男も女もみんなフェミニストでなきゃ

  • 河出書房新社
4.20
  • (34)
  • (30)
  • (12)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 440
レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (100ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309207278

作品紹介・あらすじ

ビヨンセを始め全米が称賛したTEDスピーチ、待望の邦訳! ディオールのパリコレでも同名のロゴTシャツが登場、話題沸騰中!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • フェミニズムを語る人は正直苦手でした。

    たまたま自分の目に触れた人だけかもしれないけど、テレビや新聞でフェミニズムを語る人は、どこか攻撃的だったり、ヒステリックな印象が強く、ネットはもっとひどい。で、そのフェミニズムに異を唱えるネット上の意見も、大概はフェミニズムを嘲ったりバカにしたようなニュアンスが入っているから、もうどうしようもない。

    言っていることは分かるけど、言い方や議論の仕方がどうしても受け付けなくて、とりあえず距離を置く。それが自分のフェミニズムやジェンダー論に対するスタンスでした。

    それが変わってきたのが、たぶん昨年にチママンダ・ンゴズィ・アディーチェという作家の作品を読んでからだった気がします。ジェンダーだけでなく人種、国、家族、様々な差別や、ステレオタイプな思い込みに関する違和を、ヒステリックに叫ぶでなく、物語に織り込ませることで、何かがおかしい、何かが間違っていることをそっと気づかせてくれる。

    ジェンダーをはじめ様々な差別が、現在進行形の問題なのだと、改めて気づかせてくれました。

    そんなアディーチェの2012年のフェミニズムに関するスピーチを、書籍化したのがこの『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』
    ページ数は100ページほどで、文字も詰まっておらずゆったりとしたスペース、フォントや大きさで書かれているので、すぐに読めます。

    アディーチェの小説で描かれる差別というものは、とてもエピソードが具体的で想像しやすいのだけど、このスピーチもそれは健在。

    具体的な話を織り交ぜつつ、平易な言葉で。感情を込めつつも、落ち着いた瑞々しくしなやかな語りで、社会に埋め込まれた女性に対する思い込みを、さらには男性観も社会に既定されていることを明らかにしていきます。

    『フェミニストとは、社会的、政治的、経済的に両性が平等だと信じる者』
    アディーチェの引いた辞書にはこう書かれていたそう。そしてアディーチェ自身はフェミニストを『男性であれ、女性であれ、「そう、ジェンダーについては今日だって問題があるよね、だから改善しなきゃね、もっと良くしなきゃ」という人』と定義します。

    この本を読んで、今までのフェミニズムやジェンダーに関する言説の、違和感の正体が分かった気がします。それはたぶん女性の権利や搾取、社会的限界ばかりが強調されて、両性の平等の概念が無かったこと。だからそこから出てくる言説は攻撃的だし、ヒステリックに見えてしまったのだと思います。

    女性が歴史的にも不利な位置にいたというのは間違いなく事実だし、それが今も続いているのも事実だし、確かにそれは正されないといけない。でもその先にあるのは、女らしさ、男らしさを越えて、それぞれが本当にやりたいことをして、真の自分を解放することが許される社会なのだと思います。

    だから女性がフェミニズムを語るのはもちろん、男性も語らないといけない。なぜならフェミニストは、女性の息苦しさだけでなく、男性の息苦しさをも取り除き、社会に新たな可能性を与えるかもしれないからです。女性であれ男性であれ、規定された文化からの解放を目指す人が、真のフェミニストなのだと思います。

    最近、二項対立が多すぎて嫌になります。政治を語れば左翼か右翼かとすぐに敵認定され、アメリカは白人・黒人の人種問題で揺れ、国際関係はどこもかしこもきな臭い。宗教は主流から外れた過激派が暴力で語り、環境問題ですら、温暖化はデマ・たいしたことない派とそうでない派で争っている。

    人と意見が違えば、すぐに敵と認定されまともな話し合いが出来なくなる。そんな状況だから中立的な立場から物事を考えたい人や、穏やかに問題を語りたい人は、声すら上げられず、議論の場から去って行く。残るのは結局過激な意見ばかり。自分がジェンダー論やフェミニストに背を向けたのもそのせいです。

    アディーチェの言葉を借りれば「改善しなきゃね、もっと良くしなきゃ」という気持ちはあるはずなのに、なんでこんな争いばかりなのか、本当に嫌になる。

    この本を読むときも、実は少しだけ緊張しました。小説を読む限りは大丈夫だとは思っていたけど、もしアディーチェも今まで自分が見てきたような、「フェミニスト」だったら、素晴らしいと思った彼女の小説の見方が、変わってしまうと思ったからです。でも、アディーチェは間違いなくアディーチェでした。本当によかった……

    アディーチェのこの本での姿勢には、救われた気がします。「フェミニズムは女性観だけでない、男性観にも問題がある。だからみんなで考えないといけない」この姿勢です。

    きっと大事なのはどちらの立場にも、何か問題点があり、それを互いに一緒に解決しようという気持ちなのだと思います。世界もそして自分ももっと穏やかに、そして大人にならないといけないのだと、この本を読んで考えました。

  • 「男だからたくましく生きろ」って弟に言う親が理解できなかったし、「男の子に奢ってもらって当たり前」な考え方がどうしても受け入れられなかった。

    どうして男ってだけで決められるの?って。

    逆に「女だからお茶汲み」とかもどうして女だけって思ってしまうし、「女は専業主婦になるでしょ」なんて押し付けられたらもうたまんない。私はずっと仕事したいし、生き生きした人でありたいと願ってる。

    #私たちにはことばが必要だ を読んで、大まかな差別の原因を理解することはできたけど、#フェミニズム についてはちょっとおぼつかないところがあったのでこっちを読んだ!


    感想はというとすっごくわかりやすくてすらすら読める。作者の差別の経験談に頷きながら、現実に悲しくなりながら。
    「男の子からどう思われるかを気遣いなさい、と女の子に教えることに私たちはあまりに多くの時間を割いています。でも、その逆はありません。」

    「私たちにはことばが必要だ」は女性向けの本だったけど、この本は誰でも手軽に読めるし、とっても読みやすい。女性差別だけじゃなくて男性差別についてもきちんと考えられている。一方向だけの考えじゃなくて、視野をぐっと広めてくれる感じ。

    「ジェンダーの問題は、私たちがありのままの自分を認めるのではなく、こうある『べき』だと規定するところにあります。」この言葉を読んで、あぁ自分の考えは間違ってなかったんだと思えた。

    「女だから、男だから」なんてこの世からなくなったらいいし、そんな思いに希望を持たせてくれる本だった。この本に出会えてよかった〜

  • この本はアフリカのナイジェリア出身のチママンダ・ンゴズィ・アディーチェさんがTEDスピーチ(動画で見られる)で語った内容を翻訳したものだ。
    彼女は「人間を取り巻く環境は1000年前と明らかに違うのに、性別による役割は変わることなく人々に観念として根付いている」と語っている。
    なぜ女だから、男だから'こうするべき'という考えにとらわれ続けてしまうのだろうか。
    男も女もジェンダーの問題があることを一緒に考えよう、と伝える彼女は、新時代のフェミニストだ。

    彼女が書いた、「アメリカーナ」も読んでみたい。

    図書館便りで紹介した。2018.1.18

  • ああ、僕は男だからフェミニストにはなれないんだな、と日本のフェミニズムの本を読んで強く感じさせられた。それをはっきりと告げている本もあったし(どの本だったかは忘れてしまったが)、言外に匂わす本もあった。
    いずれにせよ、「これは私たちが勝ち取ったもの、育ててきたもの、男には渡さない」、そんな感じだ。
    そして彼女たちの言動についていけないな、という感じがどんどんと強くなった。
    それと同時に、「フェミニズム(フェミニスト)」という語が、急速にその効力を失っていくのも感じていた。
    「もう十分男女平等じゃん、これ以上何を望むの?」
    ネットはそんな言説で溢れかえっている。
    しかし、僕はやはりそうだとは思わない。かといって、今の日本のフェミニズムには共感できない。
    そんな僕に、この本の極めてシンプルなメッセージは懐かしいものに感じられた。僕が最初に感じた些細な違和感みたいなものこそが、大事なのだと再確認できた。残念ながら今僕は自分のことを「フェミニスト」だと言うことはできない。でもやっぱり、少しはそうなのだと思いたい。そう考え直した。

  • ずっと読みたいとは思ってたけど見たことがなくて。実際に見てみたら予想の数倍小さくて読み易くて、よかった!!
    冒頭の、周りがフェミニストとは〇〇の意味だ」というマイナスイメージを彼女に突きつけていくたびに、「わたしは『男嫌いでなく、男性のためではなくて自分のためにリップグロスを塗ってハイヒールを履く、ハッピーなフェミニスト』」ということになっていくくだりが面白くて、笑ってしまった。
    フェミニズム本は時として難しい言葉遣いで性被害の体験を語ったりするものもあって読みにくい物もあるが、これは量も少なく分かり易い言葉で、また被害体験を想起させるような描写も無かったためストレスなく読めた。
    ものすごく初歩的な本だと思う。万人にお勧めしたい。

  • ネットで繰り広げられる攻撃的フェミニストの言説にかなりの違和感があったので、大学でフェミニズムを研究していた妻に話をふったところ紹介されたのがこの本。

    解説にもある通り、実に語り口がしなやかで攻撃的なところが一切ないのが好感がもてる。フェミニズムは過去の歴史的な流れから女性側により多くの抑圧があるということを踏まえた上で、男性も同様に「男性らしくあること」から解放されることが良いという主張はとても説得力がある。

  • 男も女もみんなフェミニストでなきゃ。チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ先生の著書。フェミニストという言葉は素晴らしいけれど、日本ではどこかネガティブなイメージも残っている。フェミニストを自称する男性は他の男性から変わり者扱いされることもあるようだし、フェミニストを自称する女性は自己主張の強い面倒くさい人間というレッテルを貼られがち。でも、男性も女性もより幸せになれる世界を作るためには全員がフェミニストになることが一番の近道。フェミニストという言葉を改めて考えさせらる良書。

  • ●新井悠さんのおすすめコメント●
    「女らしさ」「男らしさ」ってどういいうもの?
    今の時代にそんな区別は本当に必要?
    固定概念に囚われたままで本当にいいの?
    『女も男も、私たち「みんな」で良くしなければいけない』

    【読み終わった後の世界の見え方がきっと変わるはず】

    武蔵野大学図書館OPACへ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000124958

  • 何かの講演会での言葉をまとめた本だったようだが、さすがに、物足りなかった。ウェブで記事落ちてたら読むくらいの分量しか無いので、読書が苦手な人や、詩的な文章が好きな人におすすめ。

  • 自らを「ハッピーフェミニスト」と呼ぶアディーチェの姿勢、言葉の魅力的なこと!
    ほんとにね、もう21世紀ですよー、女はこうでなきゃ、女は引っ込んでろ、女は男に評価されることが全て、などなどなんて丸めてポイしましょうよみんなで。
    全ての主張に同意はしないが、それでいいの、議論しましょ!と笑顔で両手を広げているような空気もとてもいい。
    読み返したい一冊。

全33件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1977年ナイジェリア生まれ。2007年『半分のぼった黄色い太陽』でオレンジ賞受賞。13年『アメリカーナ』で全米批評家協会賞受賞。エッセイに『男も女もフェミニストでなきゃ』など。

「2019年 『アメリカーナ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ロクサーヌ・ゲイ
ジャッキー・フレ...
レベッカ ソルニ...
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印

男も女もみんなフェミニストでなきゃを本棚に登録しているひと

ツイートする
×