サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

制作 : 柴田裕之 
  • 河出書房新社
4.31
  • (520)
  • (379)
  • (127)
  • (22)
  • (7)
本棚登録 : 5477
レビュー : 425
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309226712

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • ヒトと他の生物を分けるものは、ヒトが創り出す「虚構」にあった。人文科学と自然科学を行き来して、ヒトがどの様に自然界の頂点にのし上がりながら、虚構世界の中で如何に悪戦苦闘しているかを忠実に描く。平易な文章と豊富な具体例も、読者の理解を助ける本書の魅力。

  • 面白かった

  • 上巻読了。

    ホモ・サピエンスが生き延びたのは虚構により協力しあう認知革命があったから。宗教、政治、民主主義、などはすべて客観的なものではなく共同主観的。

    その後の農業革命が人口増加をもたらしたが、個々の人は不幸になった。

    世界の統一に向かう上での要素である貨幣と帝国までで下巻へ。

  • 人類学を面白い視点で書いている。とても視野が広まる。

  • 世界的なベストセラーとなったユヴァル・ノア・サラリ氏のマクロ歴史本である。
    本書は人間が現在の人間たらしめた革命は「認知革命」「農業革命」「科学革命」の3つに分けられる。
    (上巻は主に「認知革命」「農業革命」について述べられている)

    上巻では人類が文化を営み始める歴史前から存在したが「虚構によって見知らぬ人と協力を可能にした」7万年前から人類の営みを他の生物学から切り離し、歴史と呼ぶ。
    国家が虚構である事を言い表したのはベネディクト・アンダーソンだったかだと思うがこのように歴史構造のみを取り出してしかもベストセラーとなり考えが一般に流布される事の意味は大きい。

    そして人類は農耕生活を始める(「農業革命」、一万年以上前)がこれは最も物議を醸す出来事の一つである。子孫繁栄と進歩を手に入れる代わりに多くの物を捨て去ったと言える。人類は小麦に頼り多様な食物から栄養を得ていた狩猟時代と異なった。未来の時間に対する不安が生まれ、想像上の秩序、ヒエラルキーが生まれた。小麦を栽培化するように見れたが逆に小麦が私達を家畜化したと言えるのである。集合的な力の増加が個々の苦しみの上に成り立つ現在社会の源はここを起源にしていると言えよう。

    歴史は統一性に向かっているのか、それとも多様性に向かっているのか短期的な視点では把握は難しいが超長期的視点から見れば統一に向かっている。その時に登場したのが貨幣である。貨幣により「複雑な商業ネットワークと市場の活性化」に貢献したがよって貨幣は見知らぬ人との協力を促進するが人間的なコミュニティを無意識の内に壊してしまっているかもしれない代物なのである。

  • 虚構。

    ホモ・サピエンスが他の人類種を差し置いて、唯一生き残った所以。

    7万年前に起こった認知革命、
    1万2000年前に起こった農業革命から
    5000年前の人類史初の書記体系や貨幣制度等が、大型社会発展にどのように影響を与え生成していったのか。

    本質的客観的長期的な観点で捉えることができる。

  • 内容が強烈だった。虚構を信じることができるから地球の覇者になれたという文脈は新鮮だった。たしかに、全ては虚構、神話に繋がるなと。

  • けして力の強くはないサピエンスがらネアンデルタール人を含む他の動物を駆逐し、反映したのはなぜか?それは、虚構を信じることができたことである。虚構を信じることで、サピエンスの集団は同じ方向に向かって協力できたのである。そして、他の動物からするとサピエンスのその能力は、圧倒的な脅威であった。
    ふと、現代の我々を振り返れば、身の回りはほとんどのもの虚構であることに気がつく。お金も、会社も、宗教も資本主義も。自然なものと虚構的なものを意識するようにしようと思う。

  • ヒトの歴史を文化的側面から紐解いたもの。

    生物学的にであったり遺伝学的であったりは今までにも読んだことがあったがこういうアプローチのものは初めてでとても納得させられる。

    最初の違いの認知革命という想像力こそが猿人からヒトたらしめたというのは、確かにそれが宗教にも繋がり、科学や産業の発展にも繋がり、現在の経済システムにも繋がることを示し、これがものすごく大きいことであったことがよくわかる。

    この認知革命という想像力の発展のせいで今の世界が幸せなのか不幸せなのかを投げかけている。

    その幸せとは何なのかが、また不透明な題材ではあるが。

    これは読んでおいて損はない。

  • (2017.02.20読了)(2017.02.10入手)(2017.02.13・25刷)
    副題「文明の構造と人類の幸福」
    著者は、どんな人なのかと表紙カバーの袖にある紹介文を見ると中世史、軍事史を専攻した歴史学者でした。エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えている。
    考古学や古生物学の専門家ではないのですが、人類の誕生から説き起こして人類史を概観しています。何年も前に世界史を習った人たちには、最近の知見が盛り込まれているので、新鮮で驚きの内容が多々あると思います。
    逆に、考古学・古生物学が好きな方たちには、内容が薄いので物足りないとか、議論が大ざっばの感はぬぐえないと思います。
    農業革命については、多くの人たちにとってはいいことのないものだったと述べています。一生懸命働いても大部分を支配者にもっていかれてしまうし、天候不順で飢饉になったりすれば多くの人が亡くなってしまう。
    狩猟採集の生活のまま継続すればよかったということなのでしょう。
    文字については、事実と数を記録するためにつくられたとしています。シュメールは多分そうだったのでしょう、インカ帝国のキープについても同様の役割だったのでしょう。でも、文字の発明がすべても文明でそうだったのかについて検証する必要があるのではないでしょうか。たとえば、中国の甲骨文字についてとか。
    一方、貨幣の発明を非常に評価しています。貨幣の利便性は確かにすばらしい発明だと思いますが、現代のマネーゲームの弊害についてはどのように考えているのでしょうか。ちょっと見えないところです。
    下巻では、科学革命について述べられるようですが、中世の錬金術や軍事史の面からの見解を聞きたいものです。

    【目次】
    歴史年表
    第1部 認知革命
    第1章 唯一生き延びた人類種
    不面目な秘密/思考力の代償/調理をする動物/兄弟たちはどうなったか?
    第2章 虚構が協力を可能にした
    プジョー伝説/ゲノムを迂回する/歴史と生物学
    第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし
    原初の豊かな社会/口を利く死者の霊/平和か戦争か?/沈黙の帳
    第4章 史上最も危険な種
    告発のとおり有罪/オオナマケモノの最期/ノアの方舟
    第2部 農業革命
    第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇
    贅沢の罠/聖なる介入/革命の犠牲者たち
    第6章 神話による社会の拡大
    未来に関する懸念/想像上の秩序/真の信奉者たち/脱出不能の監獄
    第7章 書記体系の発明
    「クシム」という署名/官僚制の驚異/数の言語
    第8章 想像上のヒエラルキーと差別
    悪循環/アメリカ大陸における清浄/男女間の格差/生物学的な性別と社会的・文化的性別/
    男性のどこがそれほど優れているのか?/筋力/攻撃性/家父長制の遺伝子
    第3部 人類の統一
    第9章 統一へ向かう世界
    歴史は統一に向かって進み続ける/グローバルなビジョン
    第10章 最強の征服者、貨幣
    物々交換の限界/貝殻とタバコ/貨幣はどのように機能するのか?/金の福音/貨幣の代償
    第11章 グローバル化を進める帝国のビジョン
    帝国とは何か?/悪の帝国?/これはお前たちのためなのだ/「彼ら」が「私たち」になるとき/
    歴史の中の善人と悪人/新しいグローバル帝国
    原 註
    図版出典

    ●三つの革命(14頁)
    七万年前、ホモ・サピエンスという種に属する生き物が、文化を形成し始めた。
    歴史の道筋は、三つの重要な革命が決めた。約七万年前に歴史を始動させた認知革命、約一万二千年前に歴史の流れを加速させた農業革命、そしてわずか五百年前に始まった科学革命だ。
    本書ではこれら三つの革命が、人類をはじめ、この地上の生きとし生けるものにどのような影響を与えてきたのかという物語を綴っていく。
    ●ホモ・サピエンス(27頁)
    十五万年前までには、私たちにそっくりのサピエンスが東アフリカに住んでいたということで、ほとんどの学者の意見が一致している。
    東アフリカのサピエンスは、およそ七万年前にアラビア半島に拡がり、短期間でそこからユーラシア大陸全土を席巻したという点でも、学者の意見は一致している。
    ●二重の現実(49頁)
    サピエンスは、認知革命以降ずっと二重の現実の中に暮らしてきた。一方には、川や木やライオンといった客観的現実が存在し、もう一方には、神や国民や法人といった想像上の現実が存在する。
    ●社会の成員(66頁)
    農耕社会と工業社会の成員の過半数は家畜だ。
    ●犬の家畜化(66頁)
    犬はホモ・サピエンスが真っ先に飼い慣らした動物で、犬の家畜化は農業革命の前に起こった。およそ一万五千年前には飼い慣らされた犬が存在していたという、動かしがたい証拠がある。
    ●日本・台湾(88頁)
    人類は、約三万五千年前に日本に、約三万年前に台湾に、それぞれ初めて到達している。
    ●農耕への移行(105頁)
    農耕への移行は紀元前九千五百~八千五百年ごろに、トルコの南東部とイラン西部とレヴァント地方の丘陵地帯で始まった。
    紀元前九千年ごろまでに小麦が栽培植物化され、ヤギが家畜化された。
    私たちが摂取するカロリーの九割以上は、私たちの祖先が紀元前九千五百年から紀元前三千五百年にかけて栽培化した、ほんの一握りの植物、すなわち小麦、イネ、トウモロコシ、ジャガイモ、キビ、大麦に由来する。
    ●農業革命は詐欺(107頁)
    農業革命は、安楽に暮らせる新しい時代の到来を告げるにはほど遠く、農耕民は狩猟採集民よりも一般に困難で、満足度の低い生活を余儀なくされた。狩猟採集民は、もっと刺激的で多様な時間を送り、飢えや病気の危険が小さかった。人類は農業革命によって、手に入る食料の総量を確かに増やすことはできたが、食料の増加は、より良い食生活や、より長い余暇には結びつかなかった。むしろ、人口爆発と飽食のエリート層の誕生につながった。平均的な農耕民は、平均的な狩猟採集民よりも苦労して働いたのに、見返りに得られる食べ物は劣っていた。農業革命は最大の詐欺だった。
    ●神殿の建設(121頁)
    従来の見方では、開拓者たちがまず村落を築き、それが繫栄したときに、中央に神殿を立てたということになっていた。だが、ギョベクリ・テペの遺跡は、まず神殿が建設され、その後、村落がその周りに形成されたことを示唆している。
    ●歴史(132頁)
    農耕民の生みだした余剰分を、王や政府の役人、兵士、聖職者、芸術家、思索家といった少数のエリート層が食べて生きており、歴史書を埋めるのは彼らだった。歴史とは、ごくわずかの人の営みであり、残りの人々はすべて、畑を耕し、水桶を運んでいた。
    ●普遍的原理(140頁)
    ハンムラビもアメリカの建国の父たちも、現実は平等あるいはヒエラルキーのような、普遍的で永遠の正義の原理に支配されていると想像した。だが、そのような普遍的原理が存在するのは、サピエンスの豊かな想像や、彼らが創作して語り合う神話の中だけなのだ。これらの原理には、なんら客観的な正当性はない。
    ●書記(158頁)
    紀元前三千五百年と紀元前三千年の間に、名も知れぬシュメール人の天才が、脳の外で情報を保存して処理するシステムを発明した。
    シュメールが発明したこのデータ処理システムは、「書記」と呼ばれる。
    ●能力(175頁)
    人がある才能を持って生まれても、その才能は育て、研ぎ澄まし、訓練してやらなければ発揮されない。すべての人が、自分の能力を養い、磨くための機会を同じだけ得られるわけではない。
    ●戦争指導者(197頁)
    戦争は、並外れた程度までの組織化や協力、妥協が必要とされる、複雑な事業だ。国内の平和を維持し、国外では同盟国を獲得し、他の人々の考えていることを理解する能力が、たいてい勝利のカギを握っている。
    ●貨幣制度(224頁)
    これまで考案されたもののうちで、貨幣は最も普遍的で、もっとも効率的な相互信頼の制度なのだ。

    ☆関連図書(既読)
    「人類の誕生」今西錦司著、河出書房、1968.03.10
    「人類の創世記 人類文化史1」寺田和夫・日高敏隆著、講談社、1973.09.20
    「入門 人類の起源」R.リーキー著、新潮文庫、1987.06.25
    「世界の歴史01 古代オリエント」杉勇著、講談社、1977.02.20
    「歴史としての聖書」ウェルネル・ケラー著・山本七平訳、山本書店、1958.11.10
    (2017年2月27日・記)
    (「BOOK」データベースより)
    なぜホモ・サピエンスだけが繁栄したのか?国家、貨幣、企業…虚構が文明をもたらした!48カ国で刊行の世界的ベストセラー!

全425件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

ユヴァル・ノア・ハラリ(Yuval Noah Harari)
1976年生まれのイスラエル人歴史学者。専門は世界史とマクロ・ヒストリー。
オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して博士号を取得し、エルサレムのヘブライ大学歴史学部で終身雇用教授として歴史学を教える。軍事史や中世騎士文化についての著書がある。オンライン上での無料講義も行ない、多くの受講者を獲得している。
著書『サピエンス全史』は世界的なベストセラーとなった。2015年にヘブライ語で"Homo Deus: A Brief History of Tomorrow"を出版。その翻訳書『ホモ・デウス』が2018年9月に刊行される。

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福のその他の作品

ユヴァル・ノア・ハラリの作品

ツイートする