低線量被曝のモラル

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309245782

作品紹介・あらすじ

「安全」をめぐって大討論&論考。さまざまな問題点を明らかにする。放射線医学、物理学、哲学、倫理学、情報学など、"低線量被曝"の広大な問題をどう捉えるか。

感想・レビュー・書評

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  • 9月新着
    東京大学医学図書館の所蔵情報
    https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_search/?amode=2&kywd=4311477212

  • 本書は福島第一原発事故後、それぞれの専門分野で低線量被曝の問題について考えてきた東大教授6名の意見と対談を収録したものである。低線量被曝については賛否両論あるが、そのどちらの意見も載っているのが特徴である。

    放射能による被曝は高線量であれ低線量であれ、避けるに越したことはない。しかし私たちは日常生活で放射線を避けることは決してできない。そうしたことを考慮したうえで、社会的に許容される線量が決定されている。それが自然放射線被曝と医療被曝を除く公衆被曝限度年間1mSv(ミリシーベルト)という基準である(p.006)。この基準を超える被曝を許容されるのは異常な事態であるという認識は決して捨ててはならない。

    では現在、それを強いられている人はどのように考え、向き合っていくべきなのか。本書はそうした疑問を抱く人にうってつけの本である。もちろん本書でも結論が出ているわけではない。また専門家同士の議論のため、内容をすべて理解するのは至難の業である。しかし本書の内容すべてを理解することができなかったとしても、対立的な議論を俯瞰することによって、私たちが抱いている不安の整理をすることが可能になるだろう。

    低線量被曝の問題について真剣に考えたい人にぜひおすすめしたい。

  • 東京大学の低線量被爆が健康に影響は無いとする中川氏や影響はあるとする島薗氏などそれぞれに寄稿されている3.11事故直後に書かれたこの本はどちらの意見を読むにしても高度な内容だと思われた。
    肯定的な中川恵一氏の寄稿など読んでいて理解しがたいものもあるが、今回の事故によるメディアや根本的な法律的な部分を押さえて反論された島薗氏の寄稿を読むだけでも私は読んでよかったと思う。
    また、現地に入られ活動と発言をされている児玉龍彦氏の寄稿も考えさせられる。
    これら複数の意見の違う寄稿と後半にあるそれぞれの講演での討論など読み応えのある内容であった。
    しかし、私の場合読むのにやはり頭が付いていかないのか時間が掛かってしまいました。
    読んでなお島薗進氏の本書の寄稿とまとめは私にとっては納得のいくものでした。
    このみなさんでもう5~10年経って同じ内容でその時の状況を含めて寄稿していただき検証をしていただけたらより興味有る読み物となるのではないだろうか。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:493.195||T
    資料ID:51200549

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著者プロフィール

1957年生まれ。東京大学大学院哲学専攻博士課程修了。博士(文学)。現在、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授。和辻哲郎文化賞、中村元賞受賞。著書に、『人格知識論の生成』(東京大学出版会、1997)、『原因と結果の迷宮』(勁草書房、2001)、『死の所有』(東京大学出版会、2011)、『確率と曖昧性の哲学』(岩波書店、2011)など。

「2020年 『人間知性研究〈普及版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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