- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309205878
感想・レビュー・書評
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犬が人間になる。それも人間が下品と思う部分を多分に持ち合わせている人格に。この手の小説は苦手だけれど、物語として面白い。最後の締めくくりも予想外で最後までハラハラした。
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ロシア革命、ボリシェビキ政権を痛烈に批判したとのこと。旧体制下のブルジョアを排除し、新しい人間として生きることを推奨。物語は犬に死んだ人間の脳下垂体を移植する。そもそも生き延びるかわからない手術であった。次第に犬は喋り出すが、元来の人間の粗野な部分が反映される。犬の肉体を持つから粗野ではなく、人間の持つ思考が粗野だったという。著者はわざわざ皆の前で朗読したらしく、原稿は没収。犬は犬に戻されたが、それが作者の願いなのだろう。
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大怪我をした野良犬が道端に転がっている。このまま何も食べられず死んでいくのか…と絶望していた犬の目の前に、一人の救世主が現れる。
その男は医学の教授で、彼に引き取られた犬は怪我の手当をしてもらい、食事を与えられ、「なんて幸せな犬なんだろう」と思い始める。しかし…。
酔っ払いの人間の脳下垂体と精巣を移植された犬は、その後不思議な変化を遂げる。
お話自体は面白そうなのに、読んでいてちっとも面白くないのはなぜ?
ロシア文学って、ユーモアがあるんだか、ないんだか??? -
文学
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面白すぎる! しかも本書が1925年(昭和元年)に執筆されたというのだから驚きだ。昨日、平山夢明によって執筆された、といっても誰もわからないのではないか。ロシア語の知識は全くないのでよくわからないが、水野忠夫先生の訳も凄いのではないか。本書の初版が1971年であるから既に45年が経過しているが、日本語としても全く色あせていないのが凄い。
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野良犬に人間の脳下垂体と精嚢を移してみたら、だんだん人間らしくなってきた(この時点ですでに皮肉が入っているが)。しかもアパートの住人に思想の影響まで受けてしまい……という話。実験してはみたものの手に余る存在になっていく展開や、犬人間のどこか憎めないダメっぷりが、当時のソ連の政治体制への風刺と絡んで、笑っちゃいけないんだけど笑ってしまう。欲を言えば、出だしで書かれていた犬の気持ちを、人間へ変貌していく中でも読んでみたかった。
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物凄い熱量を感じた
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かなり面白かった。
まずタイトルで度肝を抜かれるのだけど、次の犬の独白で心を鷲掴みにされる。内容は犬が人間化していくという、しかもかなり下品な人間になり、それに振り回される人々を描いた奇想天外な話。しかし、動物実験という形でこのような手術がどこかで実際に行われているのだろうなと思わされる。
この本が書かれたのが1925年。当時のソ連の時代・体制からよく書けたな、というのが素直な感想。
今までロシア文学に接する機会というのは絵本に限られていて手に取ったことがなかったのだが、これからはいろいろと読んでいきたいと思えた。 -
脳を移植された犬が人間として生活するという内容。
なんとも不思議な感じ。
最後はあっさりと収拾したかと。
著者プロフィール
ミハイル・ブルガーコフの作品





