- Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309207247
感想・レビュー・書評
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だいたい皆さんと一緒の感想。前半のわざと語り手をわかりにくくする手法によって、苦戦させられた。マゾ的に読むのを止められないのは、向かう先の暗黒で不穏な支配体制を覗いてみたいからなのであった。20年位前に夢中になったドゥシャンマカヴェイエフ監督の映画作品を思い出した。この人はユーゴスラビアの人だった。抑圧された体制の中、日中はすまして敬虔な振りをし、夜電気を消してから、憎いあいつの悪口をつぶやき、しょんべんをひっかける。そういう背徳感とユーモアが好き。悲観しても、ベロ出しても死ぬときは死ぬんだ。
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表紙と帯からハンマーでボッコボコにしていく復讐譚を期待して手に取ったのだが、チェコ文学でした。
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チェコ文学おもしろい。
物語の展開が想像以上のダイナミックさで、最後までどんどん読める作品でした。 -
共産主義体制が始まったばかりのチェコスロヴァキア。
密告と粛清が人生を締め付ける中、地下に誕生した並行世界。ノアの箱船。監禁者が常にビクビクし、虜囚は自由と贅沢を楽しむ。暗喩と風刺。
秘密警察が跋扈し家族が殺されるに至る前半と、突然非現実的な「地下水平世界」が広がる後半とのギャップとリンクが面白い。
共産主義の時代に、ユダヤの巨大地下都市という都市伝説に築き上げられた見せかけの楽園。逆説的に、箱庭の中の見せかけの自由と豊かさを示した全体主義への風刺だろうか?それとも我々の享受している自由すら、実は箱庭の自由にすぎないのだろうか。
牢獄の中の牢獄を自由の飛び地とは呼びたくない。 -
建築家サイドと探偵サイドがやっとぶつかったと思ったら、地下壕発見、熊の檻を設置、警官拉致…といきなりエグい方へ話が進むかと思ったら、14人監禁、とリアルさ激減、マジックリアリズム的な方へ。