遠い町から来た話

  • 河出書房新社
4.18
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本棚登録 : 1253
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  • Amazon.co.jp ・本 (89ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309205779

作品紹介・あらすじ

町のはずれに住んでいた水牛のこと、覚えている?誰にも愛されなかった物からペットを手作りすることや結婚までのとても危険な道のりの話、それから異次元からのちっちゃな交換留学生のこと-。

感想・レビュー・書評

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  • 文字の無い絵本『アライバル』の著者による、独特な人生観・世界観で溢れる絵本の短編集です。
    以前ご紹介した『エリック』も収録されています。
    不可思議な雰囲気はそのままに、十代から大人向けと思える暗い内容のお話も少々盛り込まれています。
    著者の内面が正直に表現されている一冊なのでしょうか。

  • その町はどこにでもありそうで、どこにもない町。
    懐かしいようで全く知らない町。
    15の絵本短編集。
    中でも『水牛』『エリック』『お祖父さんのお話』『備えあれば』が良かった。

    人が相談に来るとのっそり起き上がり、左のひづめでその人が行くべき方角を指し示す、という水牛。
    水牛のなんとも言えない愛くるしい表情にほっこりする。
    私にもこれから行くべき方角を教えてほしい。

    異次元からやって来た、小さな交換留学生エリック。
    こんな可愛らしい留学生ならずっと居てもらいたいくらい。
    台所の食器棚がお気に入り、という小さな愛すべきエリックは行動も生態も謎だらけ。
    けれどいつの間にか家族の心をとらえて離さない愛くるしさは、きっと「お国柄」のせいに違いない。

    『遠くに降る雨』の、手書き文字に参加された道尾秀介さんの文字は、この達筆な文字かしら?知りたい!

  • どの話も、どこか懐かしくて、温かくて、ちょっと哀しくて。絵を眺めているだけでも、いい。
    不思議な世界感なんだけど、それを当たり前に受け入れられる感じは、あ、村上春樹だ。
    これは手元に置いておきたい本だなぁ。

  • 大人の絵本 イラストがとても丁寧で、細かいところにもこだわりがあるので、見るたびに発見がある

    表表紙と裏表紙の内側にびっしり描かれたヨシタケシンスケ風の落書きのようなイラストが楽しい おまけのようで得した気分!

    短編集の中での私のお気に入りは、「 エリック 」と「 備えあれば 」「水牛」等々

    異次元からのちっちゃな留学生「エリック」
    この国の面白いことを教えてあげるんだ とはりきるぼく
    ある朝、突然行ってしまったエリックが残していったものは??
    次のページを開いて、びっくり!

    「 備えあれば 」
    一家に一基、大陸間弾道ミサイルが配備されるご時世、政府から通知があり、トラックでミサイルが次々と、届けられるというなんともブラックな話
    でも、人々はそのミサイルをいろんな物に変え、楽しむ
    今の危うい社会を反映しながらも、それを逆手にとった市民のたくましさを感じさせる痛快な話
    街中に煙突のようにカラフルなミサイルが突っ立っているイラストは、なんともシュールだけど、美しい

  • 文字のない絵本『アライバル』の絵本作家ショ-ン・タンが、〝幻想という名のおもちゃ箱〟をひっくり返したような不可思議な世界を語った『遠い町から来た話』の なんと饒舌なことか。 表紙のイラストは、15篇あるエピソ-ドのひとつ「壊れたおもちゃ」に登場してくる。 19世紀オーストラリア西海岸に現れた真珠採りの日本人潜水夫が背景にいた、いうことが翻訳者のあとがきから判るという具合で、作者の物語る異次元の世界に翻弄され続けた広大無限の物語。

  • ショーン•タン作品初体験。読んでると不思議な気分になる。
    『水牛』、『壊れたおもちゃ』(表紙の絵)、『ぼくらの探検旅行』の三篇が印象深い。
    どうやって作品の構想を得るのか、まったく想像が付かない。。

  • あるようでないような、ぎょっとしてニヤリとするそんな、イラストとお話と。
    水牛
    エリック
    壊れたおもちゃ
    遠くに降る雨
    底を流れるもの
    お祖父さんのお話
    他にはない国
    棒人間たち
    名前のない祝日
    記憶喪失装置
    備えあれば
    ウェイク(葬送)
    ペットを手作りしてみよう!
    ぼくらの探検旅行
    カメ救出作戦の夜
    読書会一同

    ホンワカした絵、緻密な鉛筆画、アニメのような生き物、迫力ある線画、ページを開くとまた違う世界が広がる。
    エリックのしっとりほっこりさ、壊れたおもちゃのじんわりとくる余韻、お祖父さんの話すダイナミックな冒険譚、棒人間の薄暗さ、ぼくらの探検旅行の懐かしい感じ。
    あまりにも詰め込み過ぎて、一息つきたくなる。
    ショーン・タンがみっちり詰まった一冊。
    じんわりと暗い話が苦手だったけど、この一冊はそれだけでなくて、ニヤリが多かった。
    表紙裏も中表紙の絵まで、好きなところだらけ!

    そんで、なんとショーン・タン展がやってきた。
    縁がありすぎて、また初めから読み直す。

  • 何なのでしょうか、この本の読後感は?
    怒りも喜びも悲しみも湧いてこない。ただただ唖然。
    しばらくの時間ページを何度もめくり直して「何を伝えたいの?」と考えてみたがさっぱりわからない。

    それじゃあ「何を感じたか?」と自問してみた。
    この本では絵として描かれている異形のものや奇抜な世界が、(目には見えないが)現実社会に潜んでいるということ。

    切手の目次はとても気に入ったし、好きな感じの絵も沢山あった。
    ただ、絵からメッセージを読み取る能力が乏しいので、原田マハさんの解説を聞いてみたい。

  • 不思議なお話が詰まっている絵本。短編集。

    ひとつひとつの作風がお話の内容に合わせるかたちで異なっているのが見どころの一つ。

    作者の絵を描く技術の高さが高いからこそできることなんだろうなと思いました。

    お話はどれも不思議な非日常感がありますが、実は日常の中にあって普段は何もなかったかのように蓋をしているような事柄が引っ張り出されて出てきたようなお話が多いように感じました。

    読んだのは日本語に訳されたものですが、作中の言葉も作品の一部になっているものが多いので、訳者も大変な作業だったと思います。私には違和感なく、作品として観ることが出来ました。

  • とりとめのない、おもちゃ箱をひっくり返したような構成がとても楽しい。それもそのはず、これはショーン・タンがスケッチブックに書きとめた何気ないいたずら書きから生み出された物語なのだ。


    「お祖父さんのお話」は、昔の婚礼はひどく面倒だった。婚礼前に二人でいくつもの試練を乗り越えながら、リストのものを全部見つけなければならない。

    「壊れたおもちゃ」はちょっとしんみり。訳者あとがきを読んで理解した。19世紀オーストラリアの真珠産業を支えた大勢の日本人潜水夫たちの悲話が元になっている。

    かと思うと「地区ボランティア会だより」なんてのに、「ペットを手作りしてみよう!」という特集もある。原料は粗大ゴミ。鉛酸バッテリー、放射性廃棄物は不可なんて注意書きも。

    一番かわいくて心に残ったのは「エリック」。
    エリックはとてもちっちゃな交換留学生。ぼくたちはあれこれエリックのためにもてなしをしたが彼が喜んでいるのかさっぱり分からない。突然去った彼が残したものは…。

    イラストもストーリーも全部好き。
    ショーン・タンの父がマレー系というのもあるのか分からないが、絵のどこかしらに親近感を覚えるのは、アジア的なニュアンスを感じとっているからかも。

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著者プロフィール

1974 年オーストラリア生まれ。幼いころから絵を描くことが得意で、学生時代にはSF 雑誌で活躍。西オーストラリア大学では美術と英文学を修める。オーストラリア児童図書賞など数々の賞を受賞。2006 年に刊行した『アライバル』は世界中で翻訳出版されている。イラストレーター、絵本作家として活躍する一方、舞台監督、映画のコンセプトアーティストとしての活躍の場を拡げている。9年の歳月をかけて映画化した『ロスト・シング』で2010 年に第83回アカデミー賞短編アニメ賞を受賞。2011年にはアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞。2019年には日本で初めての展覧会を開催。現在メルボルン在住。

「2020年 『ショーン・タン カレンダー 2021』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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