触れることの科学: なぜ感じるのか どう感じるのか

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309253534

感想・レビュー・書評

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  • 「触れることの科学」http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309253534/ … 読んだ、おもしろかったー!内容は、実際の外的タッチに留まらず、食物と味覚との関連や、性快感、内臓触覚、錯覚、痛み痒み、感情の変化が及ぼす触覚への影響、と多岐にわたる。つくづく、人体の不思議、脳の驚異だ(つづく

    ホットチリ、クールミントは口腔以外の他の皮膚でも同様に感じるか?とか、脳が痛みの強弱をコントロールできる、とか、無痛症とか。なぜ掻くと痒みが一時的におさまるのか、とか。痒みの感覚は伝染する、とか。掻きすぎて頭蓋骨に穴を開け、脳が外へ出てしまったとか。信じ難いがこれは実話(おわり

  •  著者は神経科学者(米ジョンズ・ホプキンス大学医学部教授)だが、本書のような一般向け科学書もものしている。前著『快感回路――なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか』は、当ブログでも取り上げた。

     本書も『快感回路』同様、品のよいユーモアをちりばめた良質な科学ノンフィクションだ。
     テーマである触覚(皮膚感覚)は性的快感と深く結びついているし、本書にもセックスに関する話題がわりと多いから、『快感回路』の続編というか、スピンオフ本的な内容と言える。

     触覚の作用機序についての説明部分は専門的すぎてやや退屈だが、面白いエピソード、トピックが満載だ。
     たとえば――。

     私たちの皮膚には「C触覚線維」という、なでられて心地よい感覚のための神経――すなわち「愛撫専用の触覚系」がある。
     この触覚系に対して優しくなでる刺激がもたらされることは、「新生児の情緒の適切な発達のために欠かせないものであり、このシステムが形成する社会的接触は、成長後に信頼関係や協調関係を築くために重要な役割を果たす」という。
     赤ちゃんに対するスキンシップがいかに重要であるかを、この「C触覚線維」が証し立てているわけだ。

     広義の触覚――熱さや冷たさの知覚、痛覚、かゆみの感覚、くすぐったさなど――についても詳述されており、それぞれじつに興味深い内容になっている。例を挙げよう。

     鳥は平気でトウガラシを食べる。トウガラシの刺激成分カプサイシンに反応するセンサーを、持っていないからだ。
     ゆえに、バードウォッチャーは鳥の餌をリスなどの哺乳類に盗み食いされないよう、餌にする種にトウガラシをふりかけておく。
     ではなぜ、鳥だけがトウガラシの辛さに反応しない動物になったのか? その謎解きは次のようなものだ。

    〝哺乳類は種を食べると臼歯ですりつぶしてしまいがちだが、鳥には臼歯がなく、種子の大半はそのまま消化器官を通り抜ける。鳥が糞をすると、これまでとは違う場所に発芽可能な種子を蒔いていくことになる。鳥にとってもトウガラシにとっても都合のよい状況である。〟

     思わず人に語りたくなるような話ではないか。 

     また、生まれつき痛みを感じない「無痛症」についての、次のような記述にはぞっとさせられた。

    〝痛みを感じなければ、さぞのんびり暮らせるだろうと思われるかもしれないが、現実はそういうものではない。痛みというのは、組織にダメージを与えるような刺激への反応として生じる。痛みがなければ、刃物や熱湯や有害な化学物質を避けることも学べない。先天性の無痛症の人は常時けがをしている。知らないうちに自分で舌を噛み、骨を折り、関節をすり減らし、ゴミの入った目をこすって角膜を傷つける。成人になるまで生きている者は少ない。〟

  • [鹿大図書館・冊子体所蔵はコチラ]
    https://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB22138760

    [鹿大図書館学生選書ツアーコメント]
    触れ合いの多いバスケットボールチームは強い!?

    触角と感情は切っても切れない仲といっていいほど密接に繋がっています。
    この本では直接触れることによって感情にどう影響が出るか?などについて、
    皮膚や脳や神経のお話も交えながら、科学的に述べられています。

    読んだ後に誰かに話したくなること、間違いなし!

  • こんなに詳しく皮膚感覚について学んだのは初めてで、自分が知らないこと・勘違いしていたことも多く、面白かった。
    脳神経科学の話ではあるけれど、(心理学を含め)色々な分野とリンクしているので、他分野であっても研究の新しい発想につながりそう。

  • 触れることについての科学的雑学集
    軸がないので、読んでいて疲れる。

  • 性感のあたりの下りがやはりおもろい

  • 『快感回路』に続いて神経科学者D・J・リンデン2冊目。
    ふと「相手に『触れたい』と感じる性欲と異なる欲求はなんなのか」と思ったので、参考に選んだ本。前作と同じく、日常で得る感覚の仕組みを自然科学サイドからガッチリと解説していく。

    基本的に触覚は異なる刺激に反応する4つの受容器から発信された信号の組合せを脳が解釈することで生じ、さらに伝達速度差によるタイムラグや温冷間刺激、他感覚からの予想などが加わることで、非常に多彩なパターンを示す。というのをベースとして、圧力、質感、痒みなどの触覚を解説していく。

    触覚から得る繊細な判断をあらかた示した上で、「視線を肌で感じる」というような第六感的感覚もまだ切り分けきれていないだけで、複合的な刺激によって脳が判断しているのだろうと締めくくる。
    納得感はかなり強い。

    その多彩さを認めた上で最初の疑問を解釈すると、「触覚から得る情報量は膨大であり、『相手を知りたい』という欲求が『触れたい』に置換されている」のかなと思った。
    手を繋ぐ、抱きしめる等々、それらを通じて「相手をより知っていく」という感覚は経験的にも強くある。

    『快感回路』を読んだ時にも思ったけど、人の行動や欲求を読み解こうとする時に自然科学と人文科学の両側面から解釈していくと、それらが有機的に繋がって面の知識となると感じる。
    アプローチが帰納的か演繹的かの違いに近い感覚で、どちらも大切だと感じる。
    いい本だった。

  • 苦痛や快楽は、ほとんど触覚からやってくる。触覚はさまざまな感覚や感情に繋がれた複合だ。だから案外目立たないのかもしれない。

    かなり興味深い理屈、早速使えるエピソードまで、満載されている。

  • 人の身体はどこが敏感なのか。身体のつくりを知っておく事は生きて行く上で必要な事だと思う。

  • ところどころに官能小説が入ります

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