野蛮なアリスさん

制作 : 斎藤真理子 
  • 河出書房新社
3.82
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本棚登録 : 102
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309207407

感想・レビュー・書評

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  • 女性作家でこの品のない口調?文体?は久々だったな・・・
    まあ世界観がどん底みたいだもんな・・・

  • 前から読みたかったやつ、や〜面白かった!韓国文学、短いのに読み応えあって好きだな ハマりそう。女装ホームレスとして四角に立つアリシアが生まれ育った街コモリ。再開発事業の補償金を巡り、欲と暴力渦巻くその土地で、彼女は弟と共に母の虐待に耐えながら生活していた。

    政府の暴力(再開発)、物理的な暴力(虐待)、黙認という暴力(放置)という、三種の野蛮は最弱者である子供達に向かう。しかし、食肉用に育てられている犬の様に、例え街という檻の戸が開いていたとしても、彼らが逃げる事は決してない。逃げた後のビジョンはなく、あるのは目の前で繰り返される悪夢だけ。

    それでも最終的には外に出られた兄と、穴に落ちた弟。何が二人を分かったか。一方は物理的な暴力の加害者になる事を選び、一方は下水処理施設の問題の放置という暴力の餌食になった。ただ、兄が本当に解放されたのかは疑問が残る。結局今も暗い穴に落ち続け、終わる事のない悪夢を見続けている。

    物理的な暴力を振るっていないにしても、黙認行為という形で暴力に加担していないかどうか、改めて読者に疑問提起している作品。オナモミの様にしっかりと取り付いたアリシアは、君が答えを出すまでずっと問い続ける。

  • 韓国作家の作品を初めて読む。
    それも若い女性作家が描いた、
    呪詛にも似た罵声と深い悲しみと怒りに満ち溢れ圧倒され息苦しくなる、
    とてつもない物語を初めて読む。
    散文詩的に語られる兄弟の夢話。アリシアの夢。アリシアの母の夢。
    アリシアの弟の夢。コミの夢。
    いろいろなものが畦道の犬の死体のように月のように満ちては欠けていく。
    私たちに、常に問われる「君は、どこまで来ているのか。」という言葉。
    何度も何度もアリシアと一緒に
    目の前の悪夢を見ることが大切なのかもしれない。
    雨水と埃にまみれて消し去られないように。

  • 韓国の土地開発、すさまじい。
    でも、お話の内容としては、どこでもどこの国でもありうる。言語化も整理もされていない問題を抱える「親」のありようが子どもに。子どもが親を人間と思えないというほどの状況がどういうものか。
    少しだけ出てくる、福祉課が痛い。市役所にいったら、その相談はここではないと臨時庁舎へまわされ、そこにいったら直接の支援をするのは心理士だといわれ、そこにまわされる。そこでは、心理学理論を説教されるだけ。クソの役にも立たない。

  • 韓国で2013年発表の長編小説。女装ホームレスのアリシアが振り返る少年時代。都市開発が引き起こす格差と差別、家庭内暴力、幼児虐待など現代社会の闇をスタイリッシュに描いている。差別的侮辱語の和訳が読後感を悪くするがそれも狙いだろう。‬

  • レビューはこちらに書きました。
    https://note.mu/_yoiyoru/n/nd19dd1e9260a

  • 都市近郊開発にともなう補償金目当ての人々がうごめく地域を舞台に、様々な暴力にさらされながら、その中で命を失っていく子どもの姿や、若くして人生に絶望していく子どもの姿が、遠慮のない筆致で描かれていく。その地域の名前、大きな砂山、大きなイチョウの木、朽ちていく犬の遺骸,街角の礎石、等々のイメージが、死んでいく子どもの墓碑のイメージと、詩的に重ねられていく。各登場人物の内面に過度に入り込むことなく、暴力的で不快な場面の描写を重ねていくことで、世界や人生のやりきれなさを削りだしている。訳は秀逸。「訳者あとがき」も素晴らしい。

  • 「君はコモリを覚えているか」
    都市開発で消えた、今は存在しない町の悪夢のような記憶をアリシアは語り続ける。
    残酷な母性、常習的な暴力、家族の無関心、非情な隣人たち……我々の社会の断面……ネグレクト、いじめの中で育ったふたりの幼い兄弟。やがて兄は成長し物理的な力を獲得する。力が逆転するときはくるのか、暴力の連鎖を止めることができるのか。

    そういえば、チョ・セヒの 『小人が打ち上げた小さいボール』も再開発で都市の辺境に追いやられた家族のはなしだったなと思っていたら、韓国における都市開発と不動産投機熱について巻末に訳者が詳しく解説していた。なるほど。

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記は控えさせていただきます。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=11719

  • どんな話か想像出来ない。「誰でもない」(晶文社)と合わせて早く読みたいゼ、、、

    河出書房新社のPR
    私はアリシア、女装ホームレスとして、四つ角に立っている――凶暴な母、老いた父、そして沢山の食用犬……。少年アリシアのたった独りの戦いがはじまる。現代韓国最注目の俊英による問題作!
    http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309207407/

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著者プロフィール

黄貞殷

「2018年 『目の眩んだ者たちの国家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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