意味がない無意味

著者 :
  • 河出書房新社
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309248929

感想・レビュー・書評

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  • 詳しくはわからないが、ラカンのあらゆる意味を吸い込むような対象aは男性器(あるいはそのブラックホール的な欠如?)に象徴されるらしい。それにかわる、「盛り上がり」「もっこり」という概念は、そうしたあからさまな男女二項対立の概念をズラす役割を果たしているらしい。
    ふと思い当たったのは、本書はあらゆるまどろっこしい恋愛小説というものを否定しているということ。そういったものを取り払った後に残る、事物それ自体の他者性(ハーマン)、物理の頼りなさと確率(メイヤスー )、そうした荒涼とした世界、けれども広々とした世界が問題になっている。
    だからこそ、即物的で極薄な、意味を否定したすえの無意味ではなく、いわば「チャラさ」の無意味さが意味を持ち始める。私たちが生きている意味は究極のところ完全に無意味なのであり、にもかかわらず何らかの意味を見出そうというのはいささか野暮ったい。同時に、完全に無意味にしてしまうのも野暮ったい。その意味での極薄なのだ。神も道徳も存在しないのに、存在そのものが、存在しているだけで祝福されている、そんな印象を受け、見当違いかもしれないが深く感動。
    まだ読んでいる途中なのに、自信ありげにこう書けるのは、本書は理論を潔癖なまでに演繹しながら批評しているところ。その点、数学の証明やパズルを読んでいるような感じがあり、同時に独自の数学を創造しているようなところがあり……去年読んだスピノザの「エチカ」への憧れを感じた。

  • 身体ー儀礼ー他者ー言語ー分身ー性。文章ごとに伸縮し、筆致を変える、ライティングスタイルに痺れる。『思弁的実在論』も読んでいたので、哲学パートの理解に助かった。ギャル男を哲学できるのは、千葉さんくらいだろうな。

  • 難しいものから読みやすいものまで色々あった。ラカンを読んでから再読したい。

  • 著者の専門は、人間や事物が「どのように在るか」の原理的考察、すなわち「存在論 ontology」。

    <意味がない無意味>とは、「身体」である。
    考えすぎる人は何もできない。頭を空っぽにしなければ、行為できない。 p12

    考えすぎるというのは、無限の多義性に溺れることだ。 p13

    ファルス的な意味の欲望の外部に在る身体を言おうとして、パラマウンドという概念が提案される。無限化するファルス的な意味をヒイ意味的に切断する=有限化する身体である。丘や塚、墳墓のように盛り上がったものが、意味の雨をその張力によって撥ね返す。対象の実在性を非勃起的に肯定する。

    ”現実的な世界を生きるとは、潜在的に無限な多義性の思考から、有限な意味を身体によって非意味的に切り取ることー――そして、行為するということだ。行為の本質が、<意味がない無意味>なのである。” p35

    ”私はこれまで、分身のことばかり書いてきた。/ただたんに、もうひとりの誰かがいる、ということを。その驚きを。” p37

    イーイーとアナナスは、独身者と”その分身”。独身者には必然的に分身しつつ存立する。

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著者プロフィール

1978年生まれ。哲学/表象文化論。フランス現代哲学の研究と、美術・文学・ファッションなどの批評を連関させて行う。著書に『動きすぎてはいけない』『別のしかたで』『勉強の哲学』などがある。

「2017年 『動きすぎてはいけない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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