ヴォイス (西のはての年代記 2)

制作 : 谷垣 暁美 
  • 河出書房新社
4.29
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本棚登録 : 188
レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309204789

感想・レビュー・書評

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  •  「西のはての年代記」最高の作品だと思います。静かに進む物語の雰囲気、アンサルの町ももちろんですが、誇りを保ちつつも相手を受け入れる力を持つ二人、道の長とイオラスが好きです。
     自分がわからないものを恐れたり憎んだりするのではなく、まずは知ろうとすること。その手助けとなるのが、言葉や本の役割なのだ、と思わせてくれる一冊です。

  • 深い物語だ。テーマは自由と暴力なのだろう。
    他民族の占領下にある国における独立運動の機運が高まっている中で、
    占領者に対する憎しみと自由への欲求とともに、平和主義がいかにあるべきかを考えさせられる。占領者たちもその全てが憎むべき存在というわけでもなく、中には開明的な穏健派も含まれ、味方の中にも過激な好戦論者がいる。
    ルグインはこうしたマクロな問題を、主人公のまわりの人間関係に上手に置き換え、リアルな物語世界を構築している。全盛期の彼女の作品群に勝るとも劣らぬできばえだ。

  • 本、言語が伝えていくものはいずれ古めいてくるが、上書きはされない。

    受け継がれていくって、大事なことだと思った。物語にしたって音楽にしたって。思想だって、そう。

    どこを向いて生きていかなきゃならないかは、人それぞれ。
    目を閉ざす時期があってもいい。

    オレックとグライが落ち着いて力強い大人になっていて、いいなぁ。
    やっぱり色々な経験が人間を深くしてくんだな。

  •  第1部よりも起伏に富んだストーリー。文字とか言葉とか本とか、国による歴史や文化の背景がしっかりしてる話が好きだなー。

     第1部のふたりが素敵に成長していてよかった。

  • ここにレビューを書きました。

    http://blog.goo.ne.jp/luar_28/e/cdd34354af16010e774fd266e12db66f

  •  「西のはての年代記」の第2作。作者が80歳近くにして紡ぎあげた新たな作品世界の豊かさは、「ゲド戦記」シリーズを超えていると思う。年齢を重ねて枯れることなく、ますます瑞々しい作者の言葉の力には敬服する。

     図書館で名高かった都市国家アンサルは、他国の侵略により、本を読むこと、文字を使うことを禁じられる。
     焚書から逃れた書物を密かに守り続けるアンサルの長、秘密の部屋で彼から文字を習う主人公の少女メマー、アンサルを訪れた当代随一の詩人オレック。メマーにとって父とも師ともいえる2人との交流は、アンサルの運命を動かし、やがて独立闘争へとつながる。
     全編を通して、言葉を読み、話すことの素晴らしさ、その巨大な力を教えられる思いがする。

     「男は女と比べると、人間を生身の肉体をもつ命としてではなく、数として――頭の中の戦場で思いのままに動かす、頭の中のおもちゃとして――とらえがちなのではないだろうか。この非肉体化によって、男たちは快感を感じ、興奮し、行動したいから行動することをためらわなくなる。人間を数として、ゲームの駒のように操縦することを何とも思わなくなる。その場合、愛国心とか名誉とか自由とかいうのは、神に対して、そしてゲームの中で苦しみ、殺し、死ぬ人々に対して言い訳をするために、その快感に与える美名に過ぎない。こうして、そういう言葉――愛、名誉、自由――は、ほんとうの意味を失い、価値が下落する。すると人々はそれらの言葉を無意味だと見下すようになり、詩人たちは、それらの言葉に真実の意味を取り返してやるため、奮闘しなくてはならない」

  • ゲドシリーズよりも判りやすい(とっつき易い)かもしれない。
    一冊目を読んでいなくても楽しめる。
    自分の好みでは1ギフトよりもこちらが、更に面白かった。

  • 一つの都市が自由を取り戻し、1人の少女が伝えられてきた力(?)を受け取るおはなし。そしてその始まりにグライとオレックの登場があることが嬉しい。1巻では少年少女だった彼らが大人となりとても魅力的な人物として描かれている。メマーと同じく私も彼らが大好きだ。互いに想いあって生きてきただろう時間の話もいつか読んでみたい。本を通して伝えられるもの。歴史、物語、知恵、そしてなにものかの声。色々なところに神がいる、という考え方は好き。八百万の国、日本、ということだし。つまりそれはあらゆるものに尊敬の念をもって生きるということだろう。そーゆー意味で道の長やメマーの在り方はとても素敵。そしてそのなにものかに、畏れを抱きながらも利用されたくはない、自分の言葉で話したい、と思うメマーの強さに憧れる。最終的には自分の頭で考え判断する、その力が必要。それは人にも、そして国にもいえることなのだろう。

  • このシリーズ大好き♪

  • 3部作の2つ目。理解と文化と人間の知識についてのお話。書物のえがかれ方が好き。

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著者プロフィール

アーシュラ・クローバー・ル=グウィン(Ursula K. Le Guin)
1929年10月21日-2018年1月22日
ル・グィン、ル=グインとも表記される。1929年、アメリカのカリフォルニア州バークレー生まれ。1958年頃から著作活動を始め、1962年短編「四月は巴里」で作家としてデビュー。1969年の長編『闇の左手』でヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。1974年『所有せざる人々』でもヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。通算で、ヒューゴー賞は5度、ネビュラ賞は6度受賞している。またローカス賞も19回受賞。ほか、ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞、ニューベリー・オナー・ブック賞、全米図書賞児童文学部門、Lewis Carroll Shelf Awardフェニックス賞・オナー賞、世界幻想文学大賞なども受賞。
代表作『ゲド戦記』シリーズは、スタジオジブリによって日本で映画化された。
(2018年5月10日最終更新)

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