張は段々と食い違っていくが、キイちゃん側を信じれば、主人公は幼い頃、暴力的で、それを抑えられなかった子供であったことが分かる。(いじめを受けたり家庭も良好ではなさそうだから、色んな理由はあると思う)
    主人公自身のエピソードを読んでも、たぶんそっちが本当だったんじゃないかなと感じる。
    そもそもキイちゃんとの会話は主人公の自己内省というか、脳内会議というか。蓋をしていた記憶を掘り返す作業なのかなあ。子供時代の後悔(キイちゃんを結果的に殺した?こと)、その矛盾を正当化したい気持ちと、事実を思い出そうとする大人の自分と、自己弁護でもなんでもなく、何が真実だったのかもう分からなくなっている現在と。カオス。

    ラスト、それまで比較的穏やかな語り口(?)だった主人公が、「わたしはそれをしたい」と、衝動的だった子供時代のテンションに戻る。小説は終わるがそのあと本当に墓を掘り返しまくったんじゃないかと思わせる。不穏が爆発寸前のところでブツっと終わる。

    やっぱり文学はよく分からないや。エンタメ作品最高。しかし「楽しい」の範囲を広げていきたいので、興味を持った本はこれからも読んでいきたい!

  • 前半、回想と現実がごちゃ混ぜの描写が多く、情景が想像できなくて読むのに時間がかかった。

    ラストスパートは、ぞわぞわと不安感や気持ち悪さが這い上がってきて、読んでいて面白かった。

    なにが事実でなにが妄想なのか。
    キィちゃんはなんのために「わたし」の前に現れたのか。
    モヤモヤがいっぱいで、クセになる読了感。

  • 悪くはないんだけれど

    (小説の文章)
    納骨堂のフロアにはオルゴールの曲がごく小さく繰り返し流れていた
    →建物を出てビジネスホテルへ
    →オルゴールは客室でも流れていて、消し方がわからず、そのまま眠った(小説の文章)

    ここで現実に引き戻される あれ、オルゴール?納骨堂じゃなかった?とまた戻って確認
    やっぱり納骨堂 そしてまた同じところを読む

    →寝ても覚めても聞こえるので眠った気がしなかった
    →チェックアウト後に、頭の中でオルゴールがつづいていた の文章

    そこは別に初っ端から頭の中で鳴ってるって分かるように書いてほしかった
    特にそこまで重要でも無い文章で 戻って確認する作業 いらっとしてしまった
    オルゴールは客室でも流れていて と書かれていたら客室に流れていると認識する

    ん?と思う文章に 極たまに引っかかりイラついて読み我慢して最後まで読んだ
    そのわりに…という印象

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