ルポ 産ませない社会

著者 : 小林美希
  • 河出書房新社 (2013年6月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309246222

作品紹介・あらすじ

"孤育て"、妊娠解雇、職場流産、ベルトコンベア化するお産…なぜ、今、子どもを産むことに前向きになれないのか。「産めない」のではない。社会が「産ませない」のだ。子育てを未だに「女性」に押しつけ続ける現実を問う、痛切なルポ。

ルポ 産ませない社会の感想・レビュー・書評

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  • 「絶望的な現状に切り込む」評:城戸久枝(ノンフィクションライター)北海道新聞
    http://www5.hokkaido-np.co.jp/books/

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    「「産めない」のではなく、社会が「産ませない」のだ。孤立する母親、妊娠解雇、ベルトコンベア化するお産、商業化し消費される妊娠……出産に前向きになれない社会に光を探す痛切なルポ。
    まるで、「子どもが心配なら家で(母親が)みろ」と言わんばかりの環境が整ってはいないだろうか。
    マタニティ・ハラスメント、“孤育て”、妊娠解雇、職場流産、ベルトコンベア化するお産……なぜ今、子どもを産むことに前向きになれないのか。
    子育てを未だに「女性」に押しつけ続ける現実を問う、痛切なルポ。」

  • 出産・育児というと、男女問わず人生の一大イベントの一つといえるでしょう。

    特に女性の場合は、出産に際してどうしても仕事を離れなければならない期間があり、出産に対する不安に加え、その後の社会復帰や仕事の仕方について考えることも多いと思います。

    最近、身近で出産した人が多かったこともあり、今日は出産・育児に関する本『産ませない社会』を読みました。

    ーーーーー

    本書『産ませない社会』は、赤ちゃんを育てる母親の孤独や、出産・育児での休暇を認めない社会、産婦人科の医師の不足など、出産と子育てにかかわる様々な問題に関するルポタージュ。

    基本的にいい話は少なく社会問題の暗めの話が多いので、いままさに出産や育児に困っているという人にはあまりお勧めできないかもしれないです。

    しかし、内容は綿密な取材に基づいたしっかりとしたもので考えさせられる。

    以下内容についていくつかのトピックを紹介します。

    ーーーーー

    ・出産後の育児うつ

    出産後、母親としての自分を受け入れきれない母親は多い。

    母親の育児への拒否感としては、「赤ちゃんがまるで異次元の生き物のようだ」と感じる母親は少なくないという。

    妊婦の約6割が初めて抱く赤ちゃんが自分の子だということを考えると確かにそれも納得できる。

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    ・人工中絶に関して

    人工中絶に関しては、人工妊娠中絶は刑法第29条で202~206条で堕胎の罪として規定されており、母体の保護が必要な場合や暴行者に姦淫された場合などを除き禁止されているが、いい悪いで一概に判断できない面もあるという。

    例えば、「上の子がダウン症で、次に生まれてくる子もダウン症では物理的に育てることができない、親が死んだ後のことに残されたこのことを考えると検査を受けるしかない」というようなケースもある。

    ーーーー

    ・産婦人科の医師の不足

    日本の専門医の時給は3344円で、アメリカは1万1200円。イギリスは7854円と、全体として医師の給与は低い。

    特に、産婦人科の医師の給与はほかの専門医よりも給与が安く、深夜の当直が多いことなども出産のリスクを上げる原因として示唆されている。

    「究極、帝王切開のできる外科医と正常分晩ができる看護士がいればおさんは成り立つ」と揶揄されるが、

    お産の現場では胎児や母体の死亡事故も多く、訴訟に発展するケースも多いため、給与に見合わず過度なストレスを受けやすいことを著者は指摘する。

    一方で、医師の不足や金儲け主義による、安易な帝王切開に対しても、警鐘を鳴らす。産婦人科が不足し始めたころから、必要のない帝王切開が増え始めたという。

    これには、帝王切開をすることで胎児が仮死状態で生まれてきた場合などに訴訟を起こされにくくする狙いと、医師が帰る前に出産を終わらせようとする狙いがあるという。

    最近では、「下から産ませられる力量のあるドクターは少ない」とベテランの看護師は嘆く。

    セレブ向けの産婦人科病棟では、出産後にフレンチ料理がでるようなところもあるというが、付随的な価値よりもお産の質を上げることが先決である、と著者は言う。

    ーーーーー

    このように本書では、出産・育児に関する問題点を知ることができる点でよい本です。

    本書を読むと、出産にしり込みする人も出てしまいそうですが、本来出産には新しい命の喜びとか、子法を授かるといったプラスのイメージだということ、を併せて思い出すことが重要であると感じました。

    働き方改革が推進して、出産・育児がしやすい世の中になっていくことを期待しています。

  • 理不尽さや不合理さに頭がクラクラした。こんな風に扱われるなら社会に出たくないと思った。全ての妊婦、子どもたちが祝福される社会になればいいとおもう。いや、しなくてはならない。

  • 2013年10月に実施した学生選書企画で学生の皆さんによって選ばれ購入した本です。
    通常の配架場所: 開架図書(3階)
    請求記号: 367.21//Ko12

    【選書理由・おすすめコメント】
    これから社会に出る自分にとって衝撃的でした。「妊娠解雇、職場流産」少子化の今女性の働きが重視されてはいるが、この本から「産めない」のではなく社会が「産ませない」という言葉を重く受け止めないといけないと思いました。
    (社会経済システム学科 3年)

  • 出産を取り巻く、出会いから育休、出産、育児、出産の現場までそれぞれの場所で出産のハードルを上げている様子が載っている。知らないことが一番の問題では無いかと考えるくらい、切実な話ばっかり。

  • 妊娠、出産の問題について書かれている。子供達が、祝福されて産まれ成長できるように、社会が変わっていかなければ、少子化は避けられない。

  • 子どもを産み育てる環境がこんなにも絶望的なのか、と暗い気持ちになった。保育所を増やすとか、育児休暇を取りやすくするとか、そんな小手先のことじゃなくくて、やれることは全部やるくらいに、なにもかもかひっくり返さないと、状況は変わらないような気がする。

  • 妊娠解雇、職場流産、母親の孤立、産科医療現場の激務、命の選別、育児支援サービスの不足、高齢出産のリスクetc..ボリュームがある一方、具体的なインタビューに基づいていて読みやすいルポでした。
    特に女性と仕事に関する問題と乳児医療現場の過酷な状況ついて多くのページを割いていて、「子供を産む人が少ない」のではなく「子供を産ませない社会」の課題を浮き彫りにしています。
    自分が偶然ラッキーな環境だったとはいえ、今後もこうして社会から妊娠・育児がヒトゴトとして乖離されていけば、少子化問題だけでなく益々閉塞感の強い悲しい社会になってしまうだろうし自分にとっても他人事ではなくなる。
    最近のベビーカー論争やマタニティマーク問題、子供の泣声に苦情するなど、「いちいち対立構造を作って煽ったり、わざわざ報道(ネタに)するようなこと?」と首をかしげてしまうことも増えている。
    悲観しすぎても仕方ないけど、産後も社会と繋がっていたいのならこうした現状から目を背けることはできない。

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