- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309227368
感想・レビュー・書評
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我々は、今後不死と幸福、神性の獲得を目標とする。
これまでの世代は、戦争が一時的に行われていない状態を平和と考えていたが、今日、私たちは、戦争が起こりそうもない状況を平和と捉えている。
残念ながら、それは核兵器のおかげだし、富の源泉が金鉱や油田ではなく、知識に変わったからだ!
ラットも心を持つ真実、賢い馬、養豚場の母豚の一生。。。衝撃的な真実を、これほど理路整然と説明できる筆者に、毎回脱帽です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人類の課題リストに入るプロジェクト
①非死への挑戦
②幸福へのカギを見つける
→幸福は、心理的なものと生物学的なものの二つがある。
心理的レベルでは、幸福は客観的な境遇よりもむしろ期待にかかっている。
生物学的レベルでは、幸福は体が感じる快楽物質であり、その快楽は生存と繁殖を促す行為に結びつくため、快楽は束の間しか続かない。
幸福へのカギは、競争でも金メダルでもなく、興奮と落ち着きを適度に組み合わせることかもしれない。真の幸福を獲得するためには、人間は快楽の追及に鞭を入れるのではなく、それにブレーキをかけるべきだ。
③神になろうとする
→サイバーテクノロジー、サイボーグ工学、無機物の製造
我々は未知への歩みを止めない。それは現在のシステムが複雑になりすぎて、誰も止め方を知らず、それにもし仮に誰かがブレーキを踏んだとしたら、経済と社会が崩壊する。
我々は脳とコンピュータをつなげられたら、それを統合失調症の治療だけに使うだろうか?いや、必ずその先の、「健常者をアップグレード」するほうに、力を使う。新しいテクノロジーの利用を、治療目的には制限できないだろう。
社会の変動のために多くの知識を蓄積しようとすると、ますます早く大きな変動を生み出す。
科学は未来を予測するためだけのものではなく、視野を拡げるものであり、それによって新しい未知の未来を切り開いてくれるものだ。今の世界は過去からの偶然の出来事の積み重ねにすぎず、過去から自らを解放し、未来は変えることができる。
生き物は全てアルゴリズムによって動いている。感覚、情動、欲望といった精密なアルゴリズムだ。
これは人間以外のあらゆる動物にも備わっている。(母親と幼児の絆)
【心】
魂の存在は進化論と両立しえない。進化は変化であり、永久不変のものを生み出すことはできない。
脳の電気信号の集まりが、どうやって怒りや悲しみと言った主観的経験を生み出すのかは、不明である。
脳で処理された情報はシナプスやニューロンを通じて身体の器官に送られるが、脳で起こらないことで、心で起こることはあるか?それがあるのなら、どのように起こるのか?無いのなら、何故我々は主観的経験(心)を必要とするのか?
動物には意識があるのかないのか?意識的な記憶や計画なのか、非意識的アルゴリズムなのかは、証明が難しい。
われわれ人間が何故他の動物と違い、世界を征服できたのかと言えば、人間が大勢で柔軟に協力できる地球上で唯一の種だからである。これは世界における革命でもそうである。現政権を民衆が団結して倒すが、その後民衆の中には効率的に協力できるだけの組織が無く、最終的に軍か教団の手に政権が渡る。
歴史は共同主観的な意味のウェブを織り返し、心の底からそれを信じるが、遅かれ早かれそれはほどけ、全く理科不能なものとして後世に映る。
21世紀の間には、自分の将来を知りたければ、ゲノムの解読や計算を行ったりするだけでは不十分であり、この世界に意味を与えている虚構を読み解くことも、絶対に必要だ。
物語は道具にすぎない。物語は虚構であり、これを目標や基準にするべきじゃない。
宗教は迷信や超自然的な力だけではなく、人間の法や規範や価値観に超人的な正当性を与える物語なら、全て宗教だ。
科学は倫理的な議論に多く貢献できるが、少なくとも今のところは、科学には超えられない一線がある。何らかの宗教の導きがなければ、大規模な社会的秩序を維持するのは不可能であるし、宗教は科学の方針と利用法に影響を与える。
宗教は秩序に関心があり、科学は力に関心がある。相容れないように見えるが、両者は相性がいい。そのもその、両者は共に真理を追い求めると思われているが、それは霊的な旅であり、宗教や科学の主流の中にはめったに収まりきらない。 -
頭がいい人が人間について色々考えた本
なるほどと思うところも多かった
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サピエンスはこれこらどうなるのかな。
進化はゆっくりと環境、生物とのつながりの中から変化していくものだけと、サピエンスは自ら環境、生物を変えてきている。下巻を楽しみにしみよう。 -
人間は21世紀にガチの神になれる!
これから人類が目指すのは人の神へのアップデートだ。なぜそう言えるかには、3つの理由がある。
★古代の人々が信仰していた神々の能力を、科学の力で現代人は今まで手に入れてきた。(◯◯神が作物を実らせる。→現代は科学の力で作物を実らせれる。)
★人間中心主義による人間だけの特別視。その他の動物を家畜とみなすこと。 環境が破壊されようが、他の動物が苦しもうが知ったこっちゃないという考え。
★死を最も恐れている。 宗教も科学も経済も政治も死に関係する内容が最も重要視されている。大昔から死の問題が最大だった。
これらから、21世紀の人類は神を目指すのは間違いない。
しかしこういった予測を正確にすればするほど、その予測を知った人達の行動によって未来は変えられてしまう。
著者は未来を変えるために本を書いたのだ。 -
「サピエンス全史」が人類の過去なら、「ホモ・デウス」は未来。
人類至上主義からデータ至上主義になったら、幸せはどう定義されるのだろう。どう定義するべきなのか。
相変わらず読み応えのある本。以下は備忘録で、気になったとこ。
・エピクロスによれば、神々の崇拝は時間の無駄であり、死後は存在せず、幸福こそが人生の唯一の目的である。
・快感は刹那的であり、それを渇望する限り満足することはないという点で仏教の幸福観と生化学的な見方は共通する。生化学的な解決策は快感を絶えず共有すること、仏教の解決策はそもそも快感を望まないこと。
・芝生は富裕の象徴。貧民はメンテナンスできない。
・社会を形成する上で、虚構(物語)は欠かせない。ただ、物語は道具に過ぎず、目標や基準にしてはいけない。私達は物語が虚構であることを忘れたら現実を見失ってしまう。すると、「企業に収益をもたらすため」「国益を守るため」に戦争を始めてしまう。
・人間至上主義の世の中では「自分がどう考えるか」が重要となる。
・人間至上主義の人生における最高の目的は、多種多様な知的経験や情動的経験や身体的経験を通じて知識をめいっぱい深めること。
・自由意志は存在するのか。意志とは突き詰めれば脳髄の電気信号であり、ラボでラットに電気信号を与えて持たせたものは意志なのか。 -
ユヴァル・ノア・ハラリさんの書く本が好きすぎる。
歴史を好きになるきっかけをくれたひと。 -
「飢饉、疫病、戦争」は人類を苦しませ続けてきた。現在、人類はそれらをほぼ抑え込みつつある。人類が取り組むべき課題はそれらの克服ではなくなった。
これからの千年、人類は「至福、不死」を追い求める可能性が高い。それを現在のバイオテクノロジーが強く後押しする。そのテクノロジーはこれまで数千年変わることのなかった人間の心と体を作り直す。
ホモ・サピエンスはホモ・デウス(神)にアップグレードされる。変化は徐々に起こるが、ホモ・デウスが何をやりかねないかは、ホモ・サピエンスの我々には予測困難だ。
本書はホモ・デウスの登場の予言を目的としていない。
予測を立てることで現在の人類が何を達成しようとしているか考察している。そして学問を横断しながら人類の選択の変化を期待している。
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ホモサピエンス全史よりはいまいち論旨がまとまっていない印象を受けるが、科学と宗教は対立構造にあるイメージが強いが、実は表裏一体の関係である、という話あたりがおもしろかった。