内なる町から来た話

  • 河出書房新社
4.03
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309208039

感想・レビュー・書評

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  • 動物を題材にした25の物語。
    都会の風景の中に置かれた動物たち。
    なんで、こんなところに…と驚きがある。

    この世の動物たちは、誰かのために存在しているのではない。 アリス・ウォーカー

    まさにその通りだと感じる。


    ワニが八十七階に住んでいる。
    しかも、すこぶる快適に。  だと…?

    次々と現れる動物たち。

    犬の物語は、読了済みだったが、
    文章が加わるとまた違った意味に思えてくる。

    猫の旅立ちもインパクトがある。
    裏表紙にも絵が使われているが、猫の頭に乗っている母娘⁇だろうか。気になった。何処を目指してるのかもわからない。
    たぶん誰もわからない未知の世界だろうか。

    高速道路にまたサイが出た。
    あれが、最後のサイ?
    短い文章なのに車の多さとサイの顔のアップがなぜか悲しくなる。最後だからか…。

    待合室はこわくない。
    お前ハ、カナラズ、治ル。
    フクロウはいつだって正しいのだから。
    真っ白な空間と窓が異常に多い病院の中。
    見えないから不安なのだが、フクロウの一言で安心できるのが不思議だ。

    「ヒツジを敬いなさい」と先生は言った。
    教室の教壇でぎゅうっとヒツジを抱きしめている先生の姿。無表情のヒツジの顔の対比がなんとも言えない。

    弁護士に手を繋がれていっしょに裁判所な長い階段を上がるクマ。何を思っているんだろう。

    まだまだたくさんの動物たちが出てくるのだが、彼らはいっさい物言わない。
    そりゃそうだろうが、勝手に想像する。
    意味を深く考えないで読んでみるしかない。
    なぜなら理解し難いからである。
    ギリギリ返却期限まで何度も読んでみた。
    また、何年か経てば違う角度から物語が見えてくるかもしれない。
    それもまた楽しみにしよう。



  • ビルの高層階に住むワニ、都会の夜空に浮かぶシャチ、弁護士とともに裁判所の階段を上がるクマ、その他に犬、カタツムリ、ブタ、トラ、フクロウなどなど…、生き物を題材にした25の物語が収められている

    ショーン・タンの作品なので強いメッセージ性があるのだと思うが、私にはちょっと難解でした…(^.^;
    返却日も近づいてきたので最後は流し読みになってしまったし…w
    またいつかリベンジしてみようかな…

    • 1Q84O1さん
      なおなおさんの助言に従ってリベンジ無しで!w
      本作のショーン・タンは小説なのかな…?
      そこそこ分厚い本でしたし…w
      なおなおさんの助言に従ってリベンジ無しで!w
      本作のショーン・タンは小説なのかな…?
      そこそこ分厚い本でしたし…w
      2023/05/22
    • なおなおさん
      小説っぽい話なんですね。
      そういえば、「遠い町から来た話」というのは読んだことあります。遠い町、内なる町…反対語なのかな。
      リベンジ…いいで...
      小説っぽい話なんですね。
      そういえば、「遠い町から来た話」というのは読んだことあります。遠い町、内なる町…反対語なのかな。
      リベンジ…いいですよ、しなくて。次に行きませう!
      ♪読〜もおっ!←メーロン氏の森高千里。気に入っちゃってますw
      2023/05/22
    • 1Q84O1さん
      あっ!?
      「遠い町から〜」の姉妹作?とか書いてた気がします…

      ハイ!
      リベンジ無し!
      次!

      森高メーロンの一曲に従って次読〜もおっ!
      あっ!?
      「遠い町から〜」の姉妹作?とか書いてた気がします…

      ハイ!
      リベンジ無し!
      次!

      森高メーロンの一曲に従って次読〜もおっ!
      2023/05/22
  • 絵と物語、どちらも素晴らしく、天は二物を与えることもあるんだよね…と感じずにはいられない。

    自分の描く絵に、自分の書く物語をのせる(どちらが先にあるのかわからないけれど)、というのはどんな感じなのだろう。

    ショートフィルムの断片を垣間見るような、夢心地な時間を与えてくれる。
    こういう本に若いうちに出会えたら、幸せだろうな。
    2021.8.6

  • もったいなくて1日2個ずつくらいに抑えてたけど、ついに読み終わってしまった。お話も絵も本当に素晴らしい。これしかない言葉が静かに連なる文章を追ううちに見たこともなかった地平に着地する、すごくオリジナルなのに不思議とかつてフィクションの世界で親しんだ動物たちが想起されて。『遠い町から来た話』も大好きだけど、さらにエッジがきき、なおかつ柔らかく包み込んでくれるような…。横浜遠いけど、原画展行きたいなあ…

    以下は備忘録
    ワニ:ワニといえば、『コインロッカーベイビーズ』のアネモネが飼っているワニ。ちゃんとこのワニもビルん中に住んでいるのだ。
    イヌ:正直、わたしは犬猫物はとくに興味ないんですが、このイヌはたまらなかった…『僕のワンダフルライフ』っぽくもある(あれもイヌどうでもいいって言いながら大泣きした)
    ネコ:ネコもたまらなかった…とくに絵。ページをめくった瞬間思わず息をのんだほど。
    フクロウ:辛い話かと思い込んでいたら、希望のあるお話でビックリして「いいんですか?」って感じでちょっと泣きそうになった。
    カエル:『散歩する侵略者』で仕事の概念を奪われた光石研を思い出した!
    ヒツジ:教室の椅子と机が日本そっくり!他の国もこういう感じなのかな。
    肺魚:旧世代の若い世代に対する戸惑いと希望。ダメダメな旧世代のひとりとして身につまされる。「自分のことを考えるので手いっぱいだったし、正直、疲れすぎていた」って、ほんとそう。若者へ、なるべく邪魔しないから希望託させてくれ、ってなった。
    キツネ!:スピッツの曲、とくにアルバム『見っけ』の世界観みたい!!
    ハチ:これも絵が素晴らしい…

    あと、クラゲは出てこなかったけど、全体的に『アカルイミライ』とかも思い出したなあ。どれも文明社会とか身勝手な人間を皮肉っている感じなのだが、で自分は紛れもなく皮肉られる側のダメ人間なのだが、厳しく責められてる感じはしなくって、とはいえ、イヌネコを可愛がれなかったり、カタヤマ夫妻みたいな生き方は死ぬまでできそうもなかったり、そんな自分がちょっと寂しくもなった。

  • 都心のビル街に、高速道路上に、上空から海から現れた生き物(動物・魚類・鳥類・昆虫・爬虫類・両生類・人間)をテーマに、『遠い町から来た話』のショ-ン・タンが語る25篇の夢想の世界。 背景の都心は、人はまばらで廃墟のような寂びれたイメ-ジがつきまとい、個々の生き物へのメッセ-ジにも孤独な寂寥感がつきまとう。 何処でもないどこかの世界で夢想するショ-ン・タンが、生きとし生けるものへのオマ-ジュなのかもしれない。

  • ショーン・タンはこれだけいい絵を描くんだから、それだけでも十分な才能なのに、物語も上手いんだから、神様って不公平だな。
    でも、きっとこれは絵を描いているうちに、物語も湧いてきて、絵が出来ていくと同時に物語もできていったのではないかと思った。物語に絵をつけたのでも、絵に物語をつけたのでもなく。
    私も昨年ショーン・タン展に行ってこの本の原画をいくつか見たのが、かなり大きかったので、余計そう思う。
    そのように物語と絵が一体となっているので、絵だけ、物語だけ、では分けられない。
    一気に読まずに、寝る前にひとつずつ読むと、不思議な夢が見れそうだ。
    どれも動物の物語で、どこか滑稽であり、不気味でもあり、苦しいような悲しいような懐かしいような感じも、他のショーン・タン作品と共通する。
    私が好きなのはワニ、カタツムリ、ムーンフィッシュ(絵はアカマンボウみたい)、カエル、ハイギョ、トラ、クマ。
    ムーンフィッシュとハイギョとクマは特に好きだ。

    クマも法律を持っていて、人類を訴える。人類がクマに対して行ってきた様々な罪。窃盗、略奪、不法占拠、拉致、殺害、奴隷所有、虐待、大量殺戮。(どれもその通りだ。)さらには人間の法にはない罪も。霊魂廃棄罪、不愚怒具罪、非グワガオグルルグム罪。(P177)
    しかも証拠は完璧に揃っていたため、人間は示談に持ち込もうとするが、実は既に人間はクマに凄まじい負債があった。(そりゃそうだ。)
    そこで人間はクマを殺した。(人間のやりそうなことだね。)
    ところが‥‥オチも面白い。
    実は人間以外の全ての動物も法を持っており、それらの法自体にもヒエラルキーがある。人間の法はさほど上位ではなく、クマ法の方が優先されるってとこもいい。ホント、人間は驕り高ぶりすぎだよ。

  • 絵も文章もすごい。すごい才能だ!
    クマの話がとりわけ胸に刺さりました。

    本書から、単独の絵本として『いぬ』が出版されていますが、これは音楽で言う所の「アルバムからのシングルカット」みたいだな。

  • 最高。

    初めに物語があって、その後に続く見開きの絵。本の構成の仕方がこの物語にどんな絵が来るのだろうって凄くドキドキする。

    で、絶対に裏切らない絵がくるの。凄くない?どれも素敵なんですが、「猫」が衝撃的過ぎて、、。全世界の人に見て欲しい。

    最近訳者の岸本佐知子さんが気になってて、図書館で彼女の訳本を検索してたまたま見つけた本なのですが、岸本さんありがとう!ショーン・タンを教えてくれてありがとう!変態的エッセイとは裏腹にめちゃくちゃ素敵な翻訳で綺麗な日本語訳ありがとう。

    ショーン・タンさんは日本では人気のある方なんですね。アカデミー賞や他にも数々の賞を受賞されている。他にも沢山大人の絵本を刊行されていて岸本さん訳ときては読まない訳にはいかない。また素敵な絵に出会えそうです。

  • 25話のセンス・オブ・ワンダー!(帯の言葉)
    25種類の動物を題材にした短編小説絵本です。文章の長さもまちまちで他に見たことがない内容と表現です。一つ一つが『セミ』のように一冊の絵本になり得るずっしりとしたボリュームの本です。動物が人間の社会を映し出す鏡のような役割を果たしている作品が多く、彼らの声をもっと聞くべきだと思いました。帯にある、25話のセンス・オブ・ワンダー!は言い得て妙です。
    最後の3つのお話が素晴らしい。

  • ① この本を選んだ理由
    ショーン・タンシリーズを全て見てみようと思っているため

    ②あらすじ 
    動物を題材にした25の物語。
    油絵だけでなく、文書が多い。

    ③感想
    やはり不思議な感じ。
    静かなところで、1人でゆっくりと読むと、その世界観に入っていけるかな…

    ④心に残ったこと
    オウム、恐い…

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著者プロフィール

1974 年オーストラリア生まれ。幼いころから絵を描くことが得意で、学生時代にはSF 雑誌で活躍。西オーストラリア大学では美術と英文学を修める。オーストラリア児童図書賞など数々の賞を受賞。2006 年に刊行した『アライバル』は世界中で翻訳出版されている。イラストレーター、絵本作家として活躍する一方、舞台監督、映画のコンセプトアーティストとしての活躍の場を拡げている。9年の歳月をかけて映画化した『ロスト・シング』で2010 年に第83回アカデミー賞短編アニメ賞を受賞。2011年にはアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞。2019年には日本で初めての展覧会を開催。現在メルボルン在住。

「2020年 『ショーン・タン カレンダー 2021』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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