別のしかたで:ツイッター哲学

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 195
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309246642

感想・レビュー・書評

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  •  とにかく、まずは、疲れきった頭でこれを手に取ってみて欲しい。忙しい最中とか腰を据えてとかで読んでは、この本の旨味はわからないと思う。これは適当に読めばいいということでもなくて。いい加減に読むために、疲れていることをすすめる。そうすれば、ここに配置された千葉さんの言葉が、軽やかに入ってきて、静かな重みを残して、読むもののそこに沈殿していくような気がする。それが一つの正しい読み方であるような気がする。

  • ツィッターをやらないのでこうして書籍にまとまらないと読まないのだが、なるほどこういう出版物もありか。
    ところどころに目を惹く感性を感じる。
    ちなみに自分は、日本酒は抽象的ではなく具体的な酒だと感じている。

    ====
    雲の色が怪しくなり、家族連れがパラソルをたたみ始める。海の色が鈍くなる。そこに一人で残っていると、短く太陽が出て肌を温め、また雲に隠れる。そして車に戻る。


    なぜ紙の書物が集中して読みやすいかというと、一冊の本は汎用デバイスではないからだろう。〔中略〕紙の書物は、コンテンツとハードウェアを一対一対応させた、極端に有限化されたデバイスである。

    マイナーバンドを知ってる俺かっけーみたいなのは恥ずかしいにしても、オタク的でも大衆的でもない感性にきちんとyesをいう場がないのは非常にまずいと思う。

    二兎を追ううちに、自分が三番目の兎になっていること。そういうのがいい。

    どんなジャンルでもあえて低速にすると、高速なものより尊重されやすいような気がする。

    僕の怠惰は徹底すると、もう密室劇の結論を押し付けられることさえダルいのである。〔中略〕僕はもう、あ密室?くらいでいい。そうなると、詩である。

    勉強することは、変身の恐ろしさのまっただ中にダイブすることだ。

  • 哲学

  • 十代で千葉雅也と縁を持ってしまったせいで、何をしても心の底から楽しいということはなく、どうせ知性は極められないからせめて社会に沿うような上昇と、芸術から離れないアウトプットをと思う程度の努力をする日が延々と続いている。ほとんど呪いだと思うけどそれに生かされてもいる。
    この本の企画はくだらない。著者があとがきで書いているような設計思想があったとしても、何かひねりを入れた美学やヤンキー風の装いがあるのだとしても、知人に紹介するのが妙に恥ずかしいくだらなさがある。でも担当者が、天才の出現にうちひしがれたんであろうことは想像がつく。
    さて内容は最高であった。

    <blockquote>仕事がうまく進まない、そう感じたときは、行き詰まった、と思うのではなく、行き詰まりを「感じている」と思うべきだ。問題は、まずもってその「感じ」からの回復である。 p5</blockquote>

    <blockquote>ネゴシエーションの和訳、「切り抜ける」っていうのはいい。あるいは「うまくやる」とか「やりすごす」。つまり、原理的に解決するのではなく、アドホックにさしあたり問題ないかのようにしてしまうこと。ネゴシエートするってのは純粋にロジカルではない。レトリカルに筋を通す。 p26</blockquote>

    このあたりは、哲学者とサラリーマンの仕事観に一致を見て衝撃的であった。千葉雅也の書くものに「あるある」感を感じることなどありえないと思っていた。今まできっと読んでいたであろうツイートを再編集すると、このように刺さる。

    そもそも、僕が初期のファミコンのゲームソフトに感じた魅惑の核心は、現実世界の惰性的に再現ない拡がりを、ゲームソフトの「狭いなりに広い緊張した世界」へと切り詰められるということだったと思う。 p60

    <blockquote>なぜ、紙の書物が集中して読みやすいかと言うと、一冊の本は汎用デバイスではないからだろう。iPadやキンドルでは、他にできること、他のコンテンツの可能性がつねに脳裏に浮かんでしまう。紙の書物は、コンテンツとハードウェアを一対一対応させた、極端に有限化されたデバイスである。 p60</blockquote>

    タンジブルビットへの興奮を思い出した。

    <blockquote>特殊な言い方で表現しようとするときに、「変な言い方ですが」とか「言葉は悪いですが」とか「勝手な解釈ですが」とか言っている限り、素人さんの世界から出られない。留保なしにズバッと言うべし。 p83</blockquote>

    <blockquote>ミステリも、近現代詩も、密室性を構築するわけです。そして詩は、その短さ(ポーは詩は短いものだということを強調している)において、極まった密室劇であるわけです。 p136</blockquote>

  • ネット上では横書きのツイッターを、縦書きに直して編集されていることに最初はかなり違和感を持ったが、慣れてくるとそんなに読みにくさは感じなかった。こうしてツイッター上のつぶやきをまとめてみると、一種のアフォリズムのようにも読め、それはそれでツイッターの一つの「使い方」としてもおもしろいのではと感じた。

  • 以下、本文からの引用

    ──重要なのは、傾聴するに値しないムード音楽の類を静かに流してる喫茶店を確保すること。

    ──「ふつうの人」に言うとよく理解されないというか、怖がられるだろう言葉。権力、他者、批判、分析、解釈などなど。国家は「国」、他者は「他人」、分析は「よく考えてみる」などと言い換えながら話し始める。そういう工夫をすることはしばしばある。あ、「しばしば」もアウトですね。

    ──パリで気胸になって入院したとき、隣のベッドのおじさんは人工肛門の手術をしたばかりとのことで、辛そうに唸っていた。君はフランスで何をしてるんだいと訊かれたので、哲学の勉強ですと答えると、おじさんは、そうか哲学か!……いいかい、真に恐ろしいことは死ではない、それは苦痛だよ、と言った。

    ──なぜツイッターの140字以内がこんなに書きやすいかというと、それは、書き始めた途端にもう締め切りだからである。

  •  千葉雅也のTwitterを書籍化。

     実際のTweetとは違う順番で並べられたTweetの数々。その中にはバリバリの哲学のこともあれば、哲学的思考半分な日常のこともあったりして面白い。Twitterってその人の世代とかがにじみ出るんだなぁと実感。
     もっと色んな人がTwitterを書籍化するべきだと思う。ただ、ちゃんと成立させるのはけっこう難しそうだが。。。

  • 2015/6/24読了。

  • ふぁぼの…ふぁぼのボタンはどこなんや…とつい本の中に星のマークを探してしまう辺り最近twitterに入り浸ってんなぁ…と反省するきっかけになった一冊。哲学っていうか語録?性質としてはそうなんかな…短歌集読むような気軽さで読めるし結構ためになった、と思います

  • エッセイのような感覚でどんどん読める。が、それで終わってもつまらない。ひとつずつのセンテンスの間に何を考えるかが、この本を満喫する条件かも。

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著者プロフィール

千葉雅也(ちば まさや)
1978年、栃木県生まれの研究者。専攻は哲学、表象文化論。立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授。代表作に2013年第4回紀伊國屋じんぶん大賞受賞作『動きすぎてはいけない』、ベストセラーになった『勉強の哲学』などがある。『アメリカ紀行』などエッセイも執筆。『新潮』2019年9月号に、初小説「デッドライン」を掲載。

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