殺して忘れる社会---ゼロ年代「高度情報化」のジレンマ

著者 :
  • 河出書房新社
3.21
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本棚登録 : 93
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309245317

作品紹介・あらすじ

ネット社会とリアル社会の軋轢、マスメディアの没落、多様化せず格差が拡大する社会、最新の科学技術に踊らされる人々…高度情報化社会の中で私たちが「殺し」「忘れ」去った数々の事象に気鋭のジャーナリストがズバリ切り込む社会評論集。

感想・レビュー・書評

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  • 「殺し」「忘れる」社会は、「許し」「育てる」ことができない。

    他者の存在の軽さと、当事者意識の欠如により、人を社会的排除に追い込んでしまうプロセスの説明に、納得してしまいました。

    裏を返せば、当事者意識を持ち、互いに顔の見える関係になれば、今の状況は打破できるということ。
    現状を認識して、取り組めば、よりいい形で実践を行えるのではないかと思いました。

    普段はこのジャンルの本はあまり読まないのですが、タイトルに心惹かれて読んでしまいました。
    私は主観的になりがちなので、たまにはこういった本を読むことも大切だな、と思いました。

  • 社会

  • 殺して忘れる社会---ゼロ年代「高度情報化」のジレンマ

  • 新聞や雑誌に掲載された武田氏によるメディア、核、ジャーナリズム、社会問題の評論集。日本は「殺して忘れる社会」で、アメリカのコロンバイン高校の銃乱射事件と日本社会を比較し、日本は「赦す」ことが出来ない社会とする。著者が無関心の領域を無くそうとする努力には感銘を受けたし、実際この本の領域は広い。最後に偉大な米ジャーナリストのハルバースタムの「ジャーナリストは歴史家でもあるべき」という言葉はジャーナリストだけでなく、ひとりひとりが歴史に向き合う大切さを教えてくれたのではないだろうか。

  • ジャーナリズムやメディアに関する本。
    新聞に掲載されていた物のまとめなので、出てくる話題がちょっと古い感じがするけど、考え方としては今にも通ずるものがある。
    天災と人災の話は今の原発の問題にも当てはまるし、メディアについては現在のソーシャルメディアでの情報共有についても考えさせられる。

  • 武田さんが産経新聞の夕刊に執筆したコラム集、相変わらずこ難しい文章表現が読み辛いと思うけど、死に顔のケータイ撮影の是非、オリコン裁判」など面白い観点からの問題提起もいくつかあった。しかし、どーでもええやんというトピックも多く、この人の真価は圧倒的取材量に裏打ちされた大作ルポにこそ発揮されるのではないかと感じた。

  • 立ち読み:2011/10/1

    タイトルとカバーだけで手に取ってしまった。「絶対手に取るだろうと思った」と人に言われてしまった。

    テレビは持っていないし新聞もたまにしか読まないから、ネットのニュース報道やまとめサイトぐらいしか知らないけれど、叩ける相手(犯罪者、スキャンダルを起こした芸能人、P2Pなどで流出させられた人(特に自分で流出させたわけでもない女性…))を見つけた時の叩き方・かみつき方、食らいついたら決して離れない、もはや噛みつくこと自体が目的になっているあの感じ。
    そして鮮度が下がってきたら、あっという言う間に忘れ去る。獲物は新しい方がいい。傷ついていないものを傷つける方がいい。
    「殺して忘れる」社会は、「許して育てる」ことができないのだという。
    それは自分も「許されない」ということだ。

    しかし数ある情報メディアの中でもラジオは平和だなぁ、、、。

  • 日本人社会は殺して忘れる社会とは言いえて妙だ。有名人や権力者が悪事を働くと徹底的にたたき追及し、その姿を存分に楽しみ社会的制裁が加えられるとすっかり忘れるのである。そしてそんなことあったけ?と無関心になる。原発事故も東電や政府をたたくだけたたき、それですっかり忘れてしまわないだろうか?30年後には原発が今の倍、なんてことにならないだろうか。

  • いまの日本は他人に無関心なゆえに、徹底的に追い詰めて殺し、あっという間に忘れていく。許し、育てる土壌が必要。

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著者プロフィール

昭和21 年、長野市に生まれ。
長野高校、早稲田大学を卒業後、信越放送(SBC)に入社。報道部記者を経て、ラジオを中心にディレクターやプロデューサーを務める。平成10 年に「つれづれ遊学舎」を設立して独立、現在はラジオパーソナリティー、フリーキャスターとして活躍。
主な出演番組は、「武田徹のつれづれ散歩道」「武田徹の『言葉はちから』」(いずれもSBC ラジオ)、「武田徹のラジオ熟年倶楽部」(FM ぜんこうじ)など。

「2022年 『武田徹つれづれ一徹人生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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