モロイ

  • 河出書房新社
3.69
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本棚登録 : 154
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309207698

感想・レビュー・書評

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  • 2周目。ドラムを(プロドラマーはドラムを叩いていない時も叩いているのだ的なマユツバものの論理ではなくて)ドラムを叩いている瞬間にしかドラムを叩いていない論理で、一生叩き続けてる人はいないけど、30時間くらいだったら人間は叩ける

  • 延々と語り続けられる言葉はどこに行くのか。単なるメモ書きに過ぎないかもしれない文章に,どこまで深入りするか,読者は試される。

  • 正直なところ、めちゃくちゃ体力が持っていかれる読書体験だった。読み終えるまでに1ヶ月ぐらいはかかったと思う。
    感想としては、これをよく書いたな、ということに尽きる。描かれているものの大半は意識が崩壊しているモロイなる人物の声であり、意識が崩壊しているので意味も取りずらい箇所が多々あり、どこに向かうのかもよくわからない。たまに著者自身もどこに向かうのかわかっていないんじゃないか、と思わされる記述もあり、崩壊を通り越してもはや破綻してしまっている部分もある。文字数を稼ぐために記述したような(失礼...)ひたすらに冗長な部分もある。これはわざとだとは思うが。
    なんというか文学作品としてはエラーを起こしてしまってるのだが、それで成り立っていることの異様さを感じた。

  • 1部は頭が狂っている人の文章だと思って読んだのではっきりとは書けてないけど、何かぼんやり分かりそうな気がした。
    2部は頭がはっきりしている人の文章ではっきり書かれているはずなのに、つながりが分からず、全く分からなかった。
    2部のラストが1部の始めにつながるような気がした。
    モロイはモランのなれの果てなんじゃないかとも思った。
    だからなんだ、と思うけど。
    頭の整理がされてない人の頭の中を歩き続けるような本だった。
    この小説に何の意図があるのか全く分からない。

    誰かの頭の中をそのまま文字にしたらこんな感じでしょ?
    何について考えてるかなんてほとんど考えないでしょ?
    脈略なくいろんなこと考えるでしょ?
    それで考えてることって独りよがりでしょ?
    ということを書いてたのだとしたらリアル。

    >>>
    以下、読書中の感想。

    読書中の感想の方が大事な気がしてきたので、長くなるけど書き留めることにした。

    >p60まで
    1ページ目を読んですぐ、これは頭の中でとりとめもなくぼーっと考えたり感じたりしていることをそのまま言葉に写したものだと感じた。
    正直何言ってるか分からない。
    人の思考だけ渡されて、何が起こっているか想像しながら読み進めていく感じ。
    本当に骨が折れる。

    何のパズルか伝えられず、ピースだけ渡されてはめ込んでいくような作業が続く。
    何とか合いそうなところをはめてようやく一欠片できたと思ったら、そのパズルを置き去りにして、新しいパズルが始まるような感じが続く。
    置き去りにしたパズルと今やってるパズルは組み合わさるのか?

    人の頭を直接自分にはめ込まれたような息苦しさに耐えきれず、2時間60ページでこの日は断念。
    やめたいけどやめると今まではめたパズルが全部おじゃんかと思うと悔しくてやめたくない感じ。

    今まで読んできた普通の小説が下拵えが済んだ材料とレシピを渡されて、料理を完成させて味わってねと言われる親切なやつ。
    これは原材料だけ渡されて、こういう味のするやつって言われて調理丸投げされてるという感覚。
    分からんよー、何を作ったらいいんだよー。

    2021/03/15

  • ベケット没後三十年を記念して再発刊された三部作の一つ。アイルランド出身、ジェームス・ジョイスの友人というところに興味を持って手にした一冊。正直に言うと、読みにくい。ひどく内向的で暗いイメージしかない。でも、読後は自分のこれまでを振り返させられる一作。読んでいるときはなかなか退屈だけど、読後の印象が強い。出口のない作品ではあるけれど、和が道を振り返りたい方は是非。

  • 強烈で強力な本。冒頭で既に死んでいる母親を捜しにさまようモロイ。それって彼岸への旅なのかい?論理的に捜索なんてもんでなく、どこに向かっているのか、行動よりも思考がぐるんぐるん回転している。そもそも生きるのに、偶然?母親に出逢うのに、ビジョンや方向性は必要なのか?あれ、読んでる側の思考すら腐敗に向かってゆくのか。謎の2章はモランと言う男が何故か歯が生え変わる月齢の息子を連れてモロイを捜しにいく。最初から捜す気が見当たらない行動(息子が運転する自転車に2人乗り)にこっちも負けない位狂っていて、また偶然を捜す。

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著者プロフィール

1906年アイルランド生まれ。小説家・劇作家。『モロイ』『マロウン死す』『名づけられないもの』の小説三部作や、戯曲『ゴドーを待ちながら』を発表。1969年ノーベル文学賞受賞。1989年没。

「2022年 『どんなふう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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