あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309253527

感想・レビュー・書評

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  • 「あなたはあなたの食べたものでできている」という格言はよく聞かれるものですが、この本ではこうも言っています。

    「あなたはあなたの微生物が食べたものでできている」

    訳者あとがきから引用すると、肥満、過敏性腸症候群、アレルギー、自己免疫疾患、自閉症など20世紀後半から先進国で急増している病気は、人体内に存在する細胞の90%を占める微生物の様相が従来と変わってしまったことで生じている、というのがこの本のテーマです。
    なので、上記の病気に悩んでいる方にはぜひ読んでいただきたい本です。有効な治療法と言わないまでも、この本から得られる腸内細菌に関する知識はご自身の病気について今までとは違う見方や考え方を与えてくれるはず。
    かなりボリューミーな本ですが、終章の20ページを読めば著者の主張の大枠は理解できます。
    そして、「第7章 産声を上げたときから」はヒトの妊娠出産のプロセスに触れています。経膣出産と母乳育児がいかに赤ちゃんのその後の健康にとって重要な行為かが書かれています。妊婦さんご夫婦、産婦人科の先生、ぜひ。


    著者の主張としては以下の4点だと思われます。
    ・人の健康にとって微生物の存在は必要不可欠
    ・抗生物質は安易に摂るな
    ・食物繊維(微生物のえさになる)をしっかり摂れ
    ・赤ちゃんのマイクロバイオータ(腸内の微生物群)の植え付け方と育て方を改めて見直せ


    腸内の微生物は大腸に棲みついて人間の心と体の健康に大きく影響を与えているようです。ということは腸内の微生物(マイクロバイオータ)にとってもヒトにとっても良いものを食べればいいという結論になります。そのために自分の行動をどこまで変えることができるか、という壁に直面します。えさとなる食物繊維を多く摂るように意識できる人もいれば、急に食生活の改善はできないと言う人もいるでしょう。

    ここで学んだことが2つあります。
    一つ目。健康になるための知識を得たら、どこまで食生活を含めて生活習慣を改めることができるかを決める必要性を強く感じました。
    二つ目。体が不調のたびに医者に抗生物質を処方してもらう友人が自分にはいます。この本を読んで彼を思い出して思うのが、もっと自分の体のことを知り、そしてもっと自分の体を信じるべきだということです。

    抗生物質を摂るメリットデメリット、摂り方が妄信的になっていないかなど西洋医学との付き合い方を学び、考える必要があると思いました。
    文中の「内なる生態系を意識するようになると自分自身を新たな目で見るようになる」。これを意識して、自分の中に別に臓器があると捉えていかに育て付き合い続けていくかをこれから考え、実践し続けていこうと思います。


    最後に赤ペンチェック!
    ・糞便の重量の75%は細菌で食物繊維のカスは17%だ
    ・肥満型のマイクロバイオータを移されたマウスは餌から2%多くカロリーを吸収していると算出した
    ・脳と腸は離れた場所で別の機能を担っているにもかかわらず深いところでつながっている
    ・統合失調症のみならず心の病気の患者集団全般でトキソプラズマ感染は多くみられる
    ・腸内細菌の組成比が変わるとその人の行動も変わりうるという概念の扉を開いたことはとくにすばらしい
    ・治療量以下の抗生物質を投与するのは畜産業での日常業務になった
    ・肥満は抗生物質により誘発または促進された流行病だと考えれば無益なダイエットよりも有効な方法を探す糸口が見つかるのではないだろうか
    ・風邪もインフルエンザも細菌ではなくウイルスによる病気であり抗生物質は効かない
    ・抗生物質という強力な薬は健康を害する細菌を殺すだけでなく健康を保つ細菌まで殺してしまうのだ
    ・家畜に投与された抗生物質のおよそ75%はそのまま糞となって排出される有機肥料とはそういうもの
    ・一種類の肉と二種類の野菜なら農業利用の抗生物質のつけが回ってくるのはおそらく野菜の方で肉はむしろ安心なほうかもしれない
    ・腸内と同じく皮膚のマイクロバイオータは病原体を締め出し侵入を図る微生物への免疫反応を調整する働きをしている
    ・現代社会に暮らす人は一日か二日体を洗わないだけで周囲を不快にするほど体臭を放ち脂ぎってしまうのに石鹸も温水もない熱帯で暮らす人はなぜきれいなままでいられるのだろうか
    ・フィルミクテスとバクテロイデーテスの比率はイタリアの子どもでは三対一だったのに対しブルキナファソの子どもでは一対二であった
    ・現代人の問題は脂肪を多くとりながら食物繊維をとらなくなったことかもしれない
    ・経膣出産では母の膣のマイクロバイオータと赤ん坊の腸のそれとが一致するのに対し帝王切開の赤ん坊ではそうならない
    ・粉ミルクで育つ赤ん坊は感染症にかかりやすい
    ・万事がうまくいくならば母親の微生物は子どもに与えうる最良のプレゼントとなる
    ・糞便移植の方法は簡単に言うと健康なドナーの糞便と生理食塩水を料理用ミキサーで混ぜ合わせて患者の大腸内に注入する
    ・ボロディの病院で80%の治癒率となった糞便移植は目下のところ下痢型の過敏性腸症候群の最も効果的な治療法となっている

  • 数年前に読んで目から鱗だった本。
    腸内細菌が体にこんなに影響を及ぼしているとは。健康や人の体、ダイエットなどに関心のある人は読むと面白いと思う。

  • 「あなたの体は9割が細菌」 http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309253527/ 読んだ。おーもしろかった!原題は10% Human。マイクロバイオーム=微生物集合体、免疫、体質、抗生剤、自閉症。肥満は病気、運動より遺伝より食事制限より腸内微生物の構成が影響する、盲腸の役割、分娩による微生物移植、などなどなど◎(おわり

  • 2018.03.17 「本って「いいね!」練馬 de 朝活」で紹介を受けた本

  • 「あなたの体は9割が細菌」http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309253527/ … 読んだ。おーもしろかった!原題は10% Human。マイクロバイオーム=微生物集合体、免疫、体質、抗生剤、自閉症。肥満は病気、運動より遺伝より食事制限より腸内微生物の構成が影響する、盲腸の役割、分娩による微生物移植、などなどなど◎(おわり

  • ●ヒトの身体に住む微生物のバランスを保っていくことがどれほど有益なことかを語った本。

  • 「あなたのからだは、あなたの食べたものでできている」と言われているが、それが本当に言葉通りだという。腸内細菌のバランスが崩れると、花粉症や肥満だけではなく、鬱病になったりと精神的にも崩れてくる。人は、というより世界は微生物でできているんだなあ。なるべくいい微生物に住んでもらうように食物繊維を摂らないといけないな。

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  • ★★★☆☆

  • 大腸に生息する細菌のうちで身体に良い影響を与える細菌が減少していることについて書かれた一冊。

    抗生物質によって伝染病は撃退されたものの、体内の最近のバランスがそれにより崩れているために肥満やアレルギーなどの「現代病」が増えているという仮説はかなり説得力がある。

    興味深いのはフロイトの出現により心の病が、身体のように治療されるのではなく、精神的な対処によって治療されているため問題が起きているとしている点。腸と脳の関係が細菌大きく取り上げられているが、本書でも細菌のバランスを整えれば心の病にも対処できるとしている。

    https://twitter.com/prigt23/status/1031166493499609088

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著者プロフィール

イギリスのサイエンスライター。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンおよびロンドン動物学協会で進化生物学の博士号を取得。『サンデー・タイムズ・マガジン』誌などに寄稿している。TV・ラジオ番組にも多数出演。

「2020年 『あなたの体は9割が細菌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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