千のプラトー: 資本主義と分裂症

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (668ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309241517

感想・レビュー・書評

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  • 唯物史観や進化論を、アレンジメントという視点から破壊し、再構成する。様々な分野における逃走線の所在を確認し、平滑空間への道しるべを描く。彼らの理想とする器官なき身体の社会は想像もつかないが、妄言として切り捨てられない、魔力がある。少なくとも二項対立を生み出すだけの左派的言論より、遥かに壮大な選択肢を提示しているように思える。

  • 気になった章からランダムに読んでいる。
    半分くらいわからないけれど半分はわかる。何より、いろんな例が出てきて読んでいて楽しい。
    今のところわかるのは、精神分析の安易なメタファーが批判されていること。
    そして、とても東洋的な本であるということ。
    人間が一個人という単位で必ずしも数えられる必要はないということ。
    生成変化とは「自分だけ」が変わるだけでは成し遂げられないということ。例えば人間が蟻に生成変化するには、蟻もまた人間に生成変化せねばならないということ。

  • なかなか読めなかった本だが、仲正さんの入門講義を読みながら、時々参照した。

    多分、全部読むことはないだろう。

    でも、少し全体像が見えてきた感じもあるので、第10プラトー以降の議論が面白そうで、もうちょっとつまい読みするかも。

  • 千のプラトー―資本主義と分裂症
    (和書)2010年09月28日 23:22
    1994 河出書房新社 ジル・ドゥルーズ, フェリックス・ガタリ, 宇野 邦一


    「アンチ・オイディプス」を先に読んだ方が良かったかも。

    他のことを考えながら読むと頭が冴えてくる。余分な思考が無くなるという点で稀有な名書と言えるかも。

    何故余分な思考が起こらないか考えるのも有益と思う。これからの課題。

    プルースト「失われた時を求めて」を読みたくなった。古本屋で全巻買ってある。いつ読むか?

  • なぜドゥルーズが人気なのかよくわからない本だった。いや、こんなフォグボックス(ブラックではなくて、霧がかかったようなよくわからない文の羅列)があれば、ここから好きなものを読み取れるから、「あのドゥルーズもこう言ってる」と権威付けできるかもしれない。その点では、おそらくノストラダムスの大予言と同じようなほんと言えるし、この本を使って何か語っている人もそういった類の人なのかなー、なんて考えながら読みました。 ただ、読書体験としては、すごく苦労するものの(知性と理性を停止させて、読まないといけないから)、それをのぞけば面白いところもちょこちょこありました。

  • 今だ通して読んだことはない。
    ぽつぽつと拾い読みした程度。そのうち通読してみたいと思っている。
    この本のあちこちでカルロス・カスタネダが引用されていて、興味を持っていた。
    今読んだら結構気に入るんじゃないかな。
    ちなみに原書も持っています。

  • 【目次】

    緒言

    1. 序──リゾーム
     根、側根、リゾーム──本の諸問題──〈一〉と〈多〉──樹木とリゾーム──地理的方向、東洋、西洋、アメリカ──樹木の外──プラトーとは何か

    2. 一九一四年──狼はただ一匹か数匹か
     神経症と精神病──多様態の理論のために──群れ──無意識と分子的なもの

    3. BC一〇 〇〇〇年──道徳の地質学(地球はおのれを何と心得るのか)
     地層──二重文節(切片性)──地層の統一性を作り出すもの──環境──一つの地層の多様性。形式と実質、上位層と傍層──内容と表現──処地層の多様性──モル状と分子状──抽象機械とアレンジメント。 それらの状態の比較──メタ地層

    4. 一九二三年十一月二〇日──言語学の公準
     指令語──間接話法──指令語、行為、非身体的変形──日付──内容と表現。両者の場合の変数──アレンジメントの側面──定数、変数、連続変化──音楽──スタイル──メジャーとマイナー──生成変化──死、迷走、形象、変身

    5. BC五八七年、AD七〇年──いくつかの記号の体制について
     専制的なシニフィアン的体制──情念的な主体的体制──二つの錯乱と精神医学の問題──ユダヤの民の古代史──逃走線と預言者──顔、方向転換、裏切り──〈書物〉──主体性のシステム。意識、情念、〈分身〉──夫婦権かと事務室のいさかい──冗長性──脱領土化の形象──抽象機械と図表──発生的、変形的、図表的、機械状

    6. 一九四七年十一月二八日──いかにして器官なき身体を獲得するか
     器官なき身体、波動、強度──卵──マゾヒズム、宮廷愛、〈道(タオ)〉──地層と存立平面──アントナン・アルトー──慎重さのテクニック──三つの〈身体〉の問題──欲望、平面、選択、編成
     
    7. 零年──顔貌性
     ホワイト・ウォール[白い壁]、ブラック・ホール[黒い穴]、顔貌性抽象機械──身体、頭部、顔──顔と風景──宮廷愛小説(ロマン・クルトワ)──脱領土化の定理──顔の社会的機能──顔とキリスト──顔の二つの形象。正面、横顔、背け合い──顔を解体する

    8. 一八七四年──ヌーヴェル三編、あるいは「何が起きたのか?」
     ヌーヴェルとコント。秘密──三本の線──切断、亀裂、断絶──対、分身、地下潜行者

    9. 一九三三年──ミクロ政治学と切片性
     未開および文明化の切片性──モル状および分子状の切片性──ファシズムと全体主義──切片をもつ線、量子をもつ流れ──ガブリエル・タルド──群衆と階級──抽象機械。突然変異と超コード化──権力の中心とは何か──三通りの線とそれぞれの危険──恐怖、明晰さ、権力、死

    10. 一七三〇年──強度になること、動物になること、知覚しえぬものになること・・・・・・
     生成変化──魔術の三つの側面。多様性、変則者あるいは局外者、変換──固体化と〈此性〉。夕べの五時・・・・・・──経度、緯度、 存立平面──二つのプランあるいはウランについての二つの考え方──女性への生成変化、子供への生成変化、動物への生成変化、分子状生成変化。近傍域──知覚しえぬものへの生成変化──分子状知覚──秘密──マジョリティ、マイノリティ、マイナー性──生成変化のマイナー性と非対称性。二重の生成変化──点と線、記憶と生成変化──生成変化とブロック──点状システムと多線状システムの対立──音楽、絵画、生成変化──リトルネロ──脱領土化の定理、続き──生成変化対模倣

    11. 一八三七年──リトルネロについて
     暗闇で、わが家で、世界へ向かって──環境とリズム──立札と領土──スタイルとしての表現。リズムの顔、メロディーの風景──鳥の鳴き声──領土性、アレンジメント、相互的アレンジメント──領土と大地、〈生まれ故郷〉、存立性の問題──機械状アレンジメントと抽象機械──古典主義と環境──ロマン主義、領土、大地、民衆──近代芸術と宇宙──形相と実質、緒力と素材──音楽とリトルネロ、大いなるリトルネロ

    12. 一二二七年──牧歌論あるいは戦争機械
     国家の二つの極──戦争機械の外部性と還元不可能性──戦士──マイナーとメジャー。マイナー科学──団体と団体精神──思考、国家、牧歌論──第一の側面。戦争機械と牧歌空間──宗教──東洋、西洋、国家──第二の側面。戦争機械、人間の編成、遊牧数──第三の側面。戦争機械と遊牧民の情動──自由活動と労働──アレンジメントの性格。道具と記号、武装と装身具──冶金術、移動、遊牧生活──機械状統流と機械系統──平滑空間、条理空間、多孔空間──戦争機械と戦争。関係の複雑さ

    13. BC七〇〇〇年──捕獲装置
     旧石器時代の国家──原子的集団、都市、国家、世界的な組織──先取りする、祓いのける──「最後の」一言の意味(限界効用節)──交換とストック──捕獲。土地所有権(地代)、税制(税)、公共事業(利益)──暴力の問題──国家と形態と〈権利〉の三つの時代──資本主義と国家──服従と奴隷──公理系とその問題

    14. 一四四〇年──平滑と条里
     技術的モデル(繊維製品)──音楽モデル──海洋モデル──数学モデル(多様性)──物理学モデル──美学モデル(遊牧民芸術)

    15. 結論──具体的規制と抽象機械

    原註
    解説
    人名索引

    *****

  • 【目次】

    緒言

    1. 序──リゾーム
     根、側根、リゾーム──本の諸問題──〈一〉と〈多〉──樹木とリゾーム──地理的方向、東洋、西洋、アメリカ──樹木の外──プラトーとは何か

    2. 一九一四年──狼はただ一匹か数匹か
     神経症と精神病──多様態の理論のために──群れ──無意識と分子的なもの

    3. BC一〇 〇〇〇年──道徳の地質学(地球はおのれを何と心得るのか)
     地層──二重文節(切片性)──地層の統一性を作り出すもの──環境──一つの地層の多様性。形式と実質、上位層と傍層──内容と表現──処地層の多様性──モル状と分子状──抽象機械とアレンジメント。 それらの状態の比較──メタ地層

    4. 一九二三年十一月二〇日──言語学の公準
     指令語──間接話法──指令語、行為、非身体的変形──日付──内容と表現。両者の場合の変数──アレンジメントの側面──定数、変数、連続変化──音楽──スタイル──メジャーとマイナー──生成変化──死、迷走、形象、変身

    5. BC五八七年、AD七〇年──いくつかの記号の体制について
     専制的なシニフィアン的体制──情念的な主体的体制──二つの錯乱と精神医学の問題──ユダヤの民の古代史──逃走線と預言者──顔、方向転換、裏切り──〈書物〉──主体性のシステム。意識、情念、〈分身〉──夫婦権かと事務室のいさかい──冗長性──脱領土化の形象──抽象機械と図表──発生的、変形的、図表的、機械状

    6. 一九四七年十一月二八日──いかにして器官なき身体を獲得するか
     器官なき身体、波動、強度──卵──マゾヒズム、宮廷愛、〈道(タオ)〉──地層と存立平面──アントナン・アルトー──慎重さのテクニック──三つの〈身体〉の問題──欲望、平面、選択、編成
     
    7. 零年──顔貌性
     ホワイト・ウォール[白い壁]、ブラック・ホール[黒い穴]、顔貌性抽象機械──身体、頭部、顔──顔と風景──宮廷愛小説(ロマン・クルトワ)──脱領土化の定理──顔の社会的機能──顔とキリスト──顔の二つの形象。正面、横顔、背け合い──顔を解体する

    8. 一八七四年──ヌーヴェル三編、あるいは「何が起きたのか?」
     ヌーヴェルとコント。秘密──三本の線──切断、亀裂、断絶──対、分身、地下潜行者

    9. 一九三三年──ミクロ政治学と切片性
     未開および文明化の切片性──モル状および分子状の切片性──ファシズムと全体主義──切片をもつ線、量子をもつ流れ──ガブリエル・タルド──群衆と階級──抽象機械。突然変異と超コード化──権力の中心とは何か──三通りの線とそれぞれの危険──恐怖、明晰さ、権力、死

    10. 一七三〇年──強度になること、動物になること、知覚しえぬものになること・・・・・・
     生成変化──魔術の三つの側面。多様性、変則者あるいは局外者、変換──固体化と〈此性〉。夕べの五時・・・・・・──経度、緯度、 存立平面──二つのプランあるいはウランについての二つの考え方──女性への生成変化、子供への生成変化、動物への生成変化、分子状生成変化。近傍域──知覚しえぬものへの生成変化──分子状知覚──秘密──マジョリティ、マイノリティ、マイナー性──生成変化のマイナー性と非対称性。二重の生成変化──点と線、記憶と生成変化──生成変化とブロック──点状システムと多線状システムの対立──音楽、絵画、生成変化──リトルネロ──脱領土化の定理、続き──生成変化対模倣

    11. 一八三七年──リトルネロについて
     暗闇で、わが家で、世界へ向かって──環境とリズム──立札と領土──スタイルとしての表現。リズムの顔、メロディーの風景──鳥の鳴き声──領土性、アレンジメント、相互的アレンジメント──領土と大地、〈生まれ故郷〉、存立性の問題──機械状アレンジメントと抽象機械──古典主義と環境──ロマン主義、領土、大地、民衆──近代芸術と宇宙──形相と実質、緒力と素材──音楽とリトルネロ、大いなるリトルネロ

    12. 一二二七年──牧歌論あるいは戦争機械
     国家の二つの極──戦争機械の外部性と還元不可能性──戦士──マイナーとメジャー。マイナー科学──団体と団体精神──思考、国家、牧歌論──第一の側面。戦争機械と牧歌空間──宗教──東洋、西洋、国家──第二の側面。戦争機械、人間の編成、遊牧数──第三の側面。戦争機械と遊牧民の情動──自由活動と労働──アレンジメントの性格。道具と記号、武装と装身具──冶金術、移動、遊牧生活──機械状統流と機械系統──平滑空間、条理空間、多孔空間──戦争機械と戦争。関係の複雑さ

    13. BC七〇〇〇年──捕獲装置
     旧石器時代の国家──原子的集団、都市、国家、世界的な組織──先取りする、祓いのける──「最後の」一言の意味(限界効用節)──交換とストック──捕獲。土地所有権(地代)、税制(税)、公共事業(利益)──暴力の問題──国家と形態と〈権利〉の三つの時代──資本主義と国家──服従と奴隷──公理系とその問題

    14. 一四四〇年──平滑と条里
     技術的モデル(繊維製品)──音楽モデル──海洋モデル──数学モデル(多様性)──物理学モデル──美学モデル(遊牧民芸術)

    15. 結論──具体的規制と抽象機械

    原註
    解説
    人名索引

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  • 2010.02.21 日本経済新聞「活字の海で」で紹介されました。

  • 雑誌・文藝(2009年冬)のアンケートの答え:安藤礼二
    近代的な表現のリミットを確定してしまった本

    『千のプラトー』というタイトルは人とも物とも無関係な固体化の様態をあらわしているのです。-『記号と事件』ドゥルーズ

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著者プロフィール

(Gilles Deleuze)
1925年生まれ。哲学者。主な著書に、『経験論と主体性:ヒュームにおける人間的自然についての試論』『ベルクソニズム』『ニーチェと哲学』『カントの批判哲学』『スピノザと表現の問題』『意味の論理学』『差異と反復』『ザッヘル゠マゾッホ紹介:冷淡なものと残酷なもの』『フーコー』『襞:ライプニッツとバロック』『フランシス・ベーコン:感覚の論理学』『シネマ1・2』『批評と臨床』など。フェリックス・ガタリとの共著に、『アンチ・オイディプス』『カフカ:マイナー文学のために』『千のプラトー』『哲学とは何か』など。1995年死去。

「2021年 『プルーストとシーニュ〈新訳〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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