- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309206417
感想・レビュー・書評
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あまりの「らしさ」に、あまりの「ピュアぷり」に、あまりの「まじめさ」に、読み進むうちに彼に可愛さまで感じてしました。そこがこの本の怖い所です。まるでミッキーマウス。そう、ヒトラーがキャラ化しているのです。そして、異形をキャラにしてしまうのは異形の側ではなくて、大衆の側なのです。この構図は彼が台頭してきた構図と同じ構図であり、それこそがこの本のテーマなのでは?と思ったりもしました。
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ヒトラーが現在のドイツで生き返った話し。まず小難しいこと抜きに娯楽本として面白いし、吹き出してしまうブラックユーモアもいい。メールのアドレスを取得するくだりなんかは相当笑える。
で、マジメな部分で考えさせられたのはヒトラーが人間としてとても魅力的に描かれていること。いわゆる歴史上のヒトラーは悪魔であり怪物として語られるけど、本物のヒトラーは人間的な魅力に溢れていた可能性があるということ、だからこそ当時のドイツ国民に正当な手続き選挙で選ばれて総統になっているということ。
日本人も当時のことを振り返るとき、一般の国民は全くの無罪で被害者だったのか、ちゃんと考える必要があるとけっこう本気で思う。
古いところでいうと我が島の二十四の瞳であるとか、最近映画化された永遠のゼロなど、悪いやつがいて、国民は被害者であるという視点で書かれているが、本当にそうだろうか、と、考え始める。 -
とってもおもしろかった。ドイツでこういった本が出せたというのも良い。
本書の彼は、非常に魅力的に感じる。当時、最も民主的な憲法下で選ばれたヒトラーが、その後の歴史の流れはともかく、人々に求められたというのは一つの事実。それこそが、本当に考えなければいけないことではないのだろうか。 -
ヒトラーが現代に蘇る!というSFチックな設定なので、なにか物語上で説明とかあるのかなあと思いましたが、そこはほとんど描かれません。ストレートに「もしヒトラーが現代ドイツに蘇ったら」だけです。
ヒトラーは映画や小説などで散々悪者として定着してますが、第二次世界大戦で同盟国だった日本としては、もちろんユダヤ人虐殺という大罪はあるにせよ、それ以外はまんざら悪いことばっかりでもなかったのかもねー、と思っちゃったりしないこともありません。
本書では、自殺したはずのヒトラーが現代ドイツで目覚め、ドイツの変わりっぷりに驚愕します。パソコンの便利っぷりに驚いたり、若者の風俗に唖然としたり。そのへんは普通に面白いです。
そして、ヒトラーをとりまく現代ドイツの人たちは、有能であったり、素直にヒトラーの弁舌に関心してしまったりする若者であったり、いい人ばっかりだし、ヒトラー自身も過激な弁舌で周囲の度肝を抜きますが、ある意味まっとうなので、人々の心を掴んでしまいます。
そして、最後まで読むと、はてヒトラーは悪だとしても、その過程や関わった人物すべてが悪だったとは言えないのではないか、悪いことを行おうとするのは悪人ではなく、どこにでもいる普通の善人が、とりかえしのつかない「悪」を生み出してしまうのではないか…そんなことを思いました。
ヒトラーという「悪のアイコン」にすべてをおしつけて、忘れてしまおうとするなら、また同じことを繰り返すぞというようなメッセージを感じます。
この物語ではドイツをよく知ってないとわからないネタもたくさんあるようです。あと、多少はナチスについても知ってる方が楽しめるのではないかと思います。
あと、オクトーバーフェストに憧れてたのに、イメージ崩れましたw -
憚りながら、ソートーの天然ぶりと生真面目でジェントリーな物腰に萌えました。萌えてしまったのです。読み終わって気分爽快、の直後我に返って混乱する。
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ティムール・ヴェルメシュ 『 帰ってきたヒトラー 下巻』
その後のヒトラー。
ドイツを護りぬく愛国心溢れる人じゃったんかなっと。
時代が違えば良い政治家に成ってたかもねw
2814年読破
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ヒトラーが人々から選挙で選ばれたこと、ヒトラーだけが悪者というわけじゃない時勢があったことを改めて思い出した。政治家としてのヒトラーをよく見ている作品だと思った。ヒトラーが現代の政治家たる人に「ユダヤ人は冗談の種にはならない」と一蹴したところは主人公のようにみえた。
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ヒトラーが狂気的というより本当にまじめ。
周りの人をどんどん引き込んでいく、カリスマ?的な人。
演説部分が詩のようで、翻訳というのもあるかもしれないが、
素敵だった。
最後、そんなところで終わるのー?という感じで気になった。 -
面白かったよ。会話がすべてすれ違うところがね。
◯◯シンゾーは小汚くすれ違わせるけどヒトラーの本気(狂気)度はすごいわ。
映画見よ! -
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