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- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309226422
感想・レビュー・書評
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三津田信三さんの著作の参考文献から出会った本ですが、衝撃の内容でした。
推測の域を出ないものも一部含まれるが、私たちは部落差別のことを表面的なものしか知らなかったのではないか。
なぜ屠畜や皮革業の人が被差別民となったのか。それは残酷だからではない。
もともと雨乞いなどの神聖な儀式ができる特別な民だった。儀式を行うことができる、その儀式に付随して牛や馬を殺す手技が含まれていた。雨乞いの儀式が重要でなくなるとともにその集団が穢多などと呼ばれるようになった。なお、特に被差別民と身分づけられたのは江戸時代からで穢多の名もそこからだという。
また、その江戸時代は宿場や街道の警備、犯罪者の捕縛、城の掃除など様々な義務を負荷されていたので、その代償として牛馬の処分は穢多の排他的権利(であり義務)だった。所有者は自分で処分する権利がなかった。
被差別の中には大名や旗本をもしのぐ富を気付いたものも珍しくなかったと。
殺牛、殺馬祭りは本来は動物供犠の儀式であり、神に血と肉を捧げていた。この部分では世界的にも見られる儀式である。しかし少なくとも日本では、それがいつのまにか変遷し、その地で淵などを汚し怒って洗い流そうと雨を降らせることを誘発する儀式に変わった。この変遷には血の穢れという概念が広まったことによる。
本書によく引用されている高田重夫さんは過去に読んだ「日本民俗学の課題」で読んだ論文だった!読みながら、デジャヴを感じていたんだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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