- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309227818
感想・レビュー・書評
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図録で、かなり良いデキであると思う。比較神話学の話が最後の方に出てくるが、こういう横断的研究、総合的な発表と展示が成されることによって、これは〇〇独自であるとか、これはオリジナルであるとか、そういう粗雑な議論をなくし、違いを見極めるフィルターを高めてくれる本になっている。怪異について調べたり、書いたりする人間にとっては必携のアイテムだろう。ベトナムの水上人形劇の鳳凰や不死鳥も載っていて、本当に細やかで凄まじいコレクションと網羅っぷりである。大傑作だ。
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国立民俗学博物館監修。
表紙からもう「上質の知識を貴方に」って感じ。
タイトルから想像して鳳凰とか麒麟とか人魚やカッパのミイラとか?そういうのを鮮明な写真とともに眺められたら楽しそうー と借りてきましたが本編が始まる前の導入部からすでに面白かったです。
まず「驚異」
「驚異することによって人間は知恵を愛求する(哲学する)ことをしはじめる」と、アリストテレスの言葉を引用しながら驚異から疑念、疑念から無知自覚、無知自覚から科学的哲学的探究の起点に立つことが「快」に繋がるとしている。
でも、近世から近代にかけての西洋近代的理性の猛威が科学的に証明できないことを「超常現状」つまりオカルティーなことに閉じ込めちゃったよねと。でそれで終わり?ノンノン。科学から閉め出された驚異は娯楽になったのよ。(知と快の分離)
まずここで半分準備させられるわけです。
次は「怪異」
元々は中国の言葉。王朝滅亡時などに起きる怪異現象は天からの「警告」。
但し天照大御神の子孫が統治する日本では天はもうちょっと身近な存在。怪異現象は天からの「予告」。まずは占い部隊が怪異かどうか見極めてそこでこれはそうですねとなれば天皇が何らかの対処をして内乱飢饉大洪水などは「回避」される。
時代が下るとそういった行政システムは薄れて市民文化の中で娯楽として受け入れられたと。
なるほど。ここで残りの半分の準備完了。
本編は水、天、地。聞く、見る、知る、創るなどに分類されて紹介されていきますが、写真は想像通り鮮明で解説も楽しい。
印象に残ったものは
カブトガニの精霊(マレーシア)
そりゃまぁ龍とか人魚だけじゃないし、タコやナマズがあるならカブトガニの精霊もいそうなもんではあるけれど。でも立ち上がらせるのは何故。
伏せでいいじゃん。
ジュゴンの肉塊の木彫り(オーストラリア)
余った木っ端に彩色しただけじゃない?たまたま
セイレーン(マミワタ)と蛇(コンゴ民主共和国)
ペンダント時計電話。今にも襲ってきそうな大蛇にわざと腕を取らせても本人(マミワタ)は電話の方が大事な様子。いや電話すらも上の空か。
バンバと天使(セネガル)
セネガルの民族衣装を着た天使。天使を含めて登場人物は4人。但し最も大きく中央に描かれるのは知性と落ち着きを感じさせる雄のライオン。
想像力無尽蔵かよ。
鷲の王ジャタユ(インドネシア、元はインド)
「2人はどちらがより高く飛べるか競い合ううちに太陽に近づきその炎に焼かれそうになるが、翼を広げて弟を庇った兄は翼を失い地上に」
人間って同じような話考えつくんだねぇ。(ここでは兄弟だし2人とも神だけど)
悪魔の仮面(メキシコ、ドミニカ、プエルトリコなど)
素晴らしいデザイン。そのまんまヒーローモノの怪人に使えそう。ただこういった仮面ってツノつけたり色々やるんだけど目鼻口の「位置」が変えられないのね。仮面だから。これを変えたらもっと怖くなるんだけどなー。
蜘蛛、イナゴ(メキシコ)
めっちゃ怖い。
大入道(三重県四日市市)
これの解説が一番おもろかった。
大入道に化ける古狸。退治のために作ったからくり人形。「いわばゴジラ退治に作られたメカゴジラ」なるほど。背が伸びる大入道がいつのまにか首が伸びる方にシフトしていくのもいい。
猫鬼(福島県いわき市)
ツノの数が1(野鬼)から2(幽鬼)、3(空鬼)、ツノなし(天鬼)。天鬼はほぼ神と同じで姿を現さず、どのレベルからでも成り上がるチャンスあるので猫鬼は修行に励む。
てかツノなしの猫鬼はもう猫なんよ。
福島の人のセンスを感じる鬼。
いやーさすが国立民俗学博物館。
2700円?
もっと取っていいですよ。 -
古今東西の想像上の異径のいきものを集成。国立民族学博物館特別展「驚異と怪異――想像界の生きものたち」公式図録。(アマゾン紹介文)
来た見た買った。
博物館の展示となると、どうしても資料的に説明もしやすくそもの量も多いヨーロッパ・アジア圏が多い印象なんだけど、そこは流石に民俗博物館、アフリカや南米アメリカも網羅されている。珍しくてとても楽しい。
それにしても、人魚や竜の普遍性ってなんなんだろう。一分野だけでも詳細に追っている資料をあたってみようかな。 -
2019年に大阪で開催された同名の展示会の図録。世界中から集められた怪異な生き物が収められている。プリニウスの「動物誌」などの出てくるようなものを期待していたけど、近現代まで含めた世界から幅広く集めたもので、これはこれで面白い。
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国立民族学博物館で2019年に行われた特別展の図録。人魚や蛸の怪物など、想像上の生き物の中には海の生き物も多数いますね。
YouTubeの特別展紹介映像:
https://youtu.be/d6jmJrOoj4I
所蔵情報:
品川図書館 388/Y34
越中島図書館 388/Y34 -
美麗な写真で怪異と触れあう。こんなもの日本だけだろうといったモチーフが外国でにもあったり、その逆も然り。終盤でFF15が紹介されたのには笑ってしまった。
国立民族学博物館の作品





