江戸の売春

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  • 河出書房新社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309226705

感想・レビュー・書評

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  • 読了。遊郭というと吉原の華やかな部分に関する資料はよくあるのだけれど、飯盛女や夜鷹に関してはあまり触れられていないことが多いのでこういう本を探していた。
    内藤新宿の発展に、妙法寺参拝にかこつけた買春が一役買っていたとは驚きだった。現在とは感覚が随分と違うので興味深い。

  • 比丘尼は知ってたが舟饅頭は知らなかった、的な面白さ。

  • 武蔵野大学図書館OPACへ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000167490

  • 借りたもの。
    日本の性風俗――売春の文化史。
    すぐ思い浮かべる「吉原」を代名詞とする遊廓(公的)や、非公式の売春宿“岡場所”まで、記録に残っているものを網羅している。

    江戸時代の売春に「悪い偏見や差別は無かった」といえど、決して牧歌的なものではない。
    「火事と喧嘩は江戸の華」が示すように、庶民の娯楽が少なく、それこそ喧嘩、賭博、売春しか無かった。
    また、プライバシーが皆無であった江戸の住宅事情、まぐわいは筒抜けだったことも要因であったと、本書は指摘する。

    つまり「男と女の性を平等で、おおらかに楽しんでいる」ためではなかった。
    詳しくは書かれていないが、花魁たちの性技も、結局は“男を楽しませるもの”でしかなかった模様。
    現代の性風俗からも、その様相が伺える……それは田房永子『男しか行けない場所に女が行ってきました』( http://booklog.jp/item/1/4781612792 )に詳しい。

    移転した吉原があった浅草、新宿や品川など、現在の繁華街が遊郭、岡場所と関連が深い事に、現代人は衝撃を受けるのだろうか。

    読んでいて、売春に限らず、日本の労働環境の根本的な問題も見え隠れするような……
    今、“過労死”“ブラック企業”、セックスワーカーの労働問題が注目され、浮き彫りになりつつある。
    それらは実は江戸時代から既に問題があったのではないか?
    一見、華やかな世界の中で食うに困らない花魁ですら、その労力が凄まじい……それこそ、身を削っている。

    死んだ花魁がどうなるのか……埋葬についてもちょっとだけ言及。
    堕胎や避妊についての言及はなかった……明文化された資料が無いのだろうか?
    樋口一葉『たけくらべ』にも、鬼灯の行があるくらいなのだから、これもまた筆舌に尽くしがたいものがあったと思う。

    さわり程度に、陰間や江戸後期に日本を訪れた海外の反応――もとい、知識人の報告と主たる欧州の同時代の性風俗事情について。
    陰間については、それが今で言うセクシャルマイノリティについてよりも、”女の代わり”としての男色、少年愛の様相が強い印象を受けた。こちらについては竹内久美子『同性愛の謎―なぜクラスに一人いるのか』( http://booklog.jp/item/1/4166608444 )に少し言及がある。

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著者プロフィール

1949年生まれ、97年に『算学奇人伝』で第六回開高健賞を受賞。本格的な作家活動に入る。江戸時代の庶民の生活や文化、春画や吉原、はては剣術まで豊富な歴史知識と独自の着想で人気を博し、時代小説にかぎらず、さまざまな分野で活躍中。シリーズ化した『秘剣の名医』がヒット中。『幕末一撃必殺隊』が『いちげき』(漫画・松本次郎)としてコミック化し、2023年1月NHK時代劇としてドラマ化された。

「2023年 『ご隠居同心』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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