すべての、白いものたちの

著者 :
制作 : 斎藤真理子 
  • 河出書房新社
4.24
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本棚登録 : 196
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309207605

感想・レビュー・書評

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  • この本は電子書籍ではなく紙書籍で手に取るべき。5種類の白い紙で刷られている。韓国文学に馴染みが無かったが、これから馴染んでいきたいと思わせてくれる本だった。韓国人の精神性にもっと寄り添っていれば、この本に漂う詩情をもっと理解できたかもしれない。生まれて死んでいく人にまつわる白さについての断片的な言葉たちに引き込まれた。

  • 韓国語で白い色を表す言葉は「ハヤン」と「ヒン」。ハヤンは綿あめのようにひたすら清潔な白、でもこの本は生と死の寂しさをこもごもたたえた色であるヒンについての本。
    作家の言葉に書かれていた上記(私の勝手なまとめ)をここに書いておけば、いつでもこの本の凛とした冷たさ、寂しさが自分の感覚として戻せる気がする。

  • しろい

  • 韓国人作家ハン・ガンのエッセイ風SS。非常に繊細で美しい文体での翻訳(原文が良いものだからだろう)で綴られるのは″白いもの″を通して開いてゆく、もう居ない者と自身への哀切と祈りだった。正直、好きな国では無い。それでも手にして、読むことが出来たのは幸いだと思う。時折読み返したい一冊。

  • 2019年4月27日図書館から借り出し。
    やはりハン・ガンという人は小説家である前に詩人であることを再確認させられる素敵な本だった。
    冒頭から「白いもの」について書こうとしたことを明らかにしてから書き始める。その「白いもの」は雪であったり、犬であったり、衣装であったりする。ソウルからワルシャワになったりと、おそらくは著者の実体験がそのまま読者のイメージを膨らまさてくれる言葉となって溢れてくる。残念ながら朝鮮(韓国)語ができないので、原書にあたることはできないが、斉藤真理子さんの日本語は柔らかくて、それでいて鋭い。
    一番感心したのは用紙を変えて四層に別れた美しい造本と、Douglas Seoktという方の幻想的な写真、それに佐々木暁という方の装丁の邸内な仕上げが、本としての完成度を高めている。
    本好きにはたまらない一冊!

  • エッセーというより詩のような,あるいは「白いもの」に象徴される生まれてすぐに死んでしまった姉への哀悼歌のような佇まい.紙質を変えた装丁とか所々に挟まれた写真も静謐な印象を与える.素敵な本である.

  • 19.04.09読了

  • 白、白、白、白。
    清らかで、どこか恐ろしさも内包し、無限に広がり、どこまでも無、そして美しい。
    詩的な文と、写真。
    しばし、白に取り込まれる。

  • 白いものをそれぞれタイトルにした連作短編小説、と言ってよいのだと思うけれど、ジャンル分けなどせず、ただ「この作品」と言ってそっと撫でたいような本だった。
    受け取る白と差し出す白の中で、生者と死者が交わっていく。
    元々の文章も美しいのだろうし、訳も見事。

  •  散文詩のようにも短編集のようにも見える形式だが、これは立派な長編小説。エピソードや独白の断片が時系列すら無作為と見える(実は精密な意図によって構成されている)順序で並べられるが、次第に主人公の全体像と心情と歴史が、むしろよほど明確に現われてくる。筆致はあるときは感情的にある時は冷徹に、死人のように綴っていくが、けしてセンチメンタルを煽ることなく、教条的ですらない。近いとしても谷川俊太郎ではなく、小川洋子ではなく、もちろんもっとも遠い相田みつをではない。
     さらに今作は間違っても電子書籍などではなく、紙の本で読むべきだ。紙質を数種つかったその装丁は、当初タイトルを引用した「ベタ」作為的なあざとさをわずかながら感じたものだったが、グラデーションにするでもなく、章立てで変えることもなく、エピソードの無作為感そのままに何とも言えぬ表現を突き付けてくる。微妙な色合いとともにその手触りによる五感を使った読書が楽しめた。

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著者プロフィール

1970年、韓国・光州生まれ。延世大学国文学科卒。
1993年に季刊『文学と社会』に詩を発表、
翌年のソウル新聞新春文芸に短編小説「赤い碇」が当選して文壇デビュー。
2005年に『菜食主義者』で韓国で最も権威ある文学賞とされる李箱文学賞、
2016年にイギリスのマン・ブッカー賞国際賞を受賞。
小説や詩のみならず、絵本や童話の創作や翻訳も多数手がけている。
韓国小説文学賞、今日の若い芸術家賞、東里文学賞など受賞多数。

「2018年 『そっと 静かに』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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