- 本 ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309205410
感想・レビュー・書評
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「肩胛骨は翼のなごり」が有名なデイヴィッド・アーモンド。
子どもの心の柔らかさを信じているような…
これも似たテイストもありつつ、よりリアルで陰影が濃く、きらきらと印象に残る~他にない物語です。
孤児院ホワイトゲートから脱走した3人の子ども。
それぞれに生い立ちは違いますが~傷のある子どもを育て上げようという教育を押しつけられる立場に、やりきれなさを感じていました。
孤児院の院長モーリーンの、悪気はないけど、ちょっとずれている人間像も~実に存在感あります。
エリン・ローには、男の子の友達が二人います。
威勢が良いジャニュアリー・カー。
ネズミが友達で、ちょっと気が弱いマウス・ガレイン。
ジャニュアリーがひそかに作り上げていた筏に乗って出発!
川を下る冒険が始まります。
途中までは良かったんですが…
ブラック・ミドゥンという泥沼に行き着き、座礁してしまいます。
ヘヴンアイズと名乗る変わった女の子が登場。
皆をお姉ちゃん、お兄ちゃんと呼び、助けようとします。
ヘヴンアイズは無邪気できれいな少女だが手足の指の間に水かきがあり、言葉づかいも変わっている。
グランパに、この泥の中から掘り出されたのだという。
グランパは老人で、このあたりの建物の管理人だという。
今はほとんど廃墟と化した倉庫で、隠れ住むようにして暮らしているらしい。
たまに遠くに見える人影を「幽霊」と呼ぶ彼ら。
エリンはヘヴンアイズに懐かれ、去りがたく思い始めます。
ジャニュアリーは苛立ち、出て行く準備をします。
グランパはいつもノートに何が起きたか書き続けていますが、時々様子がおかしくなる。
彼らの話はどこまで本当なのか?探ろうとするジャニュアリー。
不思議な暮らしが追いつめられていくとき、さらに起きる小さな奇跡。
それは…
切なく、心が洗われるようです。
現実に戻るエリンは、少し成長しているのかな。
2000年の作品。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昨年のTop10にも入れた『肩胛骨は翼のなごり』のデイヴィッド・アーモンドの作品です。
読みながら、いしいしんじさんの『ポーの話』を思い浮かべていました。もっとも『ポーの話』を読んだのは10年前で、すっかりあらすじは忘れています。ただ、どちらも主人公は水掻きをもった子供(この本では主人公の碧眼色白の少女、『ポーの話』では肌の黒い少年)であり、同じように泥の川を舞台にしています。何より、物語全体を覆う薄暗い雰囲気とか、その中に光る優しさが共通しているように思えます。
廃墟と化した印刷工場に外界を遮断して住む老人と少女、お菓子の箱がいっぱいある倉庫、自由をを求めイカダで孤児院を脱走した少年少女。良い雰囲気なのですがね、最後の落としどころで無理やり話をくっつけたような唐突感が少々残念でした。 -
姉と弟?ひたすら川下った記憶しかない
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不思議な物語でした。あ、新装版なのね。
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