「知の技法」入門

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 207
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309246772

感想・レビュー・書評

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  • 実存主義から構造主義、ポスト構造主義の流れの解説は非常にわかり易かった。
    神の全能感を人間に適用し、人間は自由な主体だとする実存主義が生まれ、
    そこから実は人間は構造によって縛られていて、真に自由というわけでないとする構造主義が台頭し、それに対する批判としてポスト構造主義が生まれた。


    残りは読者のターゲット層にマッチしていないレベルの談義だった。
    テクニカルタームの連発で、ものすごく丁寧に読まないと何が言っているのかよくわからないのが多数。
    本書のターゲット層を忘れていないのであれば、
    これは「こんな難しいことを考えている俺、そしてこんな難しいことを考えている哲学ってすごくね?」
    という心理構造があるとしか思えない。

    そして小林氏のアベノミクスと近代資本主義の批判は酷かった。
    この程度の分析しか出来ないなら哲学(と社会学)からの批判なんかするなよ、と読んでいて突っ込みをいれたくなった。
    グループワークで建設的な議論をしているメンバーの中で、
    的外れな知識をつけたバカがわけわからんこと言って足を引っ張っている、そんな絵が思い浮かんだ。

  • 20190518 右京図書館
    昔の偉い先生方のようにスパルタや放任ではない、現代の良識的な先生による「学問の方法」についての、ふんわりとした手引き、と見える。

  • 人文学になれていない人間にとっては難しかった。

    しかし、入門ということもあり、今後どのように本を読むべきか、人文学の大まかな流れや読むべき本などが書かれており、とても参考になった。

    人文学を勉強したいなら、一度は読むべき。

  • 難しい。私の知的レベルが足らず、議論のベースになっている哲学などの概念も知らないため、全く理解できない箇所もある。でも、読めないわけではない。わからないけど、ぼんやりと感じるものがある。
    私の知らない世界はたくさんあって、それを知りに行くのはおもしろいかもしれない、と感じさせてくれる。紹介されている本を、少しずつでも手に取ってみようかと思った。

    抜き書き
    学校や教科書では、すでに生成し終わったところ、すでにできあがったところを教えるわけです。行為を通じての生成、というものが、もう終わってしまった、ところから始めている。これだとダメだし、本当には理解できないし、そして知ることの喜びも味わえないんですね。
    →例として平方根が挙げられているが、歴史などについても同じことが言えると思う。高校生の時に地理が面白いと思ったのは、気候、植生などについてその原因からしっかり説明していたからだと思う。

    インターネットの問題は、全体性がわからないということなんですね。単純な、インターネットで情報を見つけた場合、それがどのくらい重要なのか、その相対的な大きさが把握できない、という問題がある。本や、あるいは新聞と比べた時の、インターネットの弱みはここにありますよね。
    →ニュースを見ようと思った時や、旅行プランを立てようと思ってネットを見るときによく感じること。新聞やガイドブックの方が、全体像が見えて分かりやすい。

    参考書
    銃・病原菌・鉄 ダイアモンド
    マルクスー資本論の思考 熊野純彦
    現代社会の存立構造 真木悠介
    マルクス 資本論
    国家はなぜ衰退するのか アセモグル、ロビンソン
    世界がわかる宗教社会学入門 橋爪大三郎
    存在と時間 ハイデガー 熊野訳

  • <閲覧スタッフより>
    大学教員が学びのおもしろさを語った本、学生がゼミや授業で学んだ成果をまとめた本を集めました。大学での学びがよく分からない方、さまざまな学びに興味のある方、ぜひご覧ください!
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    所在記号:002||コハ
    資料番号:10227707
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  • 1990年代のベストセラー・シリーズ、『知の技法』、『知の論理』、『知のモラル』、『新・知の技法』の編者かつ中心的な執筆者であった小林康夫氏と、社会学者の大澤真幸氏による対談。書名は『「知の技法」入門』となっているが、直接的に上述のシリーズの続編を意図した企画ではなかったようだ。
    まず、「I.入門篇」では、第1章で「人文書入門」、第2章で「読書の技法入門」が取り上げられている。第1章では、人文書を、「この世界に内在しつつ、世界に関わっている者にとって、まさに世界がどうであるかという「真理」を探究している書物」(大澤氏)であり、その使命を「この舟を放棄しうる、別の船がありうる、別の可能性を示唆する。そういう希望を抱かせること」(大澤氏)とした上で、その推薦書約50冊と、そのエッセンス・読み方を述べている。第2章では、「結論でなく、思考の過程を読もう」、「ノート法について」、「レヴューを書いてみる」、「付箋、線引き、マーク」、「入門書の使い方」、「良い入門書とは?」、「読書会の効用」、「精読の方法」、「原典との付き合い方」、「自分の言葉に置き換えてみる」などが語られる。
    次に、「II.理論篇」では、第3章で、「誰にでもわかる実存主義・構造主義・ポスト構造主義」として、二〇世紀の思考の大きな流れが取り上げられ、第4章で、「自然科学と人文科学のインターフェース」として、意識と物質のミッシングリンクが取り上げられているが、本篇は、ハイレベルなベース知識がないと付いて行くことが難しい遣り取りになっている。
    最後に、「III.知の技法とは何か?」が語られるが、これはそのまま、あとがきの「この対談のバック・グラウンドがあるとしたら、「危機」だということ。カタストロフィーに向かって盲進しているわれわれ人類の歴史的な「危機」、それと相関しつつ、もう少し狭く人文科学、あるいは人間についての思考の衰弱の「危機」、さらには必然的に資本主義的な原理と相互浸透せざるをえなくなった現今の大学の「危機」~そのような多重的な「危機」のなかで、「知」の希望をどのように語ることができるか、・・・それが問題だったのだ」(小林氏)に繋がっていく。
    本年6月、文部科学省が、国立大学に対し、人文社会科学系の学部や大学院について、廃止や、社会的要請が高い分野への転換に努めるなど、組織と業務全般を見直すよう通知を出したことが大きな波紋を呼んでいるが、まさに両氏が抱く危機感を一段と高めるような事態が実際に起ころうとしている。
    知的欲求を刺激し、「知」とは何か、「学ぶ」とは何か、を改めて問いかける一冊。
    (2015年8月了)

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784309246772

  • 考えるということをどのように行っていくのかということについて、2人の対談を通じて、様々な入り口から語られています。まず入門編として入りやすいところ「何を読むべきなのか」それをどのように読むべきなのか「勉強法」というところは、ただ漠然と読むという行為を変えてくれるだけのインパクトがありました。そのあとの章も、現代に至る思考の歴史的なこと、理系と文系の役割とその融合についてなど、刺激的な話題が語られています。あとの章については正直頭が追いついていけず、ただ読むだけになった部分もありますが、それでも読むことで断片的に理解出来る素晴らしい考え方もありました。「知」という行為は忘れてしまうとどんどん出来なくなってしまう恐怖があります。それを思い出し、今は理解できなかった部分が判るようになるために、何度か読み返していくべきだと思います。

  • 主体の無制約な自由を主張する実存主義の後に、主体が言語に媒介されていることの発見が続き、これが構造主義と呼ばれる。それに抗して自由を擁護する、ただし理論的にではなく一回一回の行為として、存在としての自由ではなく行為としての自由を試みる。これを小林康夫は超実存主義としてまとめる。
    その超実存主義の先に、資本主義とテクノロジーの強固な結合による主体性の危機が問題になっている、という時代認識。
    実存主義を構造主義というアンチテーゼで乗り越えた、というのはいいにしても、その先がジンテーゼにならず戻ってるんじゃないの、という問題意識。
    実存主義はミネルヴァの梟っぽいところがある、サルトルがあんな定式化する前に個人の自己意識は文学的生活的には既に黄昏れ始めてすらいて、哲学的表現が追いついただけ。真幸さんいいこと言う。
    もともと全能の神対人間という構図があって、その神の全能を個人に受肉させるのが近代の歩みで、実存主義に結実する。その実存主義が構造によって脅かされるわけだけど、結局構造が新たな神になり代わっているだけではないか、と。
    デリダとかドゥルーズとかの実践ってアンチ資本主義に見えて、結局は洗練された資本主義の形式になってしまっているよね、って小林康夫がぶっちゃけてる。
    資本主義は巨大で盲目的な欲望の流れであり、そこで「意味」が失われてしまうのであるが、かといって「意味」を振りかざすのはファシズムとか共産主義とかろくなことにならないと歴史が証明してしまった、そんな今どうする、と。
    実存主義はいかなる歴史に接続されるかということをそれ自体では指示しない。サルトルは実存主義とマルクス主義の結合、ハイデガーは実存主義と民族主義の結合。
    実存の意味とは何か、ということを必死に考え詰めてサルトルはマルクス主義にたどり着いて頭をひねった。しかし、68年という時代の方は意味なんていらない、と高らかに謳った。そこで徹底的にサルトルが遅れた、と。
    「意識」を超えた経験主体の問題。自然科学によって開かれた広大な経験の場に人文科学は盲目だし、盲目であることを誇ってしまっているのではないか、という話。

    二人でだいぶ知に対するスタンスが違う。僕は小林康夫に好感を持つ。
    大澤真幸→俺が教えてやる 小林康夫→俺が分かんないことがあって一緒に考えて欲しいんだけど、とりあえず俺のところまで来てくれないと始まらないから教える みたいな感じ。
    大澤真幸は誰々がこう言っているから、そして自分がそれを正しく解釈しているから正しいという感じ。一方、小林康夫は、本当のところ元の人がそう言っていなくても、自分がそう読んだ、解釈としては間違っていても自分の言葉で伝える、という感じ。

  • 三葛一般002||KO

    対話形式の人文科学系入門書ですが、内容は非常に濃厚です。
    人文学を学ぶこと、知識を身につけることの意義について抑えつつ、
    現代思想の基礎にまで言及した1冊です。何のために人は「知る」のか。
    これを読むと、人文学の新たな一面を発見できる本です!
                                  (うめ)
                                   
    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=79901

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著者プロフィール

青山学院大学大学院総合文化政策学研究科特任教授/東京大学名誉教授

「2019年 『日本を解き放つ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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