ファーストスター 宇宙最初の星の光

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309254432

感想・レビュー・書評

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  • 各章の冒頭部分にある枕の話がうざったいが、他はとてもわかり易い。黒体放射や宇宙背景放射など、個人的には他書であいまいにしか理解できなかったことも明快に書かれている。天文学は遠くの星を見ているのでなく、昔の光を見ているのだというのがよく分かる。

    恒星には太陽のように種族Iと呼ばれる比較的若く、金属(Liより原子番号が大きいもの)を含む群と種族IIである金属含有量の少ない星(銀河周辺部の星がまばらな領域や銀河中心部にまとまっている)がある。
    宇宙誕生直後には金属をほとんど含まない種族IIIがあったはずで、これをファーストスターと呼ぶ。これらは宇宙が誕生してから2000万年から2億年の間ぐらいには支配的な位置にあったが、ビッグバン4億年後になると種族IIが優勢になっていたと考えられている。

    太陽の鉄組成は質量比で0.14%に過ぎないが、現在形成されている星は通常、2%ほどの金属を含んでいる。

  • ビッグバンの後最初に輝いた星─ファーストスターについて
    それがどのようなものだったと思われるか、そしてそれを
    裏付けるためにどのような観測が現在行われ、これから
    行われていくかを書いた本。今まで宇宙の始まりということ
    でビッグバンやインフレーション理論には多少なりとも
    触れていたのだが、その後最初に輝き出した恒星については
    考えたことも無かったので、新たな気付きとなる読書体験で
    あった。所々で顔を出すユーモアも嫌味にならず好感が
    持てた。しかし考えれば考えるほど130億年前の宇宙を
    実際に観測できるというのはとても不思議だな。

  • 2022/6/8

  • 第1章 虹の彼方へ
    日食と新たな事実
    光の波長
    恒星の温度を測定する
    コロニウムの吸収線
    光の速度は有限

    第2章 種族Ⅲの星はどこに?
    星の分類
    視野を広げる
    星の家族写真
    星の種族

    第3章 鳩とビッグバン
    白い誘電性物質
    ビッグバン
    光の赤方偏移と青方偏移
    宇宙の膨張
    宇宙マイクロ波背景放射
    初期宇宙:インフレーション
    初期宇宙:元素合成

    第4章 星の世界の綱引き
    星の綱引きの出場者候補:重力収縮
    星の綱引きの出場者候補:燃焼
    星の綱引きの出場者候補:核融合
    星は爆弾?
    星の状態
    星の誕生

    第5章 暗黒時代
    宇宙の温度を測る
    スピン温度
    最初の光の初検出
    説明できないシグナル
    ダークマター
    平らな回転曲線
    ダークマター粒子
    ダークマターと最初の星の光
    「谷」をめぐる謎
    暗黒時代の終わり?

    第6章 ファーストスターは孤独か
    大酸化イベント
    ジーンズ質量
    巨大なファーストスターの形成
    有毒な星
    星のきょうだい
    宇宙の大酸化イベント
    宇宙に浮かぶ島

    第7章 恒星考古学
    初期質量関数
    金属組成
    金属欠乏星の発見
    銀河の中を探す
    恒星考古学

    第8章 共食いする銀河
    隠れた質量
    矮小銀河
    銀河の共食い
    矮小銀河を定義する
    初代銀河
    矮小銀河の化学組成
    矮小銀河考古学
    銀河の中のダークマター実験室
    行方不明の矮小銀河
    小さな銀河、宇宙の疑問

    第9章 宇宙の夜明け
    ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡
    星の運命
    重すぎるブラックホール
    重力波

    第10章 宇宙再電離期
    再電離
    バブルを膨らます
    電離光子源:ファーストスター
    電離光子源:クエーサー
    電離光子源:銀河
    宇宙再電離期への制限
    電波天文学
    もっと大きな電波望遠鏡が必要になる
    電波干渉計での観測
    星からの統計的シグナル
    不協和音が鳴り響く宇宙
    前景放射の軽減
    「宇宙には驚かされることばかりだ」

    第11章 未知の未知
    既知の未知
    スクエア・キロメートル・アレイ
    地球から月へ、そして地球へ

  • 請求記号 443.9/C 33

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著者プロフィール

英国の天文学者。王立協会研究フェロー。ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンで博士号を取得。ファーストスター(初代星)探査を牽引する。電波望遠鏡による国際的プロジェクト「LOFAR」「SKA」に参加。

「2022年 『ファーストスター 宇宙最初の星の光』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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