英国メイド マーガレットの回想

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 189
レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309205823

作品紹介・あらすじ

1920年代、英国。華やかな上流社会の陰に隠された家事使用人の暮らしぶりを赤裸々に、詳細に、ユーモアを交えて元メイドが語り尽くした、真実の記録。

感想・レビュー・書評

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  •  読んで良かった。不思議な読書だった。英国だから。約100年前の話だから。
     関係ないと思う。気付かされたことは、私は学業を修める機会を無碍に剥奪
     されることなく、きちんと修められたこと。を忘れかけていること。当の世に
     いたら、あなた、戦えましたか。戦いましたか。戦えなかったと思いますよ。
     だから、苦しかった日々も、甘受すべきなのに、不埒な態度。良くなかった。
     なぜ、今この時代にこの書を日本で出版したのか、という疑問を持っていた。
     多分、私に読ませるためだったのだと思う。そうでしょう。そうでしょうとも。

  • 今から80年ほど前。
    まだ栄華の余韻残る英国でキッチンメイドからコックにのし上がった女性の回顧録。

    英国を舞台にしたミステリで見知っている当時のメイドの生活を、当人の筆により側面から補完してもらった感じ。
    惜しむらくは階下の人々の労働環境がどの様な社会状況で変化して行ったのかが分からないところ。
    まぁ、これは社会学的な本じゃないので仕方ないけど。
    何気に、上に立つ人間の心得が描かれてるんだよなぁ。
    サクサク読めてl面白かった。

  • 生活史に興味があって読んだが、
    格差社会においての弱者として生まれた人の証言、という意味で、ごくごく現代的な著述だった。
    どんな時代であれ、どんな社会であれ、「そういうものだからと見下される」ことを、当然のこととして受け入れるようには人間は創られていないという、あたりまえのようで、わかっていないこと。
    人と接するとき、常に、誰にでも、対等に、敬意を払って接することの重要性を考えさせられた。

    人はパンが無ければ死んでしまう。
    けれども、パンだけでいいようにはできていない。

    とはいえ、カタイこと抜きにしても、鉄火肌の姐さんの一代記は痛快で、おもしろい読み物だった。

  • 表紙の安っぽさに比べて中は比較的まとも、と思ったら、読み進めるうちに雇い主たちを基本的に憎む語り手の態度に愕然とした。こんな恐ろしい使用人なしで暮らせない雇い主たち、つくづく気の毒だ。
    ちょうどダウントンアビーの時代なのでその点も期待して読み始めたのだが、主人公の感覚や価値観が意外なほどに現代人に近かった点は逆にやや期待はずれ。
    まあ、この語り手が分別ある年齢になってからの回想録なので、後年の価値観が反映されているのかもしれないが。

  • 1907年生まれで、15歳から24歳までイギリスでキッチンメイドとして働いた女性の自伝。もとは1968年に出版されたもの。日本なら明治40年生、大正11年から昭和6年まで働いた、というイメージか。
    強烈な階級社会で、主人と使用人の属する世界はまったく違う。待遇の良し悪しだけでなく、主人に素手でものを渡したら咎められた(p85)、本を読むことを驚かれた(p189)といったエピソードから、階級が異なる人は人ではないという感覚が当然のものとして根付いていたことが分かる。
    扱う時代は「日の名残り」[ https://booklog.jp/item/1/4151200037 ]で描かれる世界に近い。本書にも執事が登場。「使われる側の人格が使う人の中に完全に取り込まれてしまえば、主人たちは使用人の最大限の力を引き出せる(p106)」と評される他家の執事や、室内にいるにも関わらず主人たちの意識の中では存在しないものとされたというエピソード(p211)を誇らしげに語る執事。後者の執事は著者に愛情を求めていたのかもしれないというコメントは、まさに「日の名残り」のネガのよう。
    著者は執事たちのように職業に最適化されず、人として扱ってもらえない待遇への違和感を持ち続ける。コックとして腕を上げていっても、職業そのものに誇りは持たず、結婚して辞めることを目標としている。かといって結婚や夫に過剰な思い入れもない。自分というものを持った視点。
    著者がキッチンメイドということで、料理の話がしばしば登場(p70-76等)。魚はビーチから生きたまま配達、狩猟でしとめた野鳥は熟成させて捌く。冷蔵庫のない時代だから「手に入る食べ物は何でも新鮮で、味が濃かったのだ(p111)」。調理も手作業で、マヨネーズやポテトチップスはその都度手作り。ものすごく美味しそうだ。一方で、家事専門のスタッフを抱えなければ成り立たない生活ではある。
    表紙絵は森薫。実にぴったり。

  • 20世紀に英国でコックとして上流階級の家庭にメイドとして働いた著者の回想の書。
    労働者階級に生まれたマーガレットは、14歳で洗濯屋で働き始めるが、すぐにくびになり、実家近くの家のキッチンメイドとして働き始める。家の主人一家に食事をサーブするようなことはとてもできないと考えたマーガレットは、主人たちの前に出なくても良いコックを選んだのだ。
    キッチンメイドとはいえ、使用人の中でも一番の下働き。台所の掃除から靴磨きなど、様々だった。
    マーガレットは、周りの様子をよく理解し、雇い主を変えるたびにステップアップしていく。雇い主も、ピンキリで、使用人を自分たちと違う人種として扱う人もいれば、家族の一員のように扱う人もいる。様々な家族の元で働き、結婚を機に仕事を辞めるが、子どもの成長とともに、またコックとして働き、苦労して男の子3人を育て上げた後、自分も勉強をし、作家として名声を得るまでになる。

    なんといっても、英国の階級制度の深さに改めて感じ入った。イシグロの「日の名残り」の執事(ジーヴスも好きだけど)、メリーポピンズなどに代表されるナニーなど、家族に信頼される使用人が良き時代の職層として描かれているが、使用人の中にさえ上下関係があることは、英国の階級制度はすごいのだと思った。
    マーガレットは、淡々と、しかし結構辛口で雇い主たちや、自分の仲間たちを書いているところが好印象なのだろう。戦前の日本にも、近いものがあったのかなあ?

  • ジョージ5世治世下、1920年代のコックの話

  • 15世紀に実在したメイドの回想記です。
    漫画「エマ」の影響でいわゆるメイド喫茶とは違う本物?のメイドに興味があり読んでみました。

    さすがに事細かくしかしユーモアたっぷりに書かれていて面白かったです。
    それに漫画やアニメ、映画と違い思っていることや考えていること、その人が好きな物事がわかるのがいい。

    またこの本でもメイドの重労働さと拘束時間の長さも訴えられています。
    隔週1日しか休みが与えられないなんて信じられない!

    著者は裁縫ができないという理由でキッチンメイドになりコックになります。
    「料理はそれがわかる人がいてこそなりたつ」という言葉にドキッとしました。
    どんな技術を使って工夫して綺麗に盛り付けてもそれが伝わらないと意味がない。
    私もそれができてわかる人になりたいな。

    食材の新鮮さ、美味しさにも言及していました。
    当時は冷蔵庫なんてなかったから必要な分だけそれぞれの店から買って当日か近日中に消費していたようです。

    外側だけだととても素敵で優美に思えるけれどキツくて精神的にも自由が許されないしんどい仕事なんだな、とわかります。

  • 自叙伝。ノンフィクションだがファンタジーを読んでいるかのような時代。

  • 日本でも大人気のメイド。「華奢でかわいらしい」というイメージが強いが、実際のメイドは体力・実力勝負のとっても過酷な世界だった!?メイドが身近にいた1920年代の英国で、15歳からメイドとして働き始めたマーガレットの奮闘記!!

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