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Amazon.co.jp ・本 (112ページ) / ISBN・EAN: 9784309039381
作品紹介・あらすじ
【第61回文藝賞受賞作】
パラノイアックな人物の視点を描ききる勇気と高度な文章技術。新人離れした作品である。 ――小川哲
誰が存在したかも、語り手の性別すらも明示されないあいまいさ。たしかなことが何ひとつないからこそ、この小説は強いのだ。――角田光代
尋常の景色、おそらくは平穏で退屈な田舎の景色をそのまま描いて異常の景色となす不思議の筆力。美事だった。――町田康
特別な文体と出会う喜びを覚え、言葉自体に強烈に惹きつけられた。この作品が宿しているものの大きさに、ただただ圧倒された。――村田沙耶香
十年ぶりに、坂と崖に囲まれた故郷の田舎町をおとずれた「わたし」。
墓地へと続く道を進むと、死んだはずの幼馴染「キイちゃん」の声が語りかけてくる。
行方不明の母、蒙昧な神のごとき父、汚言機械と化した祖母……
不確かな記憶が流れ込み、平凡な田舎に呪われた異界が立ち上がる。
圧倒的異才が放つ、衝撃のデビュー作!
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
静かに淡々と語られる物語は、故郷の田舎町を十年ぶりに訪れた「わたし」の視点を通じて、不確かな記憶や不思議な出来事を描き出します。幼馴染の「キイちゃん」との会話を通じて、失踪した母や祖母との関係が浮かび...
感想・レビュー・書評
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静かに淡々と紡がれる言葉に心を穏やかにさせます。
十年ぶりに故郷に帰った「わたし」は、ある人の
墓参りにいくところだった。
小学生の頃に亡くなった幼馴染の「キイちゃん」との思い出に導かれ過去の自分や失踪した父、汚言機械の祖母、違う街に引越した母など、紡がれる
思い出を淡々といるはずのない、「キイちゃん」と
会話していく。
新人でこんな作品を描くとは、びっくりしました。情景を思い浮かべながら読めてとても良かったです。
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不思議で怪しげな物語でした。
ブクログおすすめの本を図書館で。
第61回文藝賞受賞作
十年ぶりに、坂と崖に囲まれた故郷の田舎町をおとずれる「わたし」の物語。
主人公の「わたし」の名前、性別が分からないので、想像しながら読みました。情報が少ないので、細かく比喩表現の入る文章を追いかけるように読み進めましたが、何故か読みやすい。100ページ余りです。
読み始めと想像していた性別の印象は変わり、後半からは怪しげになり、どう読み解いてよいのか、、、最後も。
読者によって捉え方が違う小説だと感じました。
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揺らめく一冊。
初読み作家さん。
なんとも不思議な、揺らめく鏡を眺めているような、そんな時間だった。
坂と崖に囲まれた故郷を十年ぶりに訪れた主人公の「わたし」。
彼女の視点で淡々とつづられていく文章は、やめ時を失うある種の吸引力がある。
故郷という思い出の地を彷徨う傍らで彼女に語りかけてくるのは、死んだはずの幼馴染のキイちゃん。「わたし」の何が現実で、正で否かどっちつかずのような掴めない世界観。
次第に心を占めてくる不気味さと危うさ。
白く眠るもの。
つまり…、やっぱり?
揺らめく鏡がようやく静止。
そして、ぱりんと割れた。 -
えっ!
久しぶりの大きな予感する
作家登場だった
光あるのに色彩なくて
影あるのに黒くなくて
香りするのに花は見あたらなくて
風は肌で感じることなく目で見た
人物はみないたのだろうか?わたしもきぃちゃんとやらも
ゴーストかもしれない感する
冒頭部分がとくによかった
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日常に潜んでいた暴力性にショックを受けたのも束の間、その暴力性は周囲にじわじわと滲んでいき、やがて輪郭を失って、全ての人に、私にも、備わったものに思えてくる。
文章からは、光に満ちたとても美しい世界が感じられるのに、人が持つ普遍的な残酷さも溢れていて…。
出来事も存在もすべてが曖昧で、最後にはハレーションを起こしたように白く霞んでしまう、不思議な作品でした。 -
死んだ幼馴染とのやり取りは、無邪気さと純粋さと暴力性がゆるく混ざってて夢の中みたいな不思議な感じがした
ホラーなのか?これは…… -
何が本当にあったことで、何が幻想なのか。破壊者や加害者と祖母に言われ続けて育った子ども、何を考えているかわからない父親との岬の崖の場面。淡々と書かれているけれど、意識の底の方に沈んでいる穏やかでない出来事の断片に不気味さを感じた。
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私には難解でした…
前々から感じてたけど、私はやっぱり分かりやすい話が好きなんだろうなと。
主人公とキィちゃんで言ってることが違うけど、なんだかキィちゃんの方が正しい気がする
語り手がキイちゃんに切り替わる時、いきなりすぎて怖かったなぁ… -
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めっちゃ怖かった……静かで淡々とした文章がこんなに恐ろしいことあるんだ。語り手が語る思い出や行動はすごく具体的なのに、その情報が信用できなくて輪郭を持たない。何が正解なのか分からない怖さを最後まで書き切ってるのがすごかった……。
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「わたし」が勤める土産物屋が急遽無期限休業になり「わたし」は自身が忌み嫌っている地元へ墓参りの旅に出る、そんな中で過去を回想し思い巡らす物語りと感じました。ふわふわと精神世界を語るような文体で、私自身はそのような作品はそれほど好きではないのですが、読み進めるうち逆に好印象で読み進め読了することができました。
星3つです。 -
語り合う者も語られている事も最後まで曖昧で噛み合うことがない。虚実どちらも存在しない気持ち悪いこの空間は、小説だからこそ立ち上がり、魅力を放つものだと思う。おどろおどろしく書かれていないのに下手なホラーよりホラーで揺すぶられた。すごく良かった。
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書き出しは、執拗なまでの自分が見えてる世界の描写。
中盤から不穏になり、平衡感覚を失います。
ちょっと、今村夏子の『こちらあみ子』を彷彿とさせる。いや、おまえ…、てなる、なんとも言えない感覚になります。
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読み始めたらとまらなかった。行きつ戻りつ反復し真実なのか虚なのかと、過去を振りかえり記憶を振りかえる。ふとベルンハルトを想起させた。柔らかい思考回路の文体が時にスリリングで鷲掴みされても静かな余白を与えられる。他の作品も読みたい。 -
前半、回想と現実がごちゃ混ぜの描写が多く、情景が想像できなくて読むのに時間がかかった。
ラストスパートは、ぞわぞわと不安感や気持ち悪さが這い上がってきて、読んでいて面白かった。
なにが事実でなにが妄想なのか。
キィちゃんはなんのために「わたし」の前に現れたのか。
モヤモヤがいっぱいで、クセになる読了感。
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