ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来

制作 : 柴田裕之 
  • 河出書房新社
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レビュー : 149
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309227368

感想・レビュー・書評

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  • サピエンス全史は過去、この本は未来についてということだけど、半分はサピエンス全史と内容は大きく変わらないように感じる。だけど相変わらずべらぼうに面白い。
    飢餓、疫病、戦争を克服しつつある人類は種としては不死と至福と神性を目指す。マルクスの予測もそうだが、予測がその結果に影響を与える。芝生の小史。進化論が恐れられるのは魂、心の存在が説明できなくなり、人間の特別性を説明できなくなるから。意味のウェブ、歴史を学ぶことはそんなウェブが張られたりほどける様子を見て意味が意味を持たなくなることを学ぶこと、アフリカの国境のように、フィクションが現実を上回ることがある。

  • "こうしたことすべて理解するためには過去を振り返り、ホモ・サピエンスとはいったい何者か、人間至上主義はどのようにして支配的な世界宗教になったのか、人間至上主義の夢を実現しようとすれば、なぜその崩壊を引き起こす可能性が高いかを詳しく調べてみる必要がある。それが本書の基本的構想だ。"

  • 人類と文明の進化を大きな視点から概観し、これから人類が情報テクノロジーの発達によってどうなっていくかまでを考えた大著。
    著者がイスラエルの人で、なおかつ英オクスフォード大学で学んだ人ゆえ、古代から現代を出来るだけ文化バイアスを入れずに横断的に見ようとしている。歴史を学ぶことによって、あらゆる宗教や教義の台頭や変遷をニュートラルに眺めようとする知性には、読んでいてこれが最新の知的態度なのかと感心する。

    もちろん、西欧的文明観も例外ではなく、ヨーロッパ諸国の植民地政策による他文化、多民族の侵略支配や、帝国主義、ファシズム、共産主義、消費文明社会等に対してはむしろ被支配者側に立って批評しており、ピリリと小気味良い。

    さて未来はどうなるのか。情報テクノロジーがどんどん進化し、人間が考えたり回したりするよりも正確に効率よく出来ることが増える。そうすると便利だし楽だしで人間はそれにお任せすることが多くなり、機械に頼んだ方が自分がやるよりいいやということになる。結果、怠け者になって自分で考えたり作業したりすることが減る(炊飯器ができた後は誰も火を起こしてご飯を炊かないし、その方法も分からなくなってしまうのと同様)
    それで浮いた時間で有意義な活動をすれば良いが、たいがいの人間は楽しくて楽な暇つぶしばかりしてぼーっとしてしまうだろう。今だってみんな動画やゲームばかりしているし。
    何でもお任せ、楽で快適な人生、なら良いのだが、何から何までお任せで物を考えることもしないダメ人間が増え、批評的に考えたり、物事の裏表を考えたり、人の気持ちを予測したり、損得度外視で働くといった力がなくなり、気がついたら目先のプロパガンダに簡単に乗っかる単細胞になって「1984年」のようなディストピアが生まれてしまうかもしれない。主体的に考えようとするとアラームが鳴って思想警察につかまってしまうような世の中にもなりかねない。

    これだけ科学や技術が進歩しても貧困や紛争や富の分配の不平等はなくならない。繊細な情緒や細かい手仕事の技術などはむしろ衰えている気がする。
    そしてパートナー選び、出産、育児、家事とか、学校教育、職業選択、働き方、老後生活など、目先の身近な面倒くさいもろもろは一向に改善されてない。

    とてもやんわりとしか描写していないけれど、著者はグーグルに代表されるIT知性の凄まじい進化や、テクノロジーサービスがどんどん人の生活や人生に侵食する(しかも知らない間に)ことにかなりの危惧を感じているようだ。

    ホモ・デウスを書いた著者自身が、瞑想をしたり、森を散歩したりしてインスピレーションを得たという。
    あとがきで、アドバイスをくれたりリサーチを手伝ってくれる友人や、生活全般を回してくれる家族、ペットのワンちゃん達との愛情あふれるコミュニケーションに感謝していて、この人意外とアナログな人生楽しんでるじゃん?と微笑ましく思った。










  • サピエンスの未来を述べるために、演繹的に語っています。「サピエンス全史」の流れに沿っていますが、流れの中に宗教を主軸においてきました。また、科学は宗教の対立項ではなく意外と相性が良いと指摘します。この先の展開を垣間見せる部分ですね。心と意識の話など、哲学的・倫理的な論述が展開されていて、日頃使っていない思考というものを非常に要求されました。下巻に向かいます。

  • 飢餓と疫病と戦争を克服した人類は不死と至福と神性を目指す。

  • 前作から続く期待通りの内容。最後の方の宗教について論じた部分はちょっとわかりにくいけど、全般的には論点が明確でうまく出来ている。中盤には、まんま、映画「マトリックス」が立脚したポイントにも言及されていて興味深い(「フレーズ」参照)。

  • 飢餓・疫病・戦争を克服しつつある世界が
    次に向かう先は何処か。

    意識が神経ネットワークが生み出した「心的汚染物質」であるということが生命科学の現段階での最高の仮説であるという一節が凄く印象的でした。
    合理を突き詰める科学にとっては、
    時に混沌となる意識や感情といたものは
    ノイズのようなもの、なんでしょうか。

  • 「飢餓と疫病と戦争をほぼ克服した現代」の”ほぼ“にすごく引っかかるんだけど、そこにこだわらないのがこの本の大前提。うーん、でもなあ。
    んで、21世紀の人類が次に目指すは「不死と幸福と神性」と。タイトルはこの“神性”から来てるのね。思ってたより平易な文章で、比較的引用も少なめなので、ドンドン読める。2段組で一冊でも良かったんじゃない?(笑)

  • 歴史を根拠に引用しながら論を進めている点がこの本の説得力を増している。

  • 科学と宗教の相性のくだりは、自分の考えの浅さを思い知らされた。
    なかなか骨太の内容で、読み進めるのが遅く、全体を掴みづらかった。つらい。
    検証できないことを、分解して検証可能にしていく話は面白い。

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著者プロフィール

ユヴァル・ノア・ハラリ(Yuval Noah Harari)
1976年生まれのイスラエル人歴史学者。専門は世界史とマクロ・ヒストリー。
オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して博士号を取得し、エルサレムのヘブライ大学歴史学部で終身雇用教授として歴史学を教える。軍事史や中世騎士文化についての著書がある。オンライン上での無料講義も行ない、多くの受講者を獲得している。
著書『サピエンス全史』は世界的なベストセラーとなった。2015年にヘブライ語で"Homo Deus: A Brief History of Tomorrow"を出版。その翻訳書『ホモ・デウス』が2018年9月に刊行される。

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