- 河出書房新社 (2025年2月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (312ページ) / ISBN・EAN: 9784309209180
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
孤独や喪失と向き合う人々の心情を描いた短編集で、悲しみとユーモアが共存する独特の雰囲気が魅力です。著者の人生経験が色濃く反映されており、特に自死や自己責任といったテーマが織り交ぜられています。作品は1...
感想・レビュー・書評
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新刊を図書館で
はじめての イーユン・リーさん、装画にも惹かれ。
途中、読みにくい短編もあったけれど、悲しみの向き合い方が良くユーモアもあって、ゆっくり味わいながら読みました。
喪失、孤独、ユーモア、優しさ、心の内に秘める思いが鋭く豊かに描かれた唯一無二の作家による珠玉の11編
14年間のうちに発表されなかった中から厳選され最新短編集。
これまでの優れた短編の作品群に対してPEN/マラマッド賞を受賞。ピューリッツァー賞、ストーリー賞、ロサンゼルス・タイムズ文学賞、マーク・トウェイン・アメリカン・ヴォイス・イン・リテラチャー賞の最終候補作。
「ロサンゼルス・タイムズ」紙、「エスクァイア」誌、「ヴァルチャー」誌、米国公共ラジオ放送などで年間ベストブックに選出
錚々たる賞に圧倒されつつ…
好きな短編は、水曜生まれの子、かくまわれた女(2015年サンデータイムズEFG短編賞)、非の打ちどころのない沈黙、母親に疑わせて、ひとり。
著者の息子が16歳で自死したことを知ると、著者の素顔が見え隠れするような気にもなり、メッセージにも思え、別の面からも読み込んでいった。
「悲しみと不幸は大きく違う。悲しい過去があったと言うこと。悲しみと喜びは両立する。」著者の考え方が好きです。
訳者あとがきで、作品ごとに丁寧に内容を紹介されてるのが、とてもありがたい。
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僕のささやかな人生を投影して、共感したと言いたいわけじゃない。 イーユン・リー自身の人生と重なる箇所を探して、分かった気になれるわけでもない。
ここにあるのは、汎用性や互換性があるような、消化吸収しやすい感情ではない。
それなのに、どうしようもなく心が震える。短い物語たちに心が取り込まれてゆく。
外側から眺めるように読むことなどできず、登場人物たちの中から彼らの目を通して世界を見る。
そんな読書になる。
こんなに不完全な世界で、子供を産み育てると決めたとき、生まれてきた子に何がいえるだろう。
苦しみや悲しみにも不条理からも、目を背けなさい。喜びや明るい面だけを見て生きなさいと?
子供たちから鈍感だ、いんちきだと馬鹿にされたとしても、生きているのは楽しいよと言い続ける以外に親に何ができるというのだろう。
イー・ユンリーの以前に読んだ本にあったセリフが忘れられず、ここでもまた思い浮かべてしまう。
“「人生は完璧じゃない。でも何らかの意味がある。違う?」 「うん。それは残念賞だな。でも、僕は残念賞のために生きることはしないんだよ。」”
結婚はどうだろう。愛情という曖昧で不確実なものよりも、礼儀正しさと思いやりで維持していく契約だと捉えた方が、いっそ楽に息ができるのではないか。
必要以上に相手を深く覗き込まなければ、相手の中に自分を刻み込む危険を避けることができる。
そうすれば、誰かを傷つけることも、傷つけられることもない。
家族と共にあっても、孤独は自らを守るための鎧であり、潤滑油だと思う。
養女、乳母、メール・オーダー・ブライド、金持ちに囲われるように暮らすこと、愚鈍な善人を選んで結婚すること、さまざまな女性たちが、自分たちなりの生き延びる術を身につけて、息を凝らすようにして生きている。
そして、死を選んだ子どもたちの多くは、生き延びる術を身につけることを望まなかった。
なにがよいことなのかと論じることはできないだろう。
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イーユン・リーがインタビューで語った言葉が、後書きで紹介されている。
“私は不幸だとは感じていません。悲しいのです。とても悲しいとは言えます。悲しい過去があるのです。でも不幸ではありません。なぜなら、悲しみと喜びは両立しうるからです。”
この言葉は、もちろん前向きな希望を抱かせてくれる。だが一方で、僕は深く静かな諦念を感じてしまうのだ。
悲しみと喜びは両立する。それはとりもなおさず、喜びでは悲しみを拭い去ることはできないということだ。
喜びを糧としながら、癒されることのない悲しみを手離すことなく生きていくと、自分自身に告げるひっそりした覚悟の言葉に思えるのだ。
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静かな日常 自死の娘と〝対話〟〔評〕野沢佳織(翻訳家)
<書評>「水曜生まれの子」イーユン・リー著:北海道新聞デジタル 2025年5月18日...静かな日常 自死の娘と〝対話〟〔評〕野沢佳織(翻訳家)
<書評>「水曜生まれの子」イーユン・リー著:北海道新聞デジタル 2025年5月18日
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1159878/2025/05/20
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2025.5.14読了 ほんのきろくから転記
当時図書館の新着資料か何かで見つけて
表紙とタイトルが気になって借りてきた本。
11この話からなる短編集なんだけど全部薄暗くて曇っている感じの一冊。
最初の3作品を読んで、短編なのになんだか全部の話の主人公が同じ人みたいだって思ったんだよね。
最初の話から自死というワードが出てくるし、全体的に自責の雰囲気が漂っているのはそれぞれの話の主人公の一部が作者の一部であるからなの?と想像。
どの話かにあった、ねえ大丈夫?という問いかけに対する「そう大丈夫でもないけど。でも大丈夫になるからね。」という言葉、身近にも「大丈夫」を今の安心できる状態ではなく、安心できるようにするよ!の意味で使う人がいるのすごく心にきた。
私は木曜生まれの子だよ。イーユンリーの心が少しでも晴れてくれたらいいと思う。 -
孤独や喪失と向かい合い静かに淡々と暮らす人たちの短編集。諦観した人ゆえの静かな強さみたいなものが感じられて良かった
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14年の歳月をかけて書かれた11篇を収録した短篇集。だからというわけではないが、読む側にもそれなりの時間を要求する(←単に読了までに多大な時間を費やしたことの言い訳w)。
著者は中国出身アメリカ在住の作家で、本書に収録された作品はすべて英語で執筆・発表され、アメリカで出版された。内容は著者自身の体験を反映したものが多いようで、なかなかに重く、考えさせられた。特に印象に残ったのは子供の死を扱った作品だった。
巻末の訳者あとがきがボリューミーで情報豊富だ。 -
千年の祈り以来読み続けているイーユン・リー、息子の自死を経て、小説にも子供を失う親、死の気配が濃厚に漂うようになった。小説を書くことで喪失感や悲しみと向き合っているのだろうと思う。後書きで、名前の漢字は作家からの指定だというが、漢字を共有する日本語訳ならではのオプション、ギフトですね。
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訳し方なのでしようか。淡々と話が進んで登場人物の個性が私には見えませんでした。
三篇ほど読みましたが変化がなく私には合わないな。と中断してしまいました。 -
なんだろう。翻訳だからなのか、自分に文章があわない。
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様々な年代の、様々な仕事を持つ人々の人生を、こんなにも物語れるなんてー。すべてのエピソードが本当にあったことのように息づいていて、なぜだか泣きそうになる。「列車の前に歩み出てきた」と言う鉄道職員。三十六個の植木鉢から流れ出る水。母親になるなんて、なんて向こうみずだったのだろう。こんにちは靴さん。さようなら靴さん。「くたばれ」。
イーユン・リーの作品を読むと、目の前が淡い寒色系のマーブル模様に染まっていくような気持ちになる。うっすらほのあかるい諦観。
登場する子どもの多くが、賢く繊細で生きづらそうにしているところに、筆者の長男の影を色濃く感じ、どうしようもなく悲しくなる。
あとがきで紹介されているインタビューで、「世界でひどいことが起きている中で、意味がないと感じてしまう時こそ、生活を回し続ける小さな物事(ケーキを焼いたり庭仕事をしたりすること)に喜びを見出す意思の力が必要である」という趣旨の発言をしているイーユン・リー。その哲学が大好きだし、どうか長生きしてほしい。
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中国のチェーホフと称されるアメリカ在住の作家
訳者あとがきを読んでから本文を
読めば良かった
何とか読み進めたが読みながら
何か凄い苦しみを体験した人なのかな
と感じた
それは当たっていた
北京大学までの中国での生活や思いは
分からないが
進路変更して作家の世界へ
自殺未遂や子どもの自死
容易では無い
それぞれの作品の後に
シェークスピアやマザーグースなど
関連があるのも私には新鮮だった
何回か読むといろんな事を考えさせられそう -
翻訳小説が苦手なこともあって、なかなか没頭するのが大変だったが、他の方のレビューを読んで、あとがきを先に読んでみたら、初めて読む彼女の世界観の根底にあるものに触れることができ、グッと読みやすくなった。「目に見えないところに、心をかき乱すやっかいな何かが本質的に存在しているという確信があります。その部分を覆い隠すよりも、発見するために書きたいのです」「悲しみと不幸は大きくちがうとも考えています。不幸と喜びは両立しない場合が多いのです。不幸というのはむしろつらい状態に似ていて、それはよくないことです。そして、私は不幸だとは感じていません。悲しいのです。とても悲しいとは言えます。悲しい過去があるのです。でも不幸ではありません。なぜなら悲しみと喜びは両立しうるからです」。11の短編の中で、刺さる作品は人によって大きく異なるだろう。私は「かくまわれた女」「非の打ちどころのない沈黙」「すべてはうまくいく」が好きだ。
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短編集 水曜生まれの子は読み終わった
32〜
著者プロフィール
イーユン・リーの作品
