終わらざりし物語 上

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309203966

作品紹介・あらすじ

エアレンディルの父であり、アラゴルンへと続くヌーメノール王家の祖である、トゥオルのエルフの隠れ王国へといたる、苦難と不思議の旅路。冥王モルゴスの憎しみを一身に受けた不屈なるフーリンと、その子、竜退治のトゥーリン・トゥランバールに降りかかった過酷な運命。中つ国のギル=ガラドと親交を結び、サウロンの危機に対処し港を創建した、ヌーメノールの王とその妻の物語。魔法の森ローリエンの奥方ガラドリエルとケレボルンをめぐるいくつもの伝説。

感想・レビュー・書評

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  • シルマリルの物語を読み終えて、さて指輪物語に進もうかと思っていたときにたまたま、終わらざりし物語を発見。こちらから読むこととした。

    『シルマリルの物語』...
    その感動から覚めやらぬ内にこの本を手に取る。
    クリストファートールキンがシルマリルの物語を刊行するに当たって採用されなかったトールキンの原稿、覚書、メモの類からファンにとって重要と考えたものを修正しないで集めた本。
    全体が一つの物語ではなく、資料としての位置づけとしてあるが、一つ一つの話はどれも面白く、中つ国の物語を書く上でトールキンがたどった考え方が良くわかる。
    シルマリルの物語と同様に印象に残ったものを記す。

    トォルおよびかれがゴンドリンを訪れたこと
    解説によるとこの話の元となった物語(ゴンドリンの陥落)が、トールキンの他の全ての物語の中で最初に書かれたものであるらしい。この話自体は「ゴンドリンの陥落」をベースに書き溜めていた「シルマリルの物語」の内容に合うように書き直されていたもので、残念ながら話の途中で放棄された状態になっていた。

    残された原稿はトゥオルがゴンドリンに入城する所で終わっているが、トゥオルが水の神ウルモに出会いその意思を受け継ぐ場面が素晴らしい出来栄えです。また、ゴンドリンに入城する場面での七つの門を通過する話は、いかにもこのような話における形式が整っており気分が盛り上がって...(突然終わってしまう)。

    ナルン・イ・ヒーン・フーリン(フーリンの子らの物語)
    「シルマリルの物語」に採用されたトゥーリン・トゥラムバアルの伝説の原典とされる物語。シルマリル中で最も気に入っている話の不満だった所を解消してくれる。補遺も含めて百四十頁になろうという長編で、特にシルマリルの物語では不十分であった、トゥーリンの内面の世界が浮き彫りにされている。この話だけでも読む価値あり。

    ガラドリエルとケレボルンの歴史
    シルマリル中では存在感のあまりなかったガラドリエルであるが、この章を読むとトールキンがガラドリエルに中つ国の歴史全体にわたって重要な位置づけを与えようと苦心した後がうかがえる。
    ケレボルンの血筋とガラドリエルがヴァリノオルを離れ、最後まで中つ国に留まった理由が全部で四通りの相異なる話として残されている。
    それらの話で大きく異なっているのは主に
    ガラドリエルは何故中つ国に渡ったのか
    ガラドリエルが中つ国に渡った方法
    ガラドリエルは何故最後まで中つ国に留まったのか
    の3点です。

  • 請求記号:933.7||To 47||1
    資料ID:W0187516

  • トールキンの著作というよりは、彼の残した未完の断片や覚え書きを息子のクリストファが編纂した資料集。

  • トールキンの中つ国関連作品の中で未完の短篇・中篇を集めた遺稿集。上巻に収められるのは第一紀・第二紀に関する作品群。

    「トゥオルおよびかれがゴンドリンを訪れたこと」「ナルン・イ・ヒーン・フーリン」は『シルマリルの物語』でかいつまんで語られた挿話の詳細版とも別版ともいうべきもの。小説の形を取っているのはこれらと「アルダリオンとエレンディス」で、あとの「ヌーメノールの島について」「エルロスの家系 ヌーメノールの諸王」「ガラドリエルとケレボルンの歴史」は小論やメモ書きをまとめたものである。

    「トゥオル…」と「…フーリン」は、『シルマリルの物語』の記述と比較すると未完に終わった理由が何となく窺える。文体や表現の手法がだいぶ違う。作家はいろいろと模索していたのではないか。「…フーリン」は物語としては完結していて筋立てが見事なので十分楽しめるが、どう語るかについては試行錯誤の段階だったのだろう。「トゥオル…」はここからが知りたいのに!というところで途切れてしまうのだが、ゴンドリンの描写などたいへん興味深い。

    「アルダリオン…」は男女のすれ違いを描いたトールキンとしては異色の作品で、ぜひ完成形を目にしたかったところ。盛期ヌーメノールの様相が知れるのもうれしい。個人的に大好きな一篇。

    小論群は熱心なファンでないと難渋するだろう。わたしも何度読んでも頭に入り切らない。『シルマリルの物語』ではまだ感嘆する余裕もあったけれど、ここから先はもう岩山を必死でよじ登っていくのみ。トールキンの世界は知れば知るほどもっと勉強しなくてはいけないことが増える。下巻もがんばろう。

  • 面白い

  • 感動的で美しい叙事詩的物語集。
    指輪物語やホビットの時代と、神話であるシルマリルの時代をつなぐ、断片的な物語を集めたものです。

    ですので、指輪物語のように長大な1本のストーリーではなく、短めのストーリーの集まりです。
    また、シルマリルほど神話的で抽象的ではないので、比較的読みやすいかと。

    指輪物語やホビット、シルマリルを読んでおいた方が、より楽しめるとは思いますが。

    指輪物語が好きなら、ぜひ読んでみてください。

  • シルマリルが図書館になかったのでとばしてこっちから。

    クリストファー氏は本当にすごいと思う
    序文にあった以上の苦労があっただろうにね!
    矛盾点もそうだけど、細かい年号の違いなんかもちゃんと注と考察がつけてあって感動した

    シルマリル読んでないからアレなんだけど、
    女性の立場、みたいなことについてよく書いてるよね
    女だからそう感じるのかな
    なんというかやっぱり、さすがイギリス。
    指輪だと上代の人物はみんな清廉な感じがしてたけど、むしろ指輪より生々しかったのはびっくり
    シルマリルはこういうのばっかなんだろうな
    読みたいなあ

  • 「指輪物語」も「シルマリルの物語」も読了の方向け。
    はっきり言うと、オタク向け。
    そしてオタク大満足。
    表紙のグラウルングの足が可愛い。

  • 指輪物語にすっかりのめり込んで、読みきって心のやり場が無いと思ってしまうくらいの人向け。
    指輪物語の世界を教えてくれる。

    因みに風音は指輪中毒なので、これにものめり込みました。

  • 上下。

    いつか手元に欲しいです。

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